Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

ポン・ジュノ「ほえる犬は噛まない」

2006-10-07 15:01:09 | cinema
ほえる犬は噛まない

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2000韓国
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ、ソン・テウン、ソン・ジホ
出演:ペ・ドゥナ(ヒョンナム)、イ・ソンジェ(ユンジュ)、ピョン・ヒボン(警備員)


これは名作でしたね!

オープニング、森の景色と、やる気なさそうな男が電話をする声。
そこからずうっと引いていくと、
女物の下着がぶらさがるベタに生活感あふれる団地の一室になっていって、
で、会話でユンジュが大学の教授になりそこなったことを知る。
そこにキャンキャンとほえる犬の声がかぶさっている。

この1ショットだけで、この男が世渡り下手で、うだつの上がらない疲れた日常生活を送っていて、程度のそう高くない住居に住み、そして犬の鳴き声に悩まされている。そういう物語の下地をぜ~んぶ伝えてしまっている。

これはのっけからすごいかも。


犬を巡っては、局面が次へ次へとズレてゆく期待と裏切りのテンポ感が絶妙。
最初に子犬をつかまえるんだけど、いかにもそいつは鳴き声の犯人じゃないだろう・・と観客に思わせて、どうなの?どうなの?と引っ張っておいて、満を持して復活するあのキャンキャン声!

キタ~~~!
やっぱちがうよお!

で、次にとうとう鳴き声の犯人(犯犬?)を見つけ、捕獲に成功し、
駆除する(ちょっと残酷なり)
と思ったとたんに、こんどは彼自身の家に××××が××××で×××!!(笑)
(ネタバレにつき伏せ字(笑))

これは脚本がうまいんですね~
しかもそこに団地の管理事務所につとめるヒョンナムをうまあく絡める。
いい味に絡まってます。

**

映像的にもオイシイところをよく心得ていて、
まず、団地の横長の廊下をうまくつかって、ヒョンナムを走らせる!
白地に水色の壁の団地風景に、黄色のパーカーを被ったヒョンナムと、真っ赤な服の「犯人」を走らせる!!
それが近景にも遠景にも良く映えて、いや、これ、よく考えて撮ったなあ~

走る!


坂道にものをころがす、というモチーフも面白く使われていたな。
トイレットペーパーではどうやら失敗し、
梨では成功する。
亭主を尻にしいているようで、結構亭主思いな奥さんも
傷心のコンビニでころっとトイレットペーパーを転がすのも憎い演出だったし

ボイラーキムさんの話もよかった。
あそこはピョン・ヒボンの語り口を撮るためにわざわざ設定したんじゃないだろか。たまたま停電して、懐中電灯で照らしながらっていうシチュエーションも悶絶。

黄色いパーカーと黄色いカッパの映像的共犯もまた面白いな
フードをかぶりきゅっと気合いを入れると、どこからともなくカッパの応援団が現れ金色の紙吹雪を派手にぶちあげる。
黄色!黄色の世界!正義と勇気とテレビに出れるの黄色!

(いかん、だんだんわけわかんなくなってきた^^;)

**

というわけで、良く出来た脚本だけど、変に秀作ぶらない
大変美味な映画でした。
ペ・ドゥナもこの映画が一番好きと発言しているようで、
うんうん、そうかも。

ペ・ドゥナってインタビューのときと演技とでは印象が全然違って、
演技している時の方がいいな。

好き度


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コメント (2)
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