南会津流半農半スキー 和泉屋AK.T

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4月17日 春の熊狩り その2

2022-04-18 17:10:53 | 里山の暮らし

17日の日曜日。2回目の熊狩りへ。

今回も4人で猟場へ向かいました。前回と同じ山域ですが、アプローチを変えて向かいました。

氷点下まで下がった今朝は雪面もガリガリで硬く、足跡はつきません。

陽当たりの悪い杉林の中は、まだ1m近く雪が残っています。

途中にある木ヤスに寄ってみた。木ヤスとは樹にある熊穴のこと。

試しに叩いて居るかどうかやってみたが、やはり熊は出てこない…。

数年に一度、この穴で熊が冬眠するらしいがこの春は空家のようだ。

さて、今日の勝負場所についた。

この尾根から先は熊が付いている巻き場だ。小声で作戦会議が始まる。

親方、「いいか、この曽根から下に必ず熊がいるはずだ。」「マヂコは○○と△△でやれ。○○はこの沢降りて、滝の下の方で立ってろ。△△はここから少し下がった曽根で立ってろよ。」

「俺と阿久津はセコだ。俺は本沢まで下がっから、阿久津は途中の曽根から横ば切って追え。」

内心、(あーまたセコかあ。急斜のトラバースはきついんだよな~)と。ま、一番動けるやつが一番キツイ役目をやるこはしょうがない。これも修行と自分を納得させる。

親方、「よし、行ぐべ!」

移動の途中、陽当たりのいい尾根にイワナシが咲いていた。

ここまでは、余裕の春山散策だった…。

配置につく途中、ブナ木立の下方に動くものを見た。

阿久津、「親方、あれ?なんかいるな…。ほらあそこ。」

親方、「…。ん、熊だ。」

約70~80m先だと思う。これは!と思い、カメラで撮り始めた。

と、親方はこちらを振り向き、「おめえ!カメラなんか撮ってる場合じゃねえべ!弾込めろ!」

慌てたぼくはカメラを引っ込め、慌てふためき銃に弾を装填するが熊は気配を察し急ぎ足で下っていった。

うわーやっちまったー…汗

親方、「よし、急ぐぞ!」と小走りに藪をこぎ、配置場所へ向かう。ぼくは配置場所で待ち、親方はさらに本沢へ下っていった。無線でマヂコ、セコの配置を確認し猟開始の合図が出た。

「おーい!ほーい!おらぁー!…」とセコ声を張り上げ、残雪と下向きの藪がまだらになった急斜面をトラバースしていく。

背負った鉄砲は引っかかるわ、地に這ったササ竹に滑り転ぶわ、どう頑張ったってゆっくりとしか進めない斜面を横に進んで行く。

だんだんとマヂコが立っているエリアに近づいたころ、親方から慌てた無線が入る。「今、俺の方から阿久津の方へ熊が上がっていったの見えたぞ!阿久津!おめ、声出さねでじっとしてろ。俺が追い上げっから。」「阿久津の方か、マヂコの方に確実に行くがら、仕留めろよ!」

この無線を聞いて、誰が緊張せずにいられるか…汗。

内心。「やっべー、俺の方に来んなよ~」と、祈りながら弾を込めた…。

山の神様は、有り難いような意地悪のようなチャンスをぼくに与えてくれた。

ぼっほぼっほ!と、黒光りした巨体が100m近く斜め下から駆け上がって来るのが見えてしまった。「マジか…!汗」

熊はそのまま上がれば、ぼくの50mほど横を上に逃げていく。その時に狙うしかないか…。と銃を構えた。

と、思ったら!熊は90度方向を変えぼくの下方を通るように向かった。え!と思い下方50mほどに近づいた時引き金を引いた。が、安全装置が入ったままでカチャカチャと引き金が引けない!コントでもあるまいし…。装置を解除する間に熊はブナと藪の間で見通しが悪くなった。それでも、その隙間を狙ってパーン!1発放つが熊は逃げて姿が見えない。

どこ行った?と考える間もなく、なんと熊はガサガサとぼくの真下20mまでに上がって来るではないか!

2発目を放つ。ここで熊はぼくの存在を認め左下へと方向を変える。動きが鈍い。たぶん何処かに命中したようだ。さらに急所をめがけて3発目を放った。

熊は雪と落ち葉のまだらな斜面を転げ落ちる。動きが止まり、もぞもぞと苦しんでいるようだ。写真中央に黒いものが見える。

親方から無線が入る。「どうだ?」。

返す。「あ、当たったみてえだ。まだ動いてる。」、親方「早く止め刺ししろ。」

反撃を食らわないよう恐る恐る近づき、頭部をめがけて放った…。

3日前、セコの役目で初めて熊を獲ったのに、とうとう今日自分が熊を仕留めることとなった。

体長は120㎝、体重は80キロの雄熊だった。

今、やっと冷静な気持ちで昨日の顛末を書いている。未だにそれでも嬉しさというよりも、本当にこんな自分でよかったのか?とまだ腑に落ちない。昨年、初めてのイノシシ。今年になって初めてのシカ。そして今回初めての熊。

噂を聞きつけたベテラン先輩猟師たちからおめでとうの連絡が入るが、まだちょっと実感が湧かない。

昨夜、父親に解体した部位を持参し、酒を呑んだ。おやじは大喜びもせず、淡々としていた。

鉄砲を潔く辞めた父親から譲ってもらった自動銃レミントン1100 での初めての獲物がこの熊だった。

今朝、集落の神社に報告と感謝のお参りをした。

自分でさばき、自分で調理。まずは熊汁とホルモン汁を味わった。美味しかった…。

1月の初鹿の角と、今回の初熊の爪。一生大事にとっておきたい…。

コメント (4)
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