ここ数日の暖かさ、というか暑さで畑の雪は一気に解けました!
畑ではトマト苗栽培に向けて着々と準備を進めております。
さて、冬眠から覚めた熊がいよいよ歩き出していると報告が集まりました。役場からも許可がおり、今日は今年初の春熊猟です。
まずは朝、親方宅に集合し作戦会議です。
「この曽根に親子が居るはずだ。マヂコは二人、○○と○○がここにはれ。阿久津と俺はセコ。この尾根挟んでカッチに詰め上げろ…」
4人での巻狩りです。
狩猟を始めて5年目。何度か熊狩りには行っているがまだ授かってはいない。今年はどうなるか…。
旧道の残雪を踏みしめ、猟場へと向かう。
ここ数日暑かったとはいえ、いつもより雪は多く残っている。
目指すは奥に見える山の、さらに左奥だ。
猟場へは急登、トラバースも多い。バックカントリースキーでも鉄砲ぶちでも、南会津ではこの最初の急登がつきものだ。
急登が終わって尾根に出ると、決まってこの美しいブナ平が現れる。
この辺りはすでに熊のエリアだ。
新しい足跡があった。穴から出たばかりの熊が足慣らしに徘徊している。
大きな声は出せない。みなそれぞれ無線のイヤホンで小声でやりとりする。
マヂコとセコの配置を確認。ここは親方の一任。長年の経験でこの4人を効率よく配置する。
さて、阿久津はここからセコを始めることに。左の黒木まじりのブナ林に親子の熊がいるとみている。
マヂコは最奥部の尾根にいる。
無線連絡の合図とともに、「ほーい!ほーい!…」と大声で叫びながら詰め上がる。
途中、マンサクが咲いていた。ぴろぴろとした花びら。まんずはやぐ咲ぐ花…まんさく。
花に気を取られている場合ではない。潜んでいるであろう熊を、追い上げる。
沢のカッチまでだいぶセコ上げてきた。直登しながらの大声は息が切れる。
ここまで来てマヂメからは何の反応も無い。一昨年もだめ、去年も失敗…。今回もだめかあ…と諦めかけていたその時。
パーン!パーン!パーン!…とちょうど上部にいるマヂコが発砲したようだ。
そして、数秒後。ガサガサガサー!と音がしたかと思えば、上部の崖から熊が転がり落ちて来たではないか!
ドスンっ!と鈍い音とともに雪の上に落ち、下からは姿が見えなくなった。
ちょうど上部のマヂコから無線が入る。「打ったが逃げらっちゃー!」
直ぐに無線を返す。「阿久津の上に落ちて来た!ただ、周囲に逃げた気配ない。用心しながら確認する…」
親方から忠告が入る。「半矢かもしれねから、下から近づくとやられるっぞ!回り込んで上から近づけ!」
熊は雪の窪でうずくまっていた…。長い木の枝でつついても目を開いて反応なし。首に命中し絶命していた。
若い母熊だった。山の神に感謝し、少し下った緩斜面で解体することにした。
自分で撃ったわけではないが、この4人でそれぞれの役目を果たしての組織猟の獲物。すべてをきっちり4等分した。
毛皮、頭、内臓、肉…。これを4等分してもかなりの重量だった。やっとのことで沢を下り集落へ。夕方6時近くになっていた…。
久しぶりの熊を前に、狩猟歴30~50年の大ベテランの先輩たちと、5年目のわたし。
正直ドキドキした。今までのイノシシやシカとはまた違った緊張感だった。こうして熊と鉄砲ぶちが危険と背中合わせに駆け引きしながら猟をする。そして、ほとんど残すことなく頂く。
まだ興奮しているので適切な言葉が出てこないが、南会津・奥会津で暮らすってこういうことなんでしょうね…。
このブログ書いてる最中、足がつった!緊張と脱水…。