今年の流行語大賞は、「どげんかせんといかん」と「ハニカミ王子」。どっちも釈然としない。どげんかせんといかんなんて特に流行ってた記憶はないし、ハニカミ王子だってハンカチ王子の二番煎じだし。そもそも、「流行語」大賞というネーミングと実情が合致していない。「流行したもの」大賞にすればなんとなく納得できるけど、でもそれじゃ賞のインパクトがないんでしょうね。
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興味がない人はまったく知らないと思うんだけど、今年の大晦日に、「やれんのか!」っていうタイトルで格闘技イベントが開催される。今は消滅してしまったPRIDEの母体となっていた関係者や選手が、一夜限りで復活するというもので、格闘技ファンの自分としてはとても楽しみにしているのだけど、この「やれんのか!」のことを、ヨメが「『やらんのか!』ってなに?」と聞いてきた。
関西では、「やれんのか」とは言わないから、関西人の彼女の脳内で自然と「やらんのか」に変換されてしまったのだろうけども、「やれんのか!」と「やらんのか!」では微妙にニュアンスが違う。意味的には「やれんのか!」は「お前は本当にそれができるのか?」であり、「やらんのか!」は、「お前はそれをやるのか、やらないのか?」となり、語尾下がりで発音すれば、「何や、やると思っていたのに、やらへんのか」という風にもとれる。
こうしたごくわずかなニュアンスの取り違いというのは、実は、翻訳をしていると多発してしまうものである。原文の細かなニュアンスが取れないことも多々あるし、日本語の表現のところで微妙に意味合いが変わってしまうことがある。たった一文字の違い、前置詞の違い、単数形と複数形の違いが、訳文に大きな差となって現れてしまうのだ。これは怖い。本当に怖い。ヒョードルの氷の拳のように怖い。
アントニオ猪木が、藤波辰巳の頬を張る。猪木は叫ぶ。「やれんのか!お前に!」。藤波は猪木の頬を張り返す。やるよ、やれるとも。常にトップに君臨してきた猪木を、いつかは越えなくてはならない。いつまでも脇役じゃない。それが藤波の決意だった。「やりますよ」といいながら、突然自らの前髪をハサミで切りだしたあのときの藤波には、鬼気迫るものがあった。「やれんのか!」という言葉を聴くと、二十年前のこの飛龍革命のことを思い出す(プロレスファンにしかわからないセンチメンタリズムに一人酔う)。
ともかく、こういうちょっとしたニュアンスの違いには、きをつけなくてはならん。やらんのか!、でも、やれんのんかい!、でも、やらへんのか!、でも、やるのんけ?、でも、やったろか!、でもなく、「やれんのか!」。張られたビンタは張り返すだけの気力で、大晦日までやったるぜ!
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興味がない人はまったく知らないと思うんだけど、今年の大晦日に、「やれんのか!」っていうタイトルで格闘技イベントが開催される。今は消滅してしまったPRIDEの母体となっていた関係者や選手が、一夜限りで復活するというもので、格闘技ファンの自分としてはとても楽しみにしているのだけど、この「やれんのか!」のことを、ヨメが「『やらんのか!』ってなに?」と聞いてきた。
関西では、「やれんのか」とは言わないから、関西人の彼女の脳内で自然と「やらんのか」に変換されてしまったのだろうけども、「やれんのか!」と「やらんのか!」では微妙にニュアンスが違う。意味的には「やれんのか!」は「お前は本当にそれができるのか?」であり、「やらんのか!」は、「お前はそれをやるのか、やらないのか?」となり、語尾下がりで発音すれば、「何や、やると思っていたのに、やらへんのか」という風にもとれる。
こうしたごくわずかなニュアンスの取り違いというのは、実は、翻訳をしていると多発してしまうものである。原文の細かなニュアンスが取れないことも多々あるし、日本語の表現のところで微妙に意味合いが変わってしまうことがある。たった一文字の違い、前置詞の違い、単数形と複数形の違いが、訳文に大きな差となって現れてしまうのだ。これは怖い。本当に怖い。ヒョードルの氷の拳のように怖い。
アントニオ猪木が、藤波辰巳の頬を張る。猪木は叫ぶ。「やれんのか!お前に!」。藤波は猪木の頬を張り返す。やるよ、やれるとも。常にトップに君臨してきた猪木を、いつかは越えなくてはならない。いつまでも脇役じゃない。それが藤波の決意だった。「やりますよ」といいながら、突然自らの前髪をハサミで切りだしたあのときの藤波には、鬼気迫るものがあった。「やれんのか!」という言葉を聴くと、二十年前のこの飛龍革命のことを思い出す(プロレスファンにしかわからないセンチメンタリズムに一人酔う)。
ともかく、こういうちょっとしたニュアンスの違いには、きをつけなくてはならん。やらんのか!、でも、やれんのんかい!、でも、やらへんのか!、でも、やるのんけ?、でも、やったろか!、でもなく、「やれんのか!」。張られたビンタは張り返すだけの気力で、大晦日までやったるぜ!