イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

We are not さとがえる

2007年12月30日 22時02分32秒 | Weblog
今年も正月は実家に帰らない。特に理由はないが、やらなければならないこともいろいろとあり、ずっと東京で過ごすことにした。親には不義理をしてしまって申し訳ないと思うが、時期をずらして春頃に帰省するつもりだ。で、いつのまにか明日はもう大晦日である。大晦日といえば、紅白歌合戦だが、僕はこの番組、ここ数年ずっと観ていない。

二十歳を過ぎた頃あたりからだろうか、それまで毎年とても楽しみにしていた紅白が、なぜかとてもイヤなものに感じられるようになった。うまくいえないけど、そのころの僕のささくれだった気持ちが、「紅白的なもの」に対して激しい拒絶反応を示していたのだと思う。家族全員で食卓を囲みあの番組を観ている、大晦日のあの空間が今にしてみると不思議なくらい耐えられなかった。今風のアイドルやなんかを親の世代が無理して観ている姿もなぜだかやるせなかったし、十年一日みたいに代わりばえのしない演歌歌手の知りもしない曲にこっちが付き合わされるのもイヤだった(まあ、偏狭だったわけです)。だから、ご飯を食べるとすぐに部屋に引き返したりしていた。なんとも愛想のない奴である。

いまでもあの番組はあまり好きではない(そして格闘技番組ばかり観ている。が、なぜ大晦日に格闘技なのか、それもシリアスな総合格闘技なのか、僕は格闘技が好きだからいいのだけど、お茶の間的にはなんとも微妙なのではないかという気がする。日本に来ている外国人がみたらかなり驚くのではないだろうか。なぜ、一年の最後を締めくくる一家団欒のお茶の間に、刺青した筋骨隆々の怖いお兄さんたちが血みどろになって殴りあい、関節を締めあう様子が届けられなければならないのか、と。実際、アメリカでは総合格闘技の試合のTV放送は禁止されている州もあったはずだ)。ともかく、紅白については昔から大好きな人がたくさんいるのでろうから、あんまり悪口はいいたくないが、子供でもないのにいい年した大人が男と女に分かれて勝った負けたなんて、何を大騒ぎしているのだろうって気がする。NHKもあまり裕福でもない家庭からも一律に金を徴収しておいて、いったいあの番組作るのにいくら金かけてんだ、って気がする。はやくNHK全部の番組をペイパービューにしてくれないかな。いつもそう思ってる。好きな人が楽しみにしている番組についてとやかくいうつもりはなかったのだけど、ついつい熱くなっちゃいました。ごめんなさい。

で、こんな弟を持ちながらも、うちの姉はものすごく紅白が好きなのである。紅白がはじまったら、一切ほかの局にチャンネルを回させてもらえないくらい、熱烈なあの番組のファンで、その姉は東京に住んでいるのだけど、今旦那さんと子供二人を連れて実家に帰っている。きっと、明日もいつもと同じように紅白を楽しむに違いない。

ちなみに、さとがえりしている姉のことを考えるとき、いつも矢野顕子の『Green Field』という曲が心に浮かんでくる。女の子が成長して、大人になって、自分の家っていうか、場所っていうか、そういうメタファーとしてのどこかにたどり着く。それを象徴するのがGreen Fieldなんだとおもうけど、少女が大人になっていく過程の時の流れだとか、心象風景を見事に描いた名曲だと思う。矢野さんが女の子の心情を歌うとき、当たり前といえば当たり前なのだけど、そこで歌われている気持ちって、女性にしかわからないものでもあるのかな、とヒシヒシと感じる。だから、それを理解するために、ひょっとしたら、異性としての女性ではなく、ある意味自分の分身でもあり、子供の頃から一緒に過ごしてきた姉の存在を思い浮かべてしまうのかな、なんてことも思う。ちなみに、うちの姉、結婚して姓が矢野になったのだけど、それも関係あるのかな?ともかく、この曲の詩はとてもよいと思うので、転載させていただきます。

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Green Field

昔はそこらに 穴があって 私もよく 落ちたものよ
おいしいもんと まずいもん食べて 背は伸びる 眼は開く
and then 心は冷える
たんすの中 もういっぱいなのに 欲しい もっと欲しい でも本当は さびしい
ほほえみの中 不きげんの中 うそつきの中 笑いとばそう

あなたの名前 よばれるまで たくさんのこと いっぱいのこと 集めて
悲しみの中から 光る石みつけたら みがいてそっと 飲みこむ
見知らぬ人と 話しはじめる 聞いたことのない 新しい話
私の耳は 光かがやき ひそやかな涙を ききわける

   Weary days have gone
   Won't be back again

よく晴れた冬の朝 おじいちゃんがいて セーターの色に とびこむと
   ゛よくきたね"
ぶどう畑の向こう 今では私の新しい家 今度こそ私から
   ゛よくきたね"
私の腕は 黄金となり 私達の愛を 押し広げる

  Weary days have gone
  Won't be back again

    Talk about and talk about
    Talk about the greenfields
    Hear me now and hear me now
    Hear me have the greenfields