一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1016  花火嫌いなどと言いつつ遠花火

2013年08月31日 | 

 熱海の海上花火は、8月だけでも7回ある。今日は最終日。これだけあると、さすがにうんざりする。見なければ、音だけが迷惑。余程怖いのだろう、犬たちも耳や尻尾を垂れ、私のそばを離れない。

 それでも、部屋のテラスからも一望できる知り合いから誘われれば、1度くらいは性懲りもなく出掛けて行く。

 「花火は、1年に1回が一番良い。沢山あればあるほど値打ちが下がるというものだ。」などと言いつつ見るのは、実に馬鹿げているのだが・・・・・・。

シラヤマギク  (キク科 シオン属)


1015  木槿垣監視カメラに揺れ止まず  芳秀

2013年08月30日 | 

(むくげがき かんしカメラに ゆれやまず)

 イギリスでは、国民1人に1台の監視カメラがあると言われているが、近いうちに日本も同じようになるだろう。ベビーシッターが乳児を殴るのを監視カメラに撮られて捕まったなんて報道がよくある。

  監視カメラは、人間が人間を信用しないことから生まれた。悲しいことだが、実際に極悪犯が捕まってみると、必要かなと思ってしまう。

監視カメラと言っても、防犯カメラと同じカメラでも目的や用途が若干違うらしい。監視カメラが、防犯カメラとして犯罪を未然に防ぐならば、結構なことである。

サワヒヨドリ(沢鵯) キク科の多年草。


1014  秋草に水位の跡のあらはなり  ちよ

2013年08月29日 | 

 今年は、例年になく集中豪雨が多かった。九州の福岡や山陰の山口、島根、福井、東北の秋田、岩手、更に北海道まで台風ではなく、集中豪雨が襲った。太平洋高気圧のヘリを回って、同じ地域に雨雲が発達し、大雨を降らせたという。

 どうやら、二酸化炭素排出による地球の温暖化によって、海水温が上昇していることが原因らしい。日本を初め、アメリカや中国、発展途上国も本気で排出削減する気はないようだから、これから益々温暖化は進むだろう。つまり、世界中で集中豪雨が益々増える、ということを覚悟せねばならない。

 この句のように人間だけではなく、秋草もその被害者であり、加害者は私達人間なのである。なんと情けないことか。

ダイコンソウ

 

 

 


1013  みんみんの語尾の長きは切なかり

2013年08月28日 | 

  日本全国どこにでもいると思っていたミンミンゼミは、ヤマザクラ、モミジ、ナラノキ、ハゼノキなどの広葉樹林を好むそうである。セミとしては冷涼・乾燥・傾斜地などを好み、南関東に多く北陸には少ないそうである。南関東と言っても、小田原にはほとんどいないそうだ。

  気温や湿度などに、非常に敏感なセミだから、ある地域で急増したり、ある地域で激減したりするそうだ。いづれにしても、私にとっては典型的な秋の蝉である。

センニンソウ(仙人草、学名 )  キンポウゲ科センニンソウ属の 多年草

 


1012  びゅんびゅんと尾根を越えゆく帰燕かな

2013年08月26日 | 

  伊豆半島の尾根に沿ってある有料道路「伊豆スカイライン」の途中にある玄岳。半島の東海岸の熱海と西海岸の三島・沼津を一望できる場所だが、生憎の強風で珍しく東風が吹いていた。

 その風に乗って、ツバメが一羽又一羽と次々と尾根を飛び越えてゆく。突然現れては消え、現れては消える、ものすごいスピードなのだ。

 ツバメは、生活圏では時速47㎞、最高速度は200㎞にもなるそうである。それに強風が加われば、目にも止まらぬ速さだ。

サンゴバナ(珊瑚花)  キツネノマゴ科の小低木


1011  つくばひに知足とありぬ法師蝉  和子

2013年08月25日 | 

 この句の「知足」とは、京都竜安寺の蹲踞(つくばい)に彫ってある、「吾唯知足、(われ ただ たるを しる)」のことかもしれない。竜安寺の説明書には、

仏遺教経(釈迦の遺言のお経)の中に、「知足の者は賎しと雖も富めり」「不知足の者は富めりと雖も賎し」とあることからとったものです。また孔子の言葉に「足ることを知るものは心安らかなり」と教えています。これは、仏教の神髄であり、茶道の精神でもあり、これが真の平和の精神です、と書かれているそうです。

もっと「吾唯知足」に興味のある方は「1度きりの人生を幸せに生きる」をご覧下さい。

ノブドウ(野葡萄) ブドウ科ノブドウ属のつる性落葉低木。


1010  山雀の手に乗る軽さ秋めける   文子

2013年08月24日 | 

(やまがらの てにのるかるさ あきめける)

 山雀は賢いので平安時代にはすでに飼育され、芸を覚えさせられたそうである。特に、日本各地の神社で、つい最近までおみくじを引かせる芸が行われていた。このような芸をさせるために、ある種が飼育されてきた歴史は、日本の山雀以外世界に類例を見ないそうである。

 この句の山雀は、手のひらの餌を食べに来るまで餌付けされた山雀のことだろう。まさか、死んだ山雀の軽さではあるまい。

サルスベリ(百日紅=ヒャクジツコウ)は、ミソハギ科の落葉中高木


1009  まず読まぬ本棚の本夜の秋

2013年08月23日 | 

 とにかく、私は本を読まなくなった。この10年、買った本はたぶん数冊に過ぎない。眼が疲れるし、読んでもなかなか面白い本に出会わない。その代りをしているのが、パソコンとテレビ、そして深夜放送のラジオである。

 ところが、世の中には、家の壁という壁が本棚で、数千冊どころか数万冊の本を所蔵している大読書家もいるらしい。専門書庫でもあれば別だが、大地震でもあれば本の下敷きになって死ぬ覚悟なのだろうか。世の中、実に様々である。

ケイトウ (鶏頭)   ヒユ科の一年生植物。


1008  崖の星となりて朝顔咲き登る

2013年08月22日 | 

 普通の朝顔(と言っても、どんな朝顔が普通なのか?)と違って、オーシャンブルー、クリスタルブルーとも呼ばれる青紫の琉球朝顔は、かなり生命力が強いらしい。知人のお宅の崖一面を覆って咲くその面積と花の数は、実に見事だ。

 ここで、その写真を提示すべきかもしれないが、私はしない。何故ならば、いわゆる「写真俳句」が嫌いだからだ。俳句を発表して、同時にその情景を添付するのは邪道だと思う。読者の想像力を奪ってしまうからだ。

サルスベリ(百日紅=ヒャクジツコウ)は、ミソハギ科の落葉中高木


1007  忘却に責任はなし茗荷の子  るか

2013年08月21日 | 

(ぼうきゃくに せきにんはなし みょうがのこ) 

  「茗荷を食べると物忘れがひどくなる」というのは全くの迷信だそうである。逆に集中力が増す成分が入っているそうである。だから、大いに食べるべきだそうだ。

  さて、釈迦の弟子である周利槃特(しゅりはんどく)は記憶力に乏しい人物で、自分の名前すら忘れてしまう。そこでお釈迦様は、名荷(みょうが:名札のこと)を首にかけさせたが、名荷をかけたことさえも忘れてしまった。そこで名荷と茗荷が同音である事から、このような迷信が生まれたそうである。

コマツナギ(駒繋)マメ科の草状小低木


1006  夜這星ボンボンベッドを2つ並べ

2013年08月20日 | 

  12日の深夜、ペルセウス座流星群の活動が最大になる聞き、湯河原の星ヶ山へ行く予定だったが、生憎の空模様で中止。

 星が山は、箱根山の中腹にある湯河原の公園で、ツツジなどは植えてあるが、植物とパノラマの景色以外、何もない自然公園。この句は、しし座流星群が極大になった、2001年のこと。11月だったから、確かに山の上は寒かったが、流れ星は数分に1個くらいは流れた。

 ところが、1799年のしし座流星群の出現は、ドイツ人のフンボルトがベネズエラで詳細な記録を残したそうである。1時間あたり100万個の流星が見られたと言われている。つまり、1秒に300個の恐ろしいほどの流れ星だったのだ。

 フンボルトは「全天が流れ星で埋め尽くされ、月の直径の3倍以上の流星もあって、流れ星のない隙間はどこにもなかった」と記したそうである。

 流れ星のことを「流星りゅうせい」「夜這星よばいぼし」とも言う。

オミナエシ(女郎花) 合弁花類オミナエシオミナエシ属 の 多年生植物

秋の七草の一つ、チメグサ、敗醤(はいしょう)ともいう


1005  今日こそはどんなもんじゃと蝉時雨

2013年08月19日 | 

  7月7日、早朝のヒグラシ(蜩)から始まり、昼のニイニイゼミ、アブラゼミ(油蝉)、ミンミン蝉、そして数日前から秋の蝉ツクツクホウシ(つくつく法師)が鳴き出し、我が家の蝉が全部出そろった。標高のせいで、クマゼミ(熊蝉)はたぶんいないと思う。

 普通蝉時雨と言えば、油蝉を主体とした騒音に近い大合唱を指すと思うが、ここは意外と油蝉が少なく、数種類がバランスよく、我こそは負けじと競い合っている、そんな蝉時雨である。

キバナコスモス(黄花コスモス) キク科コスモス属の 多年草または一年草?


1004  蝉の羽化笑い羅漢の鼻の先  裕次郎

2013年08月18日 | 

 セミは、カメムシ目セミ上科の昆虫。幼虫として地下生活する期間は3~17年で、短命どころか昆虫類では長い寿命だそうである。

 晴れた日の夕方、目の黒い終齢幼虫は羽化を行うべく地上に出てきて周囲の樹などに登ってゆく。天敵の少ない夜の間に羽化が行われる。成虫期間は1~2週間ほどと言われていたが、実際は1か月ほどだそうである。

さてこの句、本当かどうか疑わしいが信じるとして、信じてしまえば実に可笑しい状況であって、出会った作者が羨ましい。

ところで、蝉たちを笑うように、ガマガエル(ヒキガエル・蟇蛙)もよく鳴く。姿は見えないが、確かに、笑っているように聞こえる。

クサギ(臭木) シソ科の落葉小高木。葉に悪臭がある。


1003  全身に力漲る蝉の殻  亜紀子

2013年08月17日 | 

(ぜんしんに ちからみなぎる せみのから) 

木々の枝や葉に、蝉の抜け殻を見つけて、手のひらに乗せる。じっと見つめる。家に持ち帰り、テーブルの上に置いて何度も眺める。しばらくして引き出しにしまう。それから数年して、昔のままの蝉の殻を見つけて、ごみ箱に捨てる。

だからいつも私は、ぽいと大地に捨てる。空蝉はゴミではない、大地の大事な肥料なのだ。

 それにしても、私の引き出しの中には、なんと沢山の「将来のゴミ」が入っているのだろう。

キンミズヒキ(金水引)  バラ目バラ科キンミズヒキ属の多年草


1002  水を買ふことにも慣れて敗戦日   武子

2013年08月15日 | 

 ヨーロッパでは、超硬水が多く水道水さえ飲料に適さない場合が多いので、ミネラルウォーターの生産販売は、早くから始まっていたようである。

 日本で売られている水は、300社320種もあり、ナチュラルウォーター、ミネラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ボトルドウォーターなどに分類されるそうである。

 日本の水道水は飲めるけれども、塩素の混入や、更に東日本大震災の福島原発事故による放射能汚染の心配から、ミネラルウォーターなどの消費は急激に伸びたようである。日本人なら、最初は誰でも水を買うことには抵抗があっただろうが、それは家族の健康を考えた場合、安全と健康を買うことでもある。

オニユリ(鬼百合)  ユリ科ユリ属