一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2987  梅探るこの世に独り遺されて  佳津子

2023年02月23日 | 

 地球上に80億の人々が住んでおり、イヌやネコなど様々なぺっトも相当いる。自然界には野生の小鳥達や動植物もいるのに、この世に作者は一人取り遺されたという。

 「都会の孤独」という言葉がある。沢山の人々がいても、孤独感はなくならない。フランス語の「デラシネ」「根無し草」は都会の孤独と似ている。「ひとりぼっち」より「おひとりさま」の方が孤独を享受している感じもする。

 父母すでに亡く、元々兄弟姉妹もなく、子孫はなく、そして最愛の夫も亡くし天涯孤独となりました。まして、親しい友人もいないとなれば正に天涯孤独である。

 しかし、作者はどうやら孤独感はないようである。つまり、「今日という日の探梅を楽しんでおります。運よく健康に恵まれ、俳句仲間に恵まれ、おひとり様を楽しんでおります」そんな感じの句ではないだろうか。

節分で鬼にさせられたデンちゃんです。散らばった豆を大喜びでせっせと食べています。

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2986  山雀の糞の一滴初景色  釣舟

2023年02月13日 | 新年

 ヒマワリ(向日葵)の種を餌台に置いて、もう20年以上経つだろうか。ヒマワリを食べるのは、ヤマガラ(山雀)、シジュウカラ(四十雀)、イカル(鵤、桑鳲)キジバト(雉鳩)などである。

 ヤマガラ、シジュウカラは、くわえて行って近くの安全な枝で殻を割って中の種を食べる。イカルは、その場で口の中で殻を割って食べ、殻は器の中に残すから、全て食べきることはできない。キジバトは、殻ごと丸呑みする。

 メジロ(目白)、ヒヨドリ(鵯)は、ヒマワリを決して食べようとしない。ミカンやリンゴなど果物好きなのだ。いずれにしても、鳥によって肉食、魚食、種食、果実食など食性は様々。食性によって、くちばしの形も様々なのだ。

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2985  初詣明るい方へ歩き出す   コトリ

2023年02月11日 | 新年

 この2月は、新型コロナのパンデミックは4年目に入った。ロシアのウクライナ軍事侵攻も1年を迎え、長期化している。地球温暖化も留まることを知らず、多くの暗いニュースが幅を利かせている。

 核兵器からの脅威のみならず、気候変動による環境破壊や生命科学の負の側面による脅威なども考慮して、針の動きが決定されている、世界終末時計。原子力科学者会報の表紙を飾っているその世界終末時計が、今年最短の90秒前と発表された。

 さて、ほとんどの神社の境内には、杜(森)がある。本殿などの建物は、杜に守られるように囲まれている。この句の「明るい方」とは、初詣を終えて木立のない参道の明るさを言っているのかもしれない。

 しかし、作者は希望を失っていないようだ。「最後まで希望を失わないように」というメッセ―ジを私達に投げかけている、と解釈すべきだろう。

ナズナ(薺)ハコベ(繁縷)スズシロ(大根)に、コマツナ、ショカツサイ、クレソン、ルッコラを加えて七草にしました。

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2984  戻らざる遠くの人も冬籠り  さくら

2023年02月09日 | 

「冬籠り」とは、寒さの厳しい冬を、土の中などに潜って、じっとしたまま過ごすこという。 又、寝て過ごすことを「冬眠」というが、これも冬籠りである。人間も冬は家に籠りがちになるから、人間にも適用する。

さて、「戻らざる遠くの人」とは、誰であろうか。今では会うこともなくなった遠くに住む、懐かしい身内や友人のことかもしれない。又、座敷や仏壇に飾っている写真の、今は亡き人々、父や母のことかもしれない。いずれにしても、家に籠って、過去現在未来の様々なことに思いを馳せているのであろう。

フキノトウ(蕗の薹)

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2983  冬の月泣かないための赤ワイン   黒薔薇

2023年02月08日 | 

 人は悲(哀)しくて泣く、怒って泣く、悔しくて泣く、淋(寂)しくて泣く、そして嬉しくて泣く、何かに感動して泣く。この句の場合、どれだろうか。又、月を見ているのだから屋外だろうか室内だろうか。はっきりしていないから、それは、読者に委ねられている。・・・などと考えていたら、以下の作者の自句自解が送られてきた。

 『月を表す言葉には、宵闇、月影、薄月、良夜、偃月、臘月、月華、月桂等々多くの呼び名がある。二十四節気の大寒を迎えての冬の月の高度は高く、寒さも一入厳しく湿度が低いために空気の透明度が高く、月は冴え冴えと見え、真夜中には真上近くになる。

 冬の月の光は、物悲しく侘しい気持ちにさせる。寂寥感、涙する気持ちが湧く。この気持ちは、誰もがもつのだろうか?感情はコントロールできるのか。感情にとらわれないことの一つに無心になりたいと思うことだと・・・ソファーで楽曲を聴きながらボルドーの赤ワインで、平穏な一日に感謝』(黒薔薇、自句自解)

スイセン(水仙)

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2982  第317回 1月 岩戸句会

2023年02月07日 | 岩戸句会

初鏡たしかにこれは祖母の顔     吟

ひょうきんな綽名のまゝの初便り   〃

 

冬の月泣かないための赤ワイン    黒薔薇

大寒や真っ赤なビーツスープ美味

        

初詣明るい方へ歩き出す       コトリ

食べないの寒の山雀餌隠す       〃

 

戻らざる遠くの人も冬ごもり     さくら

雑煮椀具は串刺しが博多流      〃

 

熱燗をグっと飲み干し出す答え    流水

雪嶺の朝日をかえす赤き富士     〃

 

寒椿美しきまま落ちまする      おぼこ

老人が老犬を引く冬の坂

 

寒雀枯萱足場ぶらんこに       豊狂

餅焦がし顔火照すどんど焼 

   

保険証ポインセチアのわきに出す   伊豆山人

松かざり一週間の寿命かな       〃

 

寒波きし故郷の山凛として      信天翁

夕暮の畑道哀し虎落笛        〃

 

バルザックの彫像重き黒マント    マープル 

孫娘より化粧の手解き女正月 

    

冬空に一羽のカラス見張りおり    心

初明りスマホに届くうさぎ年     〃

 

初出航鴎達追いかけてきた      翠風

朝風呂や河津桜が二輪咲き      〃

 

八重の香につつまれ迎える初明り  吠冲

双六やまた振り出しで戦前に     〃

 

ゴミ箱に正月飾り虎の絵馬      ルパン

初日の出大仏様の眼の如し

       

メモ忘れスーパーうろつく夜寒かな  蠍

一字一句心をこめて寒中見舞

    

枇杷の花咲いて受粉の手を求む    淡白

銀杏の樹裸に成りて月を載す

 

山雀の糞の一滴初景色        釣舟

凸凹の沖雲に穴初日の出       〃

 

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2981  初鏡たしかにこれは祖母の顔   吟

2023年02月05日 | 新年

 この句、鏡に映った顔がよく似ている程度の話ではなく、作者の祖母の顔そのものだと言っている。つまり祖母と驚くほどよく似ている、というのだ。

 ここには、多分複雑な想いがあるだろう。ああ、私はこんなに年取ってしまった、という老いに対する悲哀。一方、優しかった大好きだった、今は亡き祖母への恋慕、そんな初鏡だったのだ。又似ているのが母でないことも、気にかかるところ。作者の心は分からないが、それで良かったのか、それとも悲しんだのだろうか。

 さて、ものの見方には、共通点を探す見方と相違点を探す見方がある。日本人は、生まれて間もない赤ん坊を見て「あら、おばあさんにそっくりね」などと、よくお世辞というかご挨拶のように言う。

 一方、瓜二つの双子の兄弟を見て、AちゃんとBちゃんの区別がつかないのはよく見ていない他人だからで、違いの分かる母親が間違えることはあり得ない。

 つまり、共通点を探すのは易しくて、相違点を探すのが難しい。ワインの世界ソムリエコンテストで優勝することができるのは、違いが分かる味覚があるからなのだ。

フキノトウ(蕗の薹)

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