一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2137  木洩れ日のレンズ踊らす青葉風  薪

2020年06月09日 | 

   木立の茂った森や林に入ると、青空は青葉によって封鎖されている。木々は、生きるための見えない闘争を続けながらも、結局はお互いに譲り合って隙間なく葉を広げている。それは実に見事である。勿論、完全に封鎖できるはずもなく、かすかな隙間から漏れる日光が木洩れ日だ。

 この句のレンズとは、葉と葉の隙間をレンズと見立て、レンズを通して地面に洩れ落ちた光が、揺らめいている様子を踊っている、と表現している

    つまり、「木漏れ日のレンズ」とは、葉と葉の隙間のことであり、「踊らす青葉風」とは、地面の木漏れ日が風によって踊っているのである。

ムラサキシキブ(紫式部)

 

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2136  アマリリス大音響の「新世界」 凛

2020年06月07日 | 

 アマリリスは南米原産。ヨーロッパで様々に品種改良され、九十種もある。色も様々でヒガンバナ科ではあるが、百合によく似ている。中には、トランペットに似たタイプもあるという。

 「新世界」と言えば、ドボルザークに交響曲第9番「新世界」がある。ドボルザークは、1841年チェコに生まれ、ヨーロッパで活躍した作曲家であるが、アメリカに招かれ、三年余りの間に弦楽四重奏曲「アメリカ」と共に「新世界」を作曲している。この時代には、ブラームス、スメタナ、グリーグ、グノー、シベリウス、チャイコフスキーなど、後期ロマン派、国民楽派が活躍している。

 さて、この句の大音響は、「新世界」に掛かってはいるが、アマリリスの説明にもなっている、と考えるのが自然だろう。つまり、アマリリスのスピカーから大音響で「新世界」が流れているのだ。

 又、戦後の人類に多大な影響を与えている新型コロナが収束した時に、一体どんな「新世界」がやってくるのか、という作者の不安と期待が入り混じっているのかもしれない。

キョウカノコ(京鹿子)

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