一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1532   シャンプーの香る少年蛍の夜

2015年06月29日 | 

 シャンプーを調べてみた。シャンプーとは、頭髪および頭皮を洗浄するための洗剤で、「シャンプーする」と動詞としても使われている。原語はヒンズー語で「マッサージをして頭皮、毛髪を清潔に保つ」である。

  現代では、シャンプーした後リンス、コンディショナー、トリートメントなどで髪の保護をするそうである。私は坊主頭なので、シャンプーをほとんど使わない。シャワーしながら軽くマッサージするだけで実に簡単。

  江戸時代には、「七夕に髪を洗うと髪が美しくなる」という諺があったそうで、あまり髪を洗わなかった時代の名残だそうである。

  さてこの句、蛍見物の少年の髪からシャンプーの香りがするというが、はたして素直に喜んで良いものかどうか。

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1531   いとおしむ生命のあかり金蘭よ   章子

2015年06月28日 | 

 20年ほど前、キンランを近くの林で見つけ、庭に移植してダメにしたことがある。ようやく今頃になって調べてみると、菌根菌の中の外菌根という特殊な菌根によって生きる、育てることが極めて難しい絶滅危惧種であった。元々は、日本ではありふれた和ランの一種であったが、1990年代ころから急激に数を減らしたそうである。私がキンランを見つけたのは、その時一回限りである。

 作者は、そういったキンランの事情をよく知っているのであろう。だからこその「命の明かり」であり、「いとおしむ」のである。

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1530   今日からは一日二食心太

2015年06月26日 | 

(きょうからは いちにちにしょく ところてん)

 最近、俳優の榎本孝明さんが30日間、水分や飴のみの不食をして話題になった。断食や半断食、絶食とは、考え方が根本的に違うらしい。

 一変にそこまでいかなくても、世には、一日二食の人、又は一食の人もいる。イスラム教のラマダンは昼間食べないらしいが、一種の減食かもしれない。

 そこで私も、昔から断食や不食には興味があったので、まず昼抜きの二食くらいから始めようと思う。慣れないことを始めるのだから、少しづつ減らすのが良いだろう。絶対に成し遂げようなどと固く考えず、たまには心太などが出てきたら、食べても良いのだ。

 

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1529   虎尾草の群れ咲く奥へ誘ひけり   夢人

2015年06月25日 | 

 以前にも書いたが、一口に「トラノオ」と言っても、調べてみると15種類もあり、科もサクラソウ科を初め、シソ科、タデ科、ゴマノハグサ科などがある。

この句のトラノオがどんなトラノオを指しているのかさっぱり分からないが、私はオカトラノオということにしておこう。何故なら、オカトラノオは結構林の中の日陰に咲いているからだ。

そんなことより作者は、人気のない林の奥へどんな麗人?を誘ったのであろうか。

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1528   子規鶯小綬鶏明易し

2015年06月24日 | 

(ホトトギス ウグイス・コジュケイ あけやすし) 

 朝風呂の窓を開けると、飛び込んでくる声はこの3種以外にもお馴染の山雀や四十雀、画眉鳥など。

 ホトトギスがウグイスの巣に卵を産んで、ウグイスより早く孵った、目の見えないホトトギスの雛が額で、巣からウグイスの卵を押し落としている様子を想像する。小綬鶏が鳴けば、茂みの中を母鳥が5,6匹の子供を連れて餌を啄んでいる。

 そんな想像をしながら、青梅雨の今日の一日が始まる。さあ、遅れている窯焚きが近いぞ。

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1527   猪の罠片付ける夏至の昼

2015年06月23日 | 

 イノシシの罠を仕掛けて3か月経った。その間、3度庭を荒らされたがとうとう罠には掛からなかった。ネットに、ドッグフードが効果的とあったので撒いてみたが、山鳩がせっせと食べていた。結局、役所が撒く「米糠」が唯一の撒き餌だった。

 犬の散歩に行けば、ほとんど毎日イノシシの掘り返した痕跡がどこかにある。ところが、設置後の後半2か月近く、全く来なかった。だから確かにイノシシの方が人間より一枚上手だった。

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1526   いつの間に飛んで増えおり京鹿の子

2015年06月21日 | 

  敷地内の道路を飛び越えて、植えたはずのない所に京鹿の子が咲いていた。雑草の中に紛れていたので、早速回りの草を刈っておいた。来年も咲いてくれよ。

  知人の家の京鹿の子は、いつの間にか消えてしまったそうだから、我が家は土質や水はけなどの環境が合っているのかもしれない。

  いづれにしても、植物は環境さえ合えば、放っておいても自然と増えてゆくし、環境が合わなければ自然に消滅する。自慢じゃないが私は、何度も草花を植えては消滅させ、を繰り返しているオロカモノである。

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1525   貪欲にそして無心に圭の夏

2015年06月19日 | 

 ATP世界ランキング5位の錦織圭。チャンコーチから勝利への貪欲さを学び、試合では無心にテニスする姿に感動。それは、窮地でも冷静に集中している試合以外でも、インタビューの彼の表情に自信が溢れているように見えるからだ。

 疑い深い私でも、最近の彼は4大大会で本当に優勝するのではないか、と思えるようになって来たのである。

 さて、現在戦っている前哨戦であるドイツ・ハレの大会。そして、6月29日開幕のイギリス・ウィンブルドン。果たして錦織圭がどのように活躍するか、実に楽しみである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

何ということか、一番恐れていたことが起こってしまった。準決勝でリタイアしてしまったのだ。たぶん、ふくらはぎの肉離れだろう。たぶん、ウィンブルドンは無理だろう。圭君、残念無念だろうなあ。

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1524   生ビール過去も未来もなかりけり   平蔵

2015年06月18日 | 

宇宙誕生           138億年前

太陽系の誕生          50億年前

地球誕生            46億年前

生命誕生            40億年前

霊長類        6500万年前

類人猿        2500万年前

猿人          400万年前

原人          160万年前

旧人           30万年前

ネアンデルタール人    10万年前

クロマニョン人       3万年前

新人            2万年前

 さあ、詰まらない過去に囚われず、今現在を楽しみましょう。

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1523   擦り傷のちびでぶのっぽ蛇苺   恵美子

2015年06月16日 | 

(すりきずの ちびでぶのっぽ へびいちご)

 世には差別用語がある。新聞、テレビ、ラジオなどでは、かなり厳密に禁止しているようで、この句の「ちび、でぶ、のっぽ」も、間違いなく差別用語に分類されるであろう。しかし俳句の7文字を、これら以外の言葉で置き換え、同じ意味のことを言うのはほぼ不可能である。つまり、替えようがない。

世の人々が差別用語に異常に反応するのは、平和と平等ゆえであろうが、現実は経済格差が益々広がり、特に生活困窮の若者が増え、高額所得者の所得は増える一方らしい。政治家も有権者も、社会のどこにメスを入れたらいいのか、勘違いしている。

ついでに、個人に対する差別用語を列挙しておく。知っていた方が良いかもしれないので。

「めくら」、「つんぼ」、「おし」、「どもり」、「ちんば」、「びっこ」、「かたわ」、「きちがい」、「片手落ち」、「白痴」、「廃人」、「かったい」、「目眩まし」、「ブラインドタッチ」、「チビ」、「ハゲ」、「おっさん」、「デブ」、「ブス」「ガイジ」「チショウ」「コミュ障」など)

さて、ヘビイチゴを焼酎に漬けたものには、虫刺されや汗疹時の痒み止め、解熱、神経痛などに効果があるそうだから、きっと、擦り傷にも効くのでしょう。

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1522   少年に胎内記憶紅の花   美枝子

2015年06月15日 | 

 「胎内記憶」には、胎内に入る以前の記憶、胎内での記憶、出産時の記憶などが含まれるらしい。インターネットで検索すると、我が子から胎内記憶の話を聞いた母親の体験談が、結構公開されていて驚く。普通は、3才を過ぎると記憶は消滅してしまうらしいが、確か三島由紀夫も産道を通った時のことを覚えている、と言っていた。

 さて、「胎内記憶」と季語の「紅花」との関連性は判然としないが、紅花は薬や口紅、衣類などの染料としても使われ、又種から絞った食用油は市販されている。源氏物語では、紅花の別名「末摘花(すえつむはな)」が女性のあだ名として使われているそうである。

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1521   正論も空回りする蚊遣香

2015年06月14日 | 

 憲法で「戦争の放棄」と「戦力の不保持」「交戦権の否認」を明記していても、自国民を他国からの脅威から守るために自衛隊という軍隊が必要だという。同盟国であるアメリカが、軍事的脅威を受けた時、協力して防衛、攻撃の援助をする権利を行使しよう、という集団的自衛権を法的に成立させようという阿部政権。

「自国民の生命を他国からの脅威から守る」という名目は、軍国主義者の伝家の宝刀である。

 「戦争の放棄」という憲法を持っているからこそ、自国民の生命を他国からの脅威から守られている、というもう一つの名目は、平和主義者のそれである。

 果たしてどちらが正論なのであろうか。

 

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1520   老犬に母の蛍が来て止まる

2015年06月12日 | 

 母が死んだ数日後の或る日、妙な経験をした。もう夕暮れであつた。門を出ると、行手に螢が一匹飛んでゐるのを見た。この辺りには、毎年螢をよく見掛けるのだが、その年は初めて見る螢だつた。今まで見た事もない様な大ぶりのもので、見事に光つてゐた。「おつかさんは、今は螢になつてゐる」と私はふと思つた。螢の飛ぶ後を歩きながら、私は、もうその考へから逃れる事が出来なかつた。

 曲がり角の手前で蛍は見えなくなった。男の子が2人、私を追い越して踏切りの方へ駈けて行った。彼らは「本当だ。火の玉が飛んで行ったんだ」と、踏切番に訴えていた。 

以上は、1958年に「新潮」に投稿した小林秀雄のベルクソン論『感想』の冒頭の一部抜粋。

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1519   山雀の色柄うすく巣立ちけり

2015年06月09日 | 

 (やまがらの いろがらうすく すだちけり) 

湯河原海浜公園での話。

「あの鳥、何という鳥ですか。最近よく見かけるんですけど」

「椋鳥じゃないの?」

「いやあ、あれは椋鳥と全然違いますよ」

「双眼鏡がないから、断言できないけど椋鳥ですよ。今年生まれた子供じゃないでしょうか」

 正否はいづれにしても、ヒマワリを啄みに来る山雀の幼鳥でも同じようなことが言える。幼鳥は、親鳥より色が鮮明ではない。

 

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1519   夏の月産湯のやうに浸かりけり   眞佐子 

2015年06月08日 | 

風呂場と脱衣場の灯りを消して、湯船に浸かる。おっとと浴槽、最近はバスタブという言葉もあるが、「湯船」はちょっと古すぎるか。

 家を建てて10年。そろそろガスボイラーが故障してもおかしくない時期だ。そう言えば、ウッドデッキも一部腐ってきた。壁の塗り替えはまだ大丈夫そうだ。

 それよりも、33年経った窯のトタン屋根の葺き替えをしなきゃ・・・・・私のようなせっかちは、産湯のように浸かる気分になれそうもありません。

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