一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

659  2012年 7月 岩戸句会 

2012年07月31日 | 岩戸句会

梅雨霧の谷といふ谷埋めつくす     章子

落し文秘めごと抱き老いるなり

 

炎天下鳶職人の幼顔           鼓夢

甚平とゆっくり歩む白き傘

 

落し文折り目きっちりにて候       炎火

縄文の土偶の光り夏の夜話

 

手花火や囲む人の目みなやさし     歩智

風鈴の吊り処きく風もなし

 

青葉風入れて戸棚の大掃除       洋子

前むきに生きよ生きよと落し文

 

泰山木の白き玉割る金の蕊       薪

片足は小室山に掛けて海の虹

 

念力を昆布茶にまぜて土曜凪      正太

バス停の風のすきまの祭笛

 

風鈴を日がな一日眺めおり        遊石

夕焼けて婆の影踏む子等の影

 

洗車する水が呼ぶのかトンボきた    空白

くちなしが土質検査で切り取られ

 

閉じておく明日への扉落し文       雲水

ひぐらしのその哀しさを愛しむ

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658  梅雨霧の谷という谷埋めつくす   章子

2012年07月30日 | 

 久し振りに実家に帰った。次の日、梅雨の最中なのに珍しく晴天だったので、子供の頃から良く遊びに行った近くの山に登ってみた。頂上が近づく頃、急に霧が出てきて、素晴らしい眺望も霧に遮られて何も見えない。 

この霧の中に、大きな川に流れ込む小さな支流が何本もあって、それぞれ深い谷を形成し、その川沿いにそれぞれ数軒から数十軒の村落が点在している。

見えないけれども、心の目で見えている、懐かしい景色・・・・・だったかどうか。

ヒョウタン瓢箪)  ウリ科の雌花

 

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657  原爆忌私も何かしなければ

2012年07月29日 | 

 確かに、吉田秀和氏の言葉通り、日本は病んでいる、と私も思う。しかし、かすかな希望はある。それは、当初国会議事堂前のわずか数十人の反原発デモが、twitterなどによる呼びかけに応じて、今や数万人のデモになっていることだ。それは、次第に日本各地に広がり始めている。

Facebookやtwitterが媒介して起こった、チュニジアのジャスミン革命やエジプト革命のように,流血のない「ホワイト革命」が、日本でも起きるのではないか、起きて欲しいという期待である。

自民、民主といったろくでもない既成政党ではなく、全く新しい若者たち中心による日本が生まれるのではないか、というかすかな希望が見えてきた様な気がする。

ノカンゾウ(野萱草)  ユリ科の多年草。

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656 重病の祖国日本原爆忌

2012年07月28日 | 

 先日の、NHKの「クローズアップ現代」で、音楽評論家吉田秀和氏の話は、非常に興味深いものだった。要点をまとめると

①  彼の書斎のオーディオは、どこにでもある大衆的な機器で、全くこだわっていなかったそうである。日本に初めて音楽レコードなるものが出始めた頃のように、演奏さえ良ければ多少の雑音など、本来気にならないものなのだ。

(そういえば、私の義兄も、ラジオからクラシック音楽が流れてきただけで、直ちに曲名を当てるほどのクラシック愛好家だが、未だに小さなCDラジカセで聞いている。つまり、オーディオ機器の音に凝っている人が、音楽が好きとは限らないということだ。)

 ②   「そこに、自分の考えはあるのか」

 私たち、今日の日本人は「流行」に恐ろしく敏感になっている。何かがはやると、誰も彼も同じことをしたがる。こんな具合に流行を前にした無条件降伏主義、大勢順応主義と過敏症を、これほど正直にさらけ出している国民は珍しい、と私は思う。表ばかりに気を取られずに、裏に何があるか、その本質を見抜いて欲しい。

 3,11の地震と津波と原発の被害を見て思う。この国は病んでいる。太平洋戦争、敗戦当時から、悲しいことだが日本人はなんら変わっていない。

ヒメワレモコウ(姫吾亦紅) バラ科ワレモコウ属の多年草

 

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655  噴水のしぶき高々子を集め

2012年07月27日 | 

 今度こそ、本格的な夏がやって来たようだ。ヒグラシとニイニイゼミにアブラゼミも鳴き出した。気温も35度近くなると、子供たちの楽しみは、勿論水遊び。

海や川が近くにあれば十分なのに、最近は眼の前の海よりも、人工的なプールが人気のようだ。砂が体に付いたり、波が子供たちに嫌われるのだそうだ。

 更に5,6才以下の子供たちには、公園の噴水の回りの浅瀬が格好の遊び場となる。

タケニグサ(竹似草) ケシ科の多年草

別名、ササヤキグサ、チャンパギク

 

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654  尺蠖の尺は取らずに眠りおり

2012年07月26日 | 

654  尺蠖の尺は取らずに眠りおり

(しゃくとりの しゃくはとらずに ねむりおり) 

 室内に置いているゲンペイボク(源平木)の葉が、どうやら虫に食われている。回りに虫の糞らしきものが落ちているし・・・・・・しかし、どうもよく分からない。

 そこで昨日は、真剣に探してみることにした。そうしたら、いたいた。一匹の尺取り虫が枝と全く同じようにじっとしていたのだ。どうやら、昼はじっとしていて、夜活動するらしい。

尺取り虫は、シャクガ科の蛾の幼虫で、亜科が8種類もあるから、種類を同定することはできなかった。それにしても、実に上手に生きているものだ。

アベリア(マツムシソウ目、スイカズラ科、ツクバネウツギ属)

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653  月光とふはふは遊ぶ合歓の花   あや

2012年07月25日 | 

(げっこうと ふわふわあそぶ ねむのはな)

 熱海のような傾斜の多い土地に水平な道路を作るとなると、左右に石垣を作らねばならぬ。お金も平地の倍はかかるだろうし、実に不経済ではあるが、利点もある。

 落葉高木と言われている木々の花が、目の前で見ることができるからだ。合歓の花を目の前で見ることができるのも、傾斜地に住んでいるからだろう。

 さてこの句、合歓の花が月光とふわふわ遊んでいるという。自宅でもマンションでもどちらでもいいが、庭に合歓の木があって、作者の部屋は、合歓をやや見下ろす2階か3階くらいだろう。そうでないと、この情景を間近に見ることは出来ない。

 この時期に、こういう情景を眺められる幸運な人は、日本に0.01%もいないだろうと思う。もうすぐ満月だから、見に行ってみようかな。花火なんかより、ずっとぞくぞくするよ、きっと。

ネムノキ(合歓の木) ネムノキ科(広い意味でマメ科)の落葉高木。

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652  土用鰻山谷ブルース聞きながら

2012年07月24日 | 

(どよううなぎ さんやブルース ききながら)

 最近、ニホンウナギの産卵地が太平洋、グァム島の西側、マリアナ海嶺のスルガ海山付近であることが分かったそうである。

その卵が孵って、黒潮に乗って再び川を遡上する。その頃のウナギはシラスと言って、透明な5センチ程度。海岸近くのこれを網で捕獲して養殖場で育て出荷する。

最近は、中国産が増えているようだが、今年は、マダカスカル産まで空輸し始めたそうである。資本力で世界中のウナギを集めてまで、土用鰻を食べる必要が、果たしてあるのだろうか。

ウナギだけではなく、乱獲によって日本近海の魚類の漁獲量は、減り続けている。このまま放置しておけば、近い将来ウナギは絶滅危惧種になるに違いない。

 1億人の日本人の欲望のすごさに驚くばかりだ。私は、そんなこと考えもせず、今まで十分ウナギは食べてきた。だから、もう食べなくてもいいだろう。

 70年安保世代に多大な精神的影響を与えた「山谷ブルース」も、今では作者も私達と共にお蔵入り。でも、良かったらクリックして聞いてみて下さい。いい歌です。

ミソハギ(禊萩)ミソハギ科ミソハギ属の多年草

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651  消えし球入道雲より落ち来たる

2012年07月23日 | 

(きえしたま にゅうどうぐもより おちきたる)

  昨日は、二十四節気の大暑だったが、季節外れの寒さだった。しかしまあ、こんなことは良くあることだ。

 去年は、連続10年の200本安打も途絶え、今年もイチローの調子がイマイチ。MLB球界4位の高額年俸20億は、マリナーズのオーナー、ニンテンドーの広告塔としての多過ぎる年俸で、もはや実力的には、10分の1程度らしい。

 王、長嶋と同様、どんな天才であろうとも、いつか必ず引退の時が来る。イチローにもその時期が着々と迫っているらしい。

 この句は、シアトルのセーフコフィールドでマリナーズの試合を観た時の句。このボールをキャッチしたのは、勿論イチロー。

アガパンサス(ユリ科アガパンサス属)の青と白

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650  雨は去り風は残りて夕端居

2012年07月22日 | 

 (あめはさり かぜはのこりて ゆうはしい)

梅雨明け宣言が出て数日経ったら、一挙に10度以上も下がり、5月並みの寒さに逆戻り。つまり戻り梅雨。しかし、それも今日あたりで終わりで、再び真夏がやって来るらしい。

 そこで、テラスに出しっ放しのテーブルに穴を開けて、パラソルを立てることにした。これで、昼間の端居も準備万端。

14才のモモ(♀)と、2才のデン(♂)

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649  碁敵を待つビール枝豆冷奴

2012年07月21日 | 

(ごがたきをまつ ビールえだまめ ひややっこ)

 一昨日、伊豆市の吉名温泉、東府やで、第67期囲碁本因坊戦の第7局が行われ、山下敬吾本因坊を、井山裕太挑戦者が破り、新本因坊になった。

 23才の若さで、本因坊・十段・天元の3タイトル保持者になった。囲碁界も新時代到来のようである。

 さて、我々のヘボ碁も下手同士なら、勝ったり負けたりで実に楽しい。つまり楽しむ秘訣は、力が拮抗している相手とやることだ。

コスモス  キク科コスモス属の総称。アキザクラ(秋桜)とも

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648  万緑や不法投棄が散乱す

2012年07月20日 | 

 こんな俳句は止めてくれ、と言われそうだ。しかし、たまにはこういう俳句も作らねばならない。きれいごとの俳句ばかり作って満足していて、一体どうなるというのだ。

 消費税増税は賛成するにしても、新たな数兆円の使い方が問題だ。福祉も結構だが、その前にしなければならないのは、第一にゴミ処理である。

 物を買う、つまり消費とは、ゴミを買うに等しい。買い物から帰って、包装を全て剥がした時のゴミの量。これを全国民がやっているのだから堪らない。消費税をゴミ処理に使わなくてどうするのだ。

 市町村は、電気製品などのゴミ処理を有料化している。そのため、良からぬ市民が、なんと山中に、川や海に電気製品や車、毒物などを不法投棄しているのだ。産業廃棄物処理業者の中には、山中に野積みしているものもいる。

 だから、商品を買う時点で、ゴミ処理費として消費税を取り、全てのゴミ処理を無料化しなければならない。こんな当たり前のことを、政治家の誰もが、一言も言わないのが不思議でならない。

 近頃、カナダやアメリカの西海岸に、東日本大震災の瓦礫が漂着し始め、海岸が汚染され、動物の生態系にも甚大な被害があるという。国際法上、補償義務はないからといって、放置しているらしいが、そんなことで良いはずがない。直ちに、撤去作業を援助すべきだ。

この句、「不法投棄」は、横行はしても散乱はしないけれども、俳句上ご容赦願いたい。

オオバギボシの花が、次第に変化してくるのを眺めるのは、

毎朝の楽しみ。

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648  梅雨明けを暁の蜩囃しおり

2012年07月19日 | 

(つゆあけを あけのひぐらし はやしおり)

 2,3日前から、梅雨前線が日本海方面に上がり、関東各地で35度を越えていたが、昨日ようやく「梅雨明け宣言」があった。近年、西日本にばかり集中豪雨の被害が増えている。どういう訳だろうか。

 そんなことを考えながら、パソコンをいじっていたら、突然ヒグラシが鳴き出した。そこで一句。ところが、夏の季語「梅雨明け」と秋の季語「蜩」、季語が二つあって、それも夏と秋。必ず文句を言う輩がいる。

「早くそういう既成概念を卒業して下さい」と言うのだが、なかなか頑固な御仁がおられる。

「えっ、あなたの方がよっぽど頑固ですって。そうかもしれません」

さて、5時だ、今日の「明日への言葉」は面白かった。何せ、101才で現役の方のお話だったから。ヒグラシが鳴き止み、ウグイスが鳴き出した。とにかく一眠りしよう。

リュウキュウアサガオ(琉球朝顔)ヒルガオ科イポメア(サツマイモ)属の半耐寒性蔓性多年草

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647  梔子やシャワートイレの全自動

2012年07月18日 | 

(くちなしや シャワートイレの ぜんじどう) 

 とうとう、ここまで来たか、と唖然。トイレのドアを開けると、まず電灯が付き、トイレの便座の蓋が開く。

 便座に座ると消臭ファンが回り出す。用を足してシャワー洗浄、乾燥(これだけはボタン操作)。立ち上がれば除菌の水が流れ、トイレの蓋が閉まる。部屋を出ると電灯が消える。これら全てが全自動。

 つい数十年前の「ボットン便所」からは、想像を絶する世界だ。徳川の将軍様だって、仰天するに違いない。

 そこで、活けられたクチナシの花を眺めながら考える。

 しかし、どうしても手放しでは喜べない。糞尿が金肥と呼ばれて、農家が買い取りに来た江戸時代の方が、遥かに合理的だったのではないか。

 膨大な税金を使い、整備された日本中の汚水処理場には、糞尿以外の様々な生活排水、工業廃水も流れ込み、それに含まれる、様々な有害な有機化合物や毒物が、たんまり混ざっており、どう処理しても、まず堆肥としては使えないだろうからだ。

チダケサシ(乳茸刺)  ユキノシタ科 チダケサシ

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646  夏服の父に駆け寄り目覚めけり  佳津

2012年07月17日 | 

 (なつふくの ちちにかけより めざめけり)

 ついこの間のことは、すっかり忘れても、子供の頃の楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、怖かったこと・・・など印象の強かったことは、一生忘れない。

 この句は、夢であるとは一言も言っていないが、「夏服の父に駆け寄った」のは、間違いなく夢の中のこと。幼少期からせいぜい学生時代までの、楽しい思い出が根底にあるに違いない。お父さんが、作者に優しくたっぷりと愛情を注いだろうことが、想像される。

 白の背広とか浴衣とかはっきり言わず、単に夏服とぼかしているほうが、我々にとっては様々に想像できて有難い。

 しかし、楽しい夢であればあるほど、目覚めれば切なく哀しく感じるのではないだろうか。

ヒマワリ(向日葵)  キク科の一年草

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