(かざはなに とどかざれども てをかざす)
俳句や短歌では、作られた場所、時間、事情などを説明する前書きが付けられることがある。これを詞書(ことばがき)という。この句には、「吾子(あこ)逝けり」という詞書がある。
「吾が子が亡くなって詠んだ」ということが解れば、「届かざれども」と「手をかざす」が、作者の大きな悲しみを表現していることが理解できる。詞書がなければ、なかなか理解は難しい。
黄水仙
(かざはなに とどかざれども てをかざす)
俳句や短歌では、作られた場所、時間、事情などを説明する前書きが付けられることがある。これを詞書(ことばがき)という。この句には、「吾子(あこ)逝けり」という詞書がある。
「吾が子が亡くなって詠んだ」ということが解れば、「届かざれども」と「手をかざす」が、作者の大きな悲しみを表現していることが理解できる。詞書がなければ、なかなか理解は難しい。
黄水仙
この句を一般的に解釈すれば、➀「立春だからこそ禁酒禁煙禁美食をした」だろう。例えば、夕べ飲み過ぎて体調不良だった。もっとひどくて、新型コロナで熱を出して寝ている、とか。
しかし、別の見方をすれば、作者は、➁「ずっと前から禁酒禁煙禁美食を続けている」のかもしれない。何故なら、健康な人が、たった一日だけ、まして立春の日に禁酒禁煙禁美食するとは考えにくいからだ。
但し、下司の勘繰りかもしれないが、作者の本音を探れば、「立春に禁酒禁煙禁美食をして「大吉」つまりとても良いことが起きることを願っている」のではないのか。いずれにしても、作者に聞かなければ、本当のことは分からない。
ワビスケ(侘助)
我が家のデンは、11才の老犬である。朝晩2回の食事は、ずーっとドライのドッグフード2カップだったが、やや太ってきたので2年前頃から1カップに減らした。すると、やや痩せて来たので、1.5カップに増やした。
いずれにしても、いつも空腹で餌を欲しがるので、「胃袋が歩いているようだ」などと言われたこともある。空腹を紛らわすためだろうか、最近特にやたらと水を飲むようになった。胃の中でドライフードは、水によって膨れて満腹感を感じるのだろう。そろそろ老犬用のダイエットフードに切り替えようと思う。
岩戸犬 デン 11才
「夏の霜」という季語がある。「夏に、道路などが月に照らされて白い」という意味で、夏に霜が降りた、という意味ではない。
二十数年前、私は歳時記にこの「夏の霜」を発見し、喜び勇んで句作りして投句したが点も入らず、まして質問も受けず、没になった。俳句そのものが面白くなかったのだろうが、句会の皆さん「夏の霜」の意味が分からなかったのだろう、と思われた。
つまり掲句、人が石に変わった訳ではない。石のように見えたのだ。私を含めて五人も選んでいるのだから、満月の晩のそういう状況を皆さんご存じなのだ。
但し、この句の「寒月や」を「夏の霜」に替え、「夏の霜道行く人を石に変え」として夏に投句したら、果たして点が入っただろうか。残念ながら、そういった試みはできないが・・・
ムスカリ
見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるという五感を働かせるのが、俳句の基本と言える。更に、見えないものを見る、聞こえない声を聴こうとすることも俳句だ。
「気配」を辞書で引くと、➀気くばり、手配 ➁何となく感じられる様子、とある。
この句の場合は➁で、寒林に命を宿す全ての、微生物から植物や哺乳類までを含み、作者はそれらに耳を傾けているのだろう。更に、事実を超越した精霊や天使、物の怪や妖怪などや仏や神の世界にまで気配を感じ取れば、俳句の世界は更に広がるだろう。
外来種のガビチョウ(画美鳥)とソウシチョウ(相思鳥)日本の風土に合うのか、着実に増えています。在来種のウグイス(鶯)などの小鳥たち、肩身が狭そうです。
寒林や生きとしもののある気配 稱子
湯たんぽを赤児のように抱いて寝る
遠火事や放火魂疼く夜 鯨児
寒月や道行く人を石に変え
玄関の乱れし靴や去年今年 豊春
仄赤き雲の広がる寒の空
精悍な風貌となり成人日 さくら
駅なかにピアノ響くや寒に入る
雪の夜は踏切の音高くして イヨ
初雪やただ深々と夕の闇
冬花火果てたる闇に孤りをり 凛
雪の日の三千院が好きと君
冬の海月光の道佇まふ 黄玉
満月臘梅寄り添って漣
夫婦にも雑煮の味は郷の色 裕
福寿草箱根七里を駆け抜けて
初泣きは親と娘の卒業式 沙会
書初めは行雲流水と決めにけり
初詣最強守り一つ買う 鞠
早春や古希の祝いの昼の茶事
福寿草ぷいとよそ向く犬の鼻 薪
チーズフォンデュ泡立ちねばる女正月
初雪や紅茶に一匙ナポレオン 洋子
女正月男交じえずいと楽し
スマートフォン操る子の香筆はじめ 炎火
大発会オミクロン株大暴騰
おでん食べ身も心も通い合う 余白
雪だるま汚れ欠けてもおかしけり
猛襲のコロナ六波や小正月 光子
どんど焼き灰かき分けて柚子参上
大寒や野鳥の皿に湯を満たす 雲水
空腹を水で満たすや寒の犬