一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2259  風花に届かざれども手をかざす  政子

2022年02月15日 | 

 (かざはなに とどかざれども てをかざす)

俳句や短歌では、作られた場所、時間、事情などを説明する前書きが付けられることがある。これを詞書(ことばがき)という。この句には、「吾子(あこ)逝けり」という詞書がある。

 「吾が子が亡くなって詠んだ」ということが解れば、「届かざれども」と「手をかざす」が、作者の大きな悲しみを表現していることが理解できる。詞書がなければ、なかなか理解は難しい。

黄水仙

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2258  立春大吉禁酒禁煙禁美食  六甲

2022年02月12日 | 

   この句を一般的に解釈すれば、➀「立春だからこそ禁酒禁煙禁美食をした」だろう。例えば、夕べ飲み過ぎて体調不良だった。もっとひどくて、新型コロナで熱を出して寝ている、とか。

 しかし、別の見方をすれば、作者は、➁「ずっと前から禁酒禁煙禁美食を続けている」のかもしれない。何故なら、健康な人が、たった一日だけ、まして立春の日に禁酒禁煙禁美食するとは考えにくいからだ。

但し、下司の勘繰りかもしれないが、作者の本音を探れば、「立春に禁酒禁煙禁美食をして「大吉」つまりとても良いことが起きることを願っている」のではないのか。いずれにしても、作者に聞かなければ、本当のことは分からない。

ワビスケ(侘助)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2257  空腹を水で満たすや寒の犬  雲水

2022年02月10日 | 

 我が家のデンは、11才の老犬である。朝晩2回の食事は、ずーっとドライのドッグフード2カップだったが、やや太ってきたので2年前頃から1カップに減らした。すると、やや痩せて来たので、1.5カップに増やした。

 いずれにしても、いつも空腹で餌を欲しがるので、「胃袋が歩いているようだ」などと言われたこともある。空腹を紛らわすためだろうか、最近特にやたらと水を飲むようになった。胃の中でドライフードは、水によって膨れて満腹感を感じるのだろう。そろそろ老犬用のダイエットフードに切り替えようと思う。

岩戸犬 デン 11才

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2256   寒月や道行く人を石に変え     鯨児

2022年02月08日 | 

 「夏の霜」という季語がある。「夏に、道路などが月に照らされて白い」という意味で、夏に霜が降りた、という意味ではない。

二十数年前、私は歳時記にこの「夏の霜」を発見し、喜び勇んで句作りして投句したが点も入らず、まして質問も受けず、没になった。俳句そのものが面白くなかったのだろうが、句会の皆さん「夏の霜」の意味が分からなかったのだろう、と思われた。

つまり掲句、人が石に変わった訳ではない。石のように見えたのだ。私を含めて五人も選んでいるのだから、満月の晩のそういう状況を皆さんご存じなのだ。

 但し、この句の「寒月や」を「夏の霜」に替え、「夏の霜道行く人を石に変え」として夏に投句したら、果たして点が入っただろうか。残念ながら、そういった試みはできないが・・・

ムスカリ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2255  寒林や生きとしもののある気配  稱子

2022年02月07日 | 

 見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるという五感を働かせるのが、俳句の基本と言える。更に、見えないものを見る、聞こえない声を聴こうとすることも俳句だ。

「気配」を辞書で引くと、➀気くばり、手配 ➁何となく感じられる様子、とある。

  この句の場合は➁で、寒林に命を宿す全ての、微生物から植物や哺乳類までを含み、作者はそれらに耳を傾けているのだろう。更に、事実を超越した精霊や天使、物の怪や妖怪などや仏や神の世界にまで気配を感じ取れば、俳句の世界は更に広がるだろう。

外来種のガビチョウ(画美鳥)とソウシチョウ(相思鳥)日本の風土に合うのか、着実に増えています。在来種のウグイス(鶯)などの小鳥たち、肩身が狭そうです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2254  第305回 岩戸句会 1月

2022年02月05日 | 岩戸句会

寒林や生きとしもののある気配   稱子

湯たんぽを赤児のように抱いて寝る

 

遠火事や放火魂疼く夜       鯨児 

寒月や道行く人を石に変え

 

玄関の乱れし靴や去年今年     豊春 

仄赤き雲の広がる寒の空

  

精悍な風貌となり成人日      さくら

駅なかにピアノ響くや寒に入る

 

雪の夜は踏切の音高くして     イヨ

初雪やただ深々と夕の闇

 

冬花火果てたる闇に孤りをり    凛

雪の日の三千院が好きと君

 

冬の海月光の道佇まふ       黄玉

満月臘梅寄り添って漣

 

夫婦にも雑煮の味は郷の色     裕

福寿草箱根七里を駆け抜けて

 

初泣きは親と娘の卒業式      沙会 

書初めは行雲流水と決めにけり

 

初詣最強守り一つ買う       鞠

早春や古希の祝いの昼の茶事

 

福寿草ぷいとよそ向く犬の鼻    薪 

チーズフォンデュ泡立ちねばる女正月 

 

初雪や紅茶に一匙ナポレオン    洋子

女正月男交じえずいと楽し 

 

スマートフォン操る子の香筆はじめ 炎火

大発会オミクロン株大暴騰

 

おでん食べ身も心も通い合う    余白

雪だるま汚れ欠けてもおかしけり

 

猛襲のコロナ六波や小正月     光子

どんど焼き灰かき分けて柚子参上

 

大寒や野鳥の皿に湯を満たす    雲水

空腹を水で満たすや寒の犬

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする