初不動厄なき齢となりにけり 正太
元朝や風葬の国はるかなり
日の丸に折り跡ありてお正月 歩智
柚子風呂に揺れる貮拾の雅かな
阿部サダの住みし色町柳に雪 稱子
もののみな息吹溢るる大旦
ピータンの混沌の色大旦 薪
花骨牌指切るような音のせり
木枯をしかと受けとめ山に住む 章子
元朝や八十路の坂の音もなく
京八坂祇園界隈雪女郎 遊石
秘め事を秘めて願いし初詣
一病を自慢しあいて冬茜 洋子
漁火のかすかに残る初景色
正月や例えばマクドナルド哉 炎火
元朝や豚児一家の寝息かな
おもしろき日陰の形残り雪 空白
チェーン巻く車の振動地の怒り
元朝に繰り言頻り逆らえず 豊春
手捻りに碗生まれだす春隣
雪折れの大枝に賜る柚子五つ 侠心
積む雪に椿花にじみてシャーベット
御屠蘇酌むもしかして惚れ薬かも 雲水
静寂の日々を重ねて寒椿