一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

3057  第506回 多留男会

2024年09月12日 | 多留男会

年とらぬ老人ばかり盆踊り     流水   

かりそめの熱き吐息や藍浴衣    〃

           

ひぐらしや無人の街の赤信号    豊狂

秋茜伊豆の山々舞い遊ぶ      〃

 

庭仕事蚊取線香虫スプレー    コトリ

東京の空から見えぬ天の川     〃

           

新生姜香りほどけて朝の風    信天翁

音立てて小玉スイカ真っ二つ    〃

 

盆踊り炭坑節で輪の中へ      心

白桃を供えて愛を確かめて     〃

 

快晴の終戦記念日水美味し     淡白

五輪見てストレスたまる原爆忌   〃

 

熱帯魚指揮するもののいるように  紅

拾わんとすれば落蝉泣き喚く    〃

 

蜩や木霊にのりて谷巡る      凛

ヒロシマに夾竹桃の花咲けば    〃

 

ひぐらしは目覚まし時計山の家   釣舟

花木槿今日一日を仕舞いけり    〃

タマアジサイ(玉紫陽花)

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3056  年とらぬ老人ばかり盆踊り  流水

2024年09月12日 | 

 盆踊りは、伝統的な昔ながらの盆踊りもあるが、最近の新しい盆踊りは、六本木ヒルズ、サンシャインシティ、大崎ニューシティ、みなとみらい、築地本願寺などで開催される大都会の各地域による人集めの手段として開催されているようである。

 それらは日にちもまちまちで、特にお盆開催とは限らない。音楽も、伝統的な炭坑節、東京音頭、花笠音頭などの他に、新しい「きよしのズンドコ節」や子供のための「ドラえもん音頭」なども作られ、様々に演奏されている。インバウンドの外国人のための盆踊りさえある。

 さてこの句、盆踊りで老人たちが踊っているが、手さばき足さばきは若い頃と少しも変わらず元気に踊っているのである。句だけを見ると、老人だけが踊っていて不気味だと誤解されそうではあるが、実際はそうではない。子供や若者、外人たちも入り混じって大勢踊っているのでご安心ください。

クチナシ(梔子)

 

                         

 

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3055  水風呂にゆっくり浸かり夕端居  釣舟

2024年08月12日 | 

(みずぶろに ゆっくりつかり ゆうはしい)

 我が家には、扇風機はあるがエアコンがない。昼間、30度を越える時はたまにあるが、静かにしている限りそれほど汗はかかない。夜はせいぜい27度ぐらいで、寝苦しいことはほとんどない。

 但し私は、真夏の早朝の日が昇る前の4時過ぎから2時間くらい外仕事をすることにしている。草刈りや薪割り、畑仕事などだ。しかし、早朝であっても肉体労働は暑くてたまらない。そんな時、汗をぐっしょりかいたら、体を冷やすのに水風呂が最も効果的だ。日中の猛暑でも、水風呂に入って汗を流せば、熱中症になることはまずない。

「水風呂へ流し込んだる清水かな 一茶」という句があるが、長野県信濃町生まれで、晩年は故郷に住んだから、その時の句だろう。江戸時代だから、小川の水を竹の樋で風呂に引き込んだのかもしれない。清水を風呂に引き込むなんて、羨ましい限りである。

ヤブカンゾウ(藪萱草)

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3054  炎帝や微笑含む辻地蔵  豊狂  

2024年08月10日 | 

(えんていや ほほえみふくむ つじじぞう)                      

 真夏の暑さを表現する季語には、暑し、燃ゆ(炎ゆ)、灼く、油照り(脂照り)、暑熱、暑気、大暑、極暑、酷暑、猛暑、溽暑、炎暑、炎天、炎昼、炎帝と、様々である。

 この句の「炎帝」とは、中国太古の伝説的な神の名で、南方に位置し、夏の季節をつかさどる神。五行思想で〈火〉にあたる位置にいるところから,三皇の一人,神農と結びつき,炎帝神農氏と呼ばれ,伏羲と黄帝の間に入る帝王として歴史化されたそうである 姓は姜(きょう)。

 さてこの句、暑さ極まる炎天の中、触ったら火傷するかもしれない高温の石地蔵様、暑がるどころか、微笑んでいるというのだ。それに対して人間は、暑い暑い、何という暑さか、温暖化の影響だろうか、冷房をどうするああする、などと不平不満である。この辻地蔵のように微笑んで過ごしたいものである、と作者は思っているに違いない。 

 ところで、炎帝も神、地蔵も神。天にまします炎帝と地にまします辻地蔵。神と神が対峙して、一体何を語り合っているのだろうか。愚かな人間を懲らしめようと、大災害の鉄槌を与えようとしていなければ良いのだが・・・・・。いずれにしても、その困り果てた人間を救うのが地蔵のはずである。

ヤマユリ(山百合)

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3053  チンドン屋ピアノ初戀富士登山  喜孝

2024年07月29日 | 

 この句の前書きに、「為し残せしこと」とある。そこで、この四つの「作者がもう絶対しないであろう、出来ないであろうやり残したこと」を考察してみる。

 チンドン屋とピアノには、楽器演奏という共通点がある。作者は、音楽を聞くのが大好きで、相当な音楽通なのだが、とうとうピアノ演奏には至らなかった。但し、後悔しているとは限らない。後悔しているとしても、ほんの少しだろう。

 初恋をせずこれからもすることがない、ということは、生涯恋をしたことがない、ということになる。しかし、それではつまらない。あくまで、少年時代の淡き純粋なプラトニックな初恋を指しているのである。「初戀」が、旧字体になっていることから、それが窺われる。作者は、恋多き男に決まっている。

 過去の日本人の、どのくらいが生涯に富士登山をしたか、全く分からないが、多く見積もっても2,3割程度ではないかと思う。作者も、いつかは登りたいと思いながら、年を取って登るチャンスを逃したのだ。

 いずれにしてもこの句、前書きをうまく使った句,と肯定することができるし、逆に、前書きがなければ分からないような句は良くない、と否定することもできる。

合歓の花

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3052  かがり火の音たくましや鵜飼舟  信天翁

2024年07月27日 | 

 掲句の作者は、鵜飼を篝火に焦点を当てて炎の力強さを表現している。鵜飼の句と言えば、芭蕉の「おもしろうて」の句や謡曲「鵜飼」の文言が下敷きになっているかもしれない。

 つまり、芭蕉の鵜飼の俳句「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉  芭蕉」があるからだ。芭蕉のこの句は、能・謡曲の題目である「鵜飼」を下敷きにして作られた、と言われている。

 あらすじは、「安房の国の僧が、老いた鵜使いと出会う。鵜使いによると、『私は殺生の禁制を破った咎めを受けて、殺された鵜使いの亡霊である』と語り、鵜を使った漁の様子を見せた後、闇へ消えてゆく。  鵜使いの悲惨な死を聞いた僧は、甲州笛吹川の石に法華経の経文を書きつけて、老人を供養する。そこに閻魔大王が現れ、殺生の罪により地獄に堕ちるべき鵜使いの老人が、以前従僧をもてなした功徳と法華経の功徳もあって、救いを得たことを知らせる」 尚、この僧は、日蓮と言われている。

 芭蕉の句は、鵜飼見物の一夜が更けて鵜舟が帰るころには、あれほど面白がっていた鵜飼であったが、そのまま悲しく切ない思いへと変わってゆくことだ、という意。

 見物人を集めるほど人気の鵜飼ではあるが、鵜を飼い慣らし、殺生をする行為を残忍ととらえ、止めさせようとする仏教、特に日蓮宗・法華経の教えが基本になっている。

オオバギボウシ(大葉擬宝珠)

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3051   第503回 令和6年6月 多留男会  

2024年07月19日 | 

かがり火の音たくましや鵜飼舟    信天翁

病葉を風のいたずら雨もつれ     〃     

    

梅雨空や白亜のビルの塗装工     豊狂

卯の花や彼方利島の黒き影      〃           

    

草笛の上手な叔父は征きしまま    凛 

背伸びして園児無心に新茶摘む    〃

    

病葉の下から芽ぶく命あり      流水 

青梅の向こう側からやって来し    〃

  

学童の田植えの列や水光る      心

アナベルや白一色に命がけ      〃

             

雨蛙てかてか照って雨遠し      黒薔薇

こころ隠してサングラスの自由よ   〃

 

病葉や溺れるごとく流れゆく     紅

こぼれくる雨の気配に夏匂ふ     〃

 

夢の中大きな大きなサクランボ    コトリ

紫陽花をドッサと活けて待つ客人   〃

  

公園のヒキガエル死に土と化す    淡白

腰叩きウグイスを聴く掃除かな    〃 

      

梅干しが大活躍のツユ弁当      伊豆山人

ミニトマトすくすく伸びて甘くなり  〃

 

虎尾草と蛍袋の恋心         釣舟

夏椿胡弓奏でる風の部屋       〃

 

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3050  菖蒲園江戸しぐさして橋渡る  凛 

2024年07月02日 | 

江戸しぐさとは、他人と付き合う時の礼儀作法や自分を磨く考え方や方法などをいう。

◎傘かしげ 雨の日に互いの傘を外側に傾け、相手が濡れないようにすれ違うこと。

◎肩引き 道を歩いて、人とすれ違うとき左肩を路肩に寄せて歩くこと。

◎時泥棒 断りなく相手を訪問し、または、約束の時間に遅れるなどで相手の時間を奪うのは重い罪(十両の罪)にあたる。

◎うかつあやまり たとえば相手に自分の足が踏まれたときに、「すみません、こちらがうかつでした」と自分が謝ることで、その場の雰囲気をよく保つこと。

◎七三の道 道の真ん中を歩くのではなく、自分が歩くのは道の3割にして、残りの7割は緊急時などに備え他の人のためにあけておくこと。

◎こぶし腰浮かせ 乗合船などで後から来る人のためにこぶし一つ分腰を浮かせて席を作ること。

◎逆らいしぐさ 「しかし」「でも」と文句を並べ立てて逆らうことをしない。年長者からの配慮ある言葉に従うことが、人間の成長にもつながる。また、年長者への啓発的側面も感じられる。

◎喫煙しぐさ 「喫煙禁止」などと張り紙がなくとも、非喫煙者が同席する場では喫煙をしない。

◎お心肥やし 知識・機能を増やすだけでなく心・感性を磨く

◎見越しのしぐさ 先を読む

◎ロク 江戸っ子の研ぎ澄まされた第六感。五感を超えたインスピレーション。

(私見ではあるが、五感の次に第六感があるのではなく、五感すべての上に乗っているのが第六感だ、と思う。幸運を呼び込む予知能力、不幸を避ける予知能力、テレパシーなどがある。特に、味覚や臭覚、触覚を磨くと良い)

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3049  かがり火の音たくましや鵜飼舟  信天翁

2024年06月27日 | 

鵜飼と言えば、「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉   芭蕉」を思い出す。

芭蕉のこの句は、能・謡曲の題目である「鵜飼」を下敷きにして作られた、と言われている。

 あらすじは、「安房の国の僧が、老いた鵜使いと出会う。鵜使いによると、私は殺生の禁制を破った咎めを受けて、殺された鵜使いの亡霊であると明かし、鵜を使った漁の様子を見せた後、闇路へ消えていく。鵜使いの悲惨な死を聞いた僧たちは、川の石に法華経の文句を書きつけて老人を供養すると、そこに閻魔大王が現れ、殺生の罪により地獄に堕ちるべき老人が、以前従僧をもてなした功徳もあって、救いを得たことを知らせる」

 芭蕉の句は、鵜飼の一夜が更けて鵜舟が帰るころは、あれほど鵜飼を面白がっていたが、そのまま悲しく切ない思いへと変わってゆくことだ、という意。

 見物人を集めるほど人気の鵜飼ではあるが、鵜を飼い慣らし、殺生をする行為を、残忍ととらえ、止めさせようとする仏教、特に日蓮宗の教えが基本になっている。

 さて、掲句の作者「あほうどりさん」は、鵜飼を篝火に焦点を当ててその逞しさを表現しているが、芭蕉の「おもしろうて」や謡曲「鵜飼」が下敷きになっているに違いない。

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3048  合併に市となる離島山笑ふ  巣鳩

2024年04月23日 | 

 市、郡、町、村、という人口や経済規模によって差別化された単位が、合併によって新しい名前の市になった。国・政府はこの30年、グローバル化・均衡財政・税金の細分化などにより支出を渋り、緊縮財政によって地方を疲弊させた。そして、都市の一極集中を招いた。

 しかも政府・日銀は、30年の経済停滞、デフレを平然と放置している。外国人に土地を買われ、企業も株も買われている。「売国奴」という言葉があるが、まさに、日本が売られている。

 それに気付かず、奴隷のように沈黙している、選挙にもいかない多数の日本国民、インバウンドに大喜びし、貴重な魚介類・野菜果物、等々、多くの国産の高級品を外国人に差し上げて(取られて)喜んでいる生産者・日本国民。

 その一つ、離島の合併により、村から市に名前が変わって喜んでいるのだ。離島の自治権が奪われ、市役所のある主要地の言いなりになることを、知ってか知らずか。この句の作者が、合併を喜んでいるのか、嘆いているのか分からないが、嘆いていることを切に祈る。

ホトケノザ(仏の座)

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3047  501回 多留男会 令和6年3月句会

2024年04月22日 | 多留男会

あーでもないこうでもないとつるし雛 心

老梅を母の形見と言う老人      〃     

    

山笑うAIニュースの合成音    豊狂

山笑う卒園祝う胸のバラ       〃           

      

大空を国境もなく鳥帰る     黒薔薇

春の海ゆうらりゆらり観光船    〃

 

菜の花やみつ蜂遊び風遊び    信天翁

幕山の川音高し風光る       〃

 

採血の針ウロウロと春とおし   コトリ

眠れない雛人形の目が一杯     〃

 

ふるさとは雲形の頃遠い嶺     紅 

白木蓮夜の帳の仄明り       〃

 

まんまるに大きくふんわり朧月  流水

旅立の祝言葉や桜まじ       〃

 

背後から魔女の一撃春の雷     凛

朝の地震大島包み陽炎いぬ     〃

 

春の夢なつかしき人に出会う筋 伊豆山人

陽の光あびる草摘む散歩かな    〃

 

ゴジラ観る日比谷エリアは山笑う  淡白

カラスの巣除去ガザウクライナ   〃

 

野遊びや足裏の発条の心地よき   釣舟

西行に耳欹てし涅槃かな      〃

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3046  あーでもないこーでもないと吊るし雛  心

2024年03月29日 | 

 吊るし雛は、江戸時代から始まったようである。高価な雛人形とは異なり、近隣の仲良しの女性たち、母親や祖母が吊るし雛作りに集まり、娘の成長を祈りつつ、わいわいがやがや、あーでもないこーでもないとアイデアを出し合って、布や紙、糸などで様々な雛を手作りするのである。

人形以外に手毬(幸せ)、鶴亀(長寿)、三角(無病)、うさぎ(魔除)、巾着(お金)、本(学業上達)、犬(安産)、海老(長寿)など、様々な縁起ものを作り、吊るしたのである。

そして、吊るされた雛たちを揺らせば、一斉に雛人形たちはあーでもないこーでもないとおしゃべりを始めるのである。

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3045  家康も斯くありなむと初音待つ  釣舟

2024年03月26日 | 

 近年に起こった震度7以上の巨大地震は、

2011年の東日本大震災。

2016年の熊本地震、

2018年の年の北海道胆振東部地震、

そして今年2024年の能登半島地震。

つまり、3~4年に一度、日本のどこかで巨大地震が起きていることになる。

 しかし、今回のテーマは初音である。その年の初めて聞いた鶯の声を「初音はつね」という。ちなみに家康が待ったという、初夏に鳴くホトトギスの初鳴きは「忍び音しのびね」という。

 初音を待ち焦がれている私であるが、まだ、聞かない。毎朝1時間近く散歩しているから、聞き逃してはいないはずだ。そこで、毎年初音を聞いた日を記録しているので、以下に記す。

2019年 2月 9日、21年 2月 22日、12年 2月21日、16年 3月  3日、15年 3月  9日

20年 3月 9日、18年 3月15日、17年 3月19日

 平均は、3月 4日なので、今年はやや遅い。2月に20度を越える日があり、「地球温暖化のせいだ、暖冬のせいだ」と騒がれたが、結局は平年並みなのだ。

 地球温暖化の原因がCO₂で、削減しなければならない、いう世の主張は疑わしい。又CO₂原因説が正しいとしても、圧倒的に多い半分近く(45,7%)のアメリカと中国が先導して協力する必要がある。森林伐採が続き、2020年の世界の二酸化炭素排出総量は約314億トン。国別は、以下の通り

1 中国     32.1%  

2 アメリカ   13.6%     

3 インド     6.6%           

4 ロシア     4.9%        

5 日本      3.2%          

6 ドイツ     1.9%         

7 韓国      1.7%          

8 インドネシア  1,7%

9 カナダ     1.6%

10 ブラジル    1.2%

11 オーストラリア 1.2%

12 メキシコ    1.1%

13 イギリス    1.0%

14 イタリア    0.9%

15 フランス    0.8%

その他       26.4%

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3044  山笑うカードで太る財布かな  おぼこ  

2024年03月10日 | 

 「山笑う」とは、まず春になり、木々の蕾が赤く色付き山全体が膨らんできた様子を言う、更に山桜など木々の花々が咲き、むくむくと山全体が更に盛り上がって見える様子を言う。今ちょうど、ヤシャブシが咲き出している。

 一方、作者の財布は、クレジットカード、ポイントカード、SUICAなど様々な物を買うためのカードによって膨らんでいるというのだ。その中では特に、ポイントカードが多いだろう。ポイントカードを作って売る販売戦略に乗せられているのは、第一にスーパーなどの小売店舗であり、第二に使う私達消費者である。この便利なカード社会に抗うのは、消費者が夢中になる限り、かなり難しいようである。

 本来不必要なカードを作って売る商魂によって踊らされている消費者ではあるが、財布を膨らませて結構楽しんでいるようだから、カードは必要な遊びであり、今に至っては生活必需品なのだ。

 一方、将来予測すれば、現在カードは滅びつつあります。カードはスマホの中、つまりネットの中に保存されつつあります。メールが出現し手紙や葉書が不要になったように、アマゾンが出現しデパートなどの小売店舗が閉鎖に追い込まれたように、カードは無くなりつつあります。インターネットがこの社会を、人間を変えつつあるのです。

 おっとっと、インターネットで変わらないものが、まだまだ沢山ありますのでご安心を。しかし、よくよくご注意を!!

 この句、作者が膨らむ春の山々と、自分の財布の膨らみを比べているところが妙。一体、人間はどこに向って進んでいるのだろう、という問いを私達に問いかけているのだ。      合同句集「天岩戸」より

ホトケノザ(仏の座)

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3043  レターパックに友の手作り雛人形  淡白

2024年03月07日 | 

 レターパックとは、郵便局が指定するA4サイズ、厚さ3センチ以内の書類などを送る宅配便である。その中に、雛人形が入っていた、という。当然、材質は紙であろう。大きさからすると、一つではなく、複数入っていたのかもしれない。沢山の吊るし雛かも知れない

 さて、世の中では、人々が手作りをせず、大量生産の商品を買う時代になった。物を手作りしないと、不器用になる。安全な家に住むと、耳が悪くなる。屋外に出なくなると、目が悪くなる。出来合いの物ばかり食べていると、味覚や臭覚が衰える。車社会で歩かないと、足が衰える。そいいう五感が衰えると、第六感(勘)が働かない。

 今後、AIやチャットGBTなどが発達すると、記憶力や思考力、想像力、創造力が衰えるだろう。科学文明の発達によって、物が軽薄短小となり、とても便利に扱いやすくなった。しかし増々、人間本来の動物的本能は衰えてゆくだろう。

合同句集「天岩戸」より

ヤシャブシ(夜叉五倍子)

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