一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

3042  「おい母さん」呼んでしまひぬ蕗の薹  仁

2024年03月05日 | 

この句は、色々な解釈が成り立って面白い。

➀ 子供の蕗の薹が、葉っぱのお母さんに「おい母さん」と呼び掛けた。童話の世界ですね。

➁ 蕗の薹を見つけた作者が、自分の妻に「おい母さん」と呼び掛けてしまった。母親に「おい」と呼び掛けるのは、私は抵抗がある。妻がふさわしい。子供がいる家庭で、夫が妻を「母さん」と呼ぶのは普通。

③ 蕗の薹を見つけた作者が、実際近くにいる母に「おい母さん」と呼びかけた。子供の頃の回想。

➃ 蕗の薹を見つけた作者が、元気だが近くにいない母にいると勘違いして「おい母さん」と呼びかけてしまった。

⑤ 蕗の薹を見つけた作者が、すでに亡くなっている母に「おい母さん」と、生きているつもりで呼びかけてしまった。

こういった色々な解釈が成り立つのも、ついつい呼んだという意味の、この句の「呼んでしまひぬ」にある。蕗の薹を見つけた喜びの余り、見せたくてついつい声に出してしまったのだ。

飯野仁俳句集「しえん」より

 最近知り合った飯野仁さんから句集をいただきました。私が俳句をやっており、句会を主宰しメンバーが複数いるということを聞き、10冊送って来ました。俳句は、若い頃から現在まで、200句ほど。他に随筆もあります。 

 飯野さんは、弁護士で93才、とてもお元気です。句集「しえん」の由来は、煙草の煙から来ていて、大の煙草好き。特に「パイプ煙草」なのだそうです。

 仁さんのダンディズムは、俳句、パイプタバコ、ヨット、ゴルフ、ジャズ、車など多岐にわたっています。

シキミ(樒)


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