一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

3046  あーでもないこーでもないと吊るし雛  心

2024年03月29日 | 

 吊るし雛は、江戸時代から始まったようである。高価な雛人形とは異なり、近隣の仲良しの女性たち、母親や祖母が吊るし雛作りに集まり、娘の成長を祈りつつ、わいわいがやがや、あーでもないこーでもないとアイデアを出し合って、布や紙、糸などで様々な雛を手作りするのである。

人形以外に手毬(幸せ)、鶴亀(長寿)、三角(無病)、うさぎ(魔除)、巾着(お金)、本(学業上達)、犬(安産)、海老(長寿)など、様々な縁起ものを作り、吊るしたのである。

そして、吊るされた雛たちを揺らせば、一斉に雛人形たちはあーでもないこーでもないとおしゃべりを始めるのである。

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3045  家康も斯くありなむと初音待つ  釣舟

2024年03月26日 | 

 近年に起こった震度7以上の巨大地震は、

2011年の東日本大震災。

2016年の熊本地震、

2018年の年の北海道胆振東部地震、

そして今年2024年の能登半島地震。

つまり、3~4年に一度、日本のどこかで巨大地震が起きていることになる。

 しかし、今回のテーマは初音である。その年の初めて聞いた鶯の声を「初音はつね」という。ちなみに家康が待ったという、初夏に鳴くホトトギスの初鳴きは「忍び音しのびね」という。

 初音を待ち焦がれている私であるが、まだ、聞かない。毎朝1時間近く散歩しているから、聞き逃してはいないはずだ。そこで、毎年初音を聞いた日を記録しているので、以下に記す。

2019年 2月 9日、21年 2月 22日、12年 2月21日、16年 3月  3日、15年 3月  9日

20年 3月 9日、18年 3月15日、17年 3月19日

 平均は、3月 4日なので、今年はやや遅い。2月に20度を越える日があり、「地球温暖化のせいだ、暖冬のせいだ」と騒がれたが、結局は平年並みなのだ。

 地球温暖化の原因がCO₂で、削減しなければならない、いう世の主張は疑わしい。又CO₂原因説が正しいとしても、圧倒的に多い半分近く(45,7%)のアメリカと中国が先導して協力する必要がある。森林伐採が続き、2020年の世界の二酸化炭素排出総量は約314億トン。国別は、以下の通り

1 中国     32.1%  

2 アメリカ   13.6%     

3 インド     6.6%           

4 ロシア     4.9%        

5 日本      3.2%          

6 ドイツ     1.9%         

7 韓国      1.7%          

8 インドネシア  1,7%

9 カナダ     1.6%

10 ブラジル    1.2%

11 オーストラリア 1.2%

12 メキシコ    1.1%

13 イギリス    1.0%

14 イタリア    0.9%

15 フランス    0.8%

その他       26.4%

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3044  山笑うカードで太る財布かな  おぼこ  

2024年03月10日 | 

 「山笑う」とは、まず春になり、木々の蕾が赤く色付き山全体が膨らんできた様子を言う、更に山桜など木々の花々が咲き、むくむくと山全体が更に盛り上がって見える様子を言う。今ちょうど、ヤシャブシが咲き出している。

 一方、作者の財布は、クレジットカード、ポイントカード、SUICAなど様々な物を買うためのカードによって膨らんでいるというのだ。その中では特に、ポイントカードが多いだろう。ポイントカードを作って売る販売戦略に乗せられているのは、第一にスーパーなどの小売店舗であり、第二に使う私達消費者である。この便利なカード社会に抗うのは、消費者が夢中になる限り、かなり難しいようである。

 本来不必要なカードを作って売る商魂によって踊らされている消費者ではあるが、財布を膨らませて結構楽しんでいるようだから、カードは必要な遊びであり、今に至っては生活必需品なのだ。

 一方、将来予測すれば、現在カードは滅びつつあります。カードはスマホの中、つまりネットの中に保存されつつあります。メールが出現し手紙や葉書が不要になったように、アマゾンが出現しデパートなどの小売店舗が閉鎖に追い込まれたように、カードは無くなりつつあります。インターネットがこの社会を、人間を変えつつあるのです。

 おっとっと、インターネットで変わらないものが、まだまだ沢山ありますのでご安心を。しかし、よくよくご注意を!!

 この句、作者が膨らむ春の山々と、自分の財布の膨らみを比べているところが妙。一体、人間はどこに向って進んでいるのだろう、という問いを私達に問いかけているのだ。      合同句集「天岩戸」より

ホトケノザ(仏の座)

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3043  レターパックに友の手作り雛人形  淡白

2024年03月07日 | 

 レターパックとは、郵便局が指定するA4サイズ、厚さ3センチ以内の書類などを送る宅配便である。その中に、雛人形が入っていた、という。当然、材質は紙であろう。大きさからすると、一つではなく、複数入っていたのかもしれない。沢山の吊るし雛かも知れない

 さて、世の中では、人々が手作りをせず、大量生産の商品を買う時代になった。物を手作りしないと、不器用になる。安全な家に住むと、耳が悪くなる。屋外に出なくなると、目が悪くなる。出来合いの物ばかり食べていると、味覚や臭覚が衰える。車社会で歩かないと、足が衰える。そいいう五感が衰えると、第六感(勘)が働かない。

 今後、AIやチャットGBTなどが発達すると、記憶力や思考力、想像力、創造力が衰えるだろう。科学文明の発達によって、物が軽薄短小となり、とても便利に扱いやすくなった。しかし増々、人間本来の動物的本能は衰えてゆくだろう。

合同句集「天岩戸」より

ヤシャブシ(夜叉五倍子)

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3042  「おい母さん」呼んでしまひぬ蕗の薹  仁

2024年03月05日 | 

この句は、色々な解釈が成り立って面白い。

➀ 子供の蕗の薹が、葉っぱのお母さんに「おい母さん」と呼び掛けた。童話の世界ですね。

➁ 蕗の薹を見つけた作者が、自分の妻に「おい母さん」と呼び掛けてしまった。母親に「おい」と呼び掛けるのは、私は抵抗がある。妻がふさわしい。子供がいる家庭で、夫が妻を「母さん」と呼ぶのは普通。

③ 蕗の薹を見つけた作者が、実際近くにいる母に「おい母さん」と呼びかけた。子供の頃の回想。

➃ 蕗の薹を見つけた作者が、元気だが近くにいない母にいると勘違いして「おい母さん」と呼びかけてしまった。

⑤ 蕗の薹を見つけた作者が、すでに亡くなっている母に「おい母さん」と、生きているつもりで呼びかけてしまった。

こういった色々な解釈が成り立つのも、ついつい呼んだという意味の、この句の「呼んでしまひぬ」にある。蕗の薹を見つけた喜びの余り、見せたくてついつい声に出してしまったのだ。

飯野仁俳句集「しえん」より

 最近知り合った飯野仁さんから句集をいただきました。私が俳句をやっており、句会を主宰しメンバーが複数いるということを聞き、10冊送って来ました。俳句は、若い頃から現在まで、200句ほど。他に随筆もあります。 

 飯野さんは、弁護士で93才、とてもお元気です。句集「しえん」の由来は、煙草の煙から来ていて、大の煙草好き。特に「パイプ煙草」なのだそうです。

 仁さんのダンディズムは、俳句、パイプタバコ、ヨット、ゴルフ、ジャズ、車など多岐にわたっています。

シキミ(樒)

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3041  第五百回 多留男会 2月句会 2024、2,27

2024年03月03日 | 多留男会

雪舞ひて巷の明かり小踊りす   信天翁

春立つを群なす小鳥木から木へ   〃

    

晴れ渡り陽の匂ひ立つ蕗の薹   黒薔薇

桜貝メモリーそっと玉手箱     〃

    

一つだけ子に詫びたきや冬苺    紅 

リハビリやガラス戸越の春隣    〃

 

人去りて瀬音もどりし梅の径    凛  

もろともに齢重ねし梅なれば    〃

     

小鳥カフェメジロこぞって雨水かな  伊豆山人 

落椿地面にえがく万華鏡        〃

 

大山を冬靄包み空青し       流水

春雨に瞳も濡るる今宵かな     〃 

  

おっととつまずき喜寿の二月かな  心

春風やしとどの窟教えおり     〃

 

侘助や一つ手折って妻の元    コトリ 

蕗のとう揚げてビールと父の笑み  〃

       

春時雨傘ささぬ子等黙し行く    豊狂 

三輪車スケボー横に蕗の薹     〃

    

育休のパパ抱く吾子はホッカイロ  淡白 

寒暖差大きい時に足湯あり     〃  

 

大鬼が小鬼を抱いて節分会      釣舟

春冴ゆる眼耳鼻舌身第六感      〃

 

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3040  雪舞ひて巷の明かり小躍りす  信天翁

2024年03月02日 | 

 (ゆきまいて ちまたのあかり こおどりす)

「巷(ちまた)」とは、大ぜいの人々が生活している町や世の中、にぎやかな通りや街角をもいう。この句の場合、町である巷が、街灯によって明かるく照らし出されているのだ。

通りは、ビルによって風が乱され、降っている雪が乱舞している。その雪は、街灯によって明かるく照らし出されている、というのだ。

つまり、雪が風によって乱舞しているだけなのだが、まず「雪が舞っている」と言い、次に「明かりが小躍りしている」と雪の様を更に強調して言い替えているところが妙。

 そして実際、小躍りしているのは、雪や明かりだけではなく、作者のこころも小躍りしているに違いない。現実の作者は、又、少女時代のことを回想しているのかもしれない。

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