一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

629  夕涼のひらひらとフラダンスの手

2012年06月30日 | 

 ハワイアンバンドを結成して2年近く。半数の女性達は、同時にフラダンスも始めた。彼女たちのエネルギッシュな活動には、心底感心する。

 フラダンスは、体全体を使うのだが、主な表現はどうやら手の動きにあるようだ。手話に似ていて、手の動きで様々な言葉や感情を表現しているらしい。動きは、あくまで優雅に繊細に美しく、が目標らしい。

 実を言うと、ジャパニーズハワイアンにしても、合わせて踊るフラダンスにしても、あの南国独特のゆったりしたおおらかさや、間延びしたような雰囲気が、どうも私の体内リズムと合わないのだ。

 しかしその原因は、私のせっかちや短気が原因ではないかと思われるので、とにかくリズムが合うまで我慢しよう、と思う今日この頃である。

シモツケ(下野) バラ科シモツケ属の落葉低木。

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628  五月雨を人の涙と思うべし   子規

2012年06月29日 | 

(さみだれを ひとのなみだと おもうべし)

 例えば、テレビなどで北国の雪の風景を見て、雪の句を作るのはいかがなものか。当然、、そんなことは安易にするべきではない。やはり、自分の実体験から作るべきである、と常々思っている。だから例えば、東日本大震災に関する句を安易に取り上げることは、意識的に避けてきた。では、掲句はどうであろう。

 明治29年(1896)6月15日に三陸沖地震が発生、大津波が沿岸部を襲い死者は2万数千余りに達した。派遣した社員の情報により、子規は、掲句と同時に「皐月寒し生き残りたるも涙にて」の句も、新聞「日本」に投稿している。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花) アジサイ科(ユキノシタ科)アジサイ属

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627  ハンモック欅一樹を傘にして

2012年06月28日 | 

(ハンモック けやきいちじゅを かさにして)

 幅1メートル、長さ2メートルの帆布の両端を、5センチの棒が入るように縫い、棒を入れて布からはみ出た棒の両端に穴を開けて、紐を通して吊れば、簡単にハンモックが出来上がる。以前、ハンモックを紐で編んだこともがあるが、それと比べたら格段に安くかつ早くできる。

 帆布の両端は、買う時に縫ってもらうと良い。分厚いから、工業用ミシンでないと縫えないかもしれないので。

 それを我が家の欅と小楢に渡して、昼寝。勿論、枕とタオルケットは、欠かせない。ビールと歳時記、ノート、鉛筆があれば完璧だ。

 しかし、新築の折り、この2本を泣く泣く切ることになってしまった。それからのハンモックは、畳まれて物置で眠っている。

ハギ(萩)、江戸絞りという花が紅白の品種

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626  休日の朝の寝床の缶ビール    奇散人

2012年06月27日 | 

 小原庄助さんじゃあるまいし、酒好きのサラリーマンが、日曜日の朝に朝寝、朝酒、朝湯をしたって、身上を潰す心配はない。

だから、安心して寝床でビールを飲むことができるし、それは確かにサラリーマンの楽しみの一つだろう。

 唯、ひとこと言わせてもらえば、缶ビールでもいいから、ちゃんとグラスに注いで飲んで欲しい。更に言わせてもらえば、朝風呂に入って、さっぱりしてからの方が絶対に旨いと思うよ。

 ところで、この句の作者は独身ではないか、と踏んでいる。家庭を持っていたら、朝酒なんてとても子供たちが許してくれませんよ。

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625  チーズ派の真ん前トーフ派黒ビール  つとむ

2012年06月26日 | 

 カナダのバンクーバーに行って思ったのは、ここのビールは、ビール会社によって味が様々で種類が多く、かつ旨い。逆に、日本のビールは、不味くはないが、どこの会社も画一的で個性的ではない。

 そう言えば、日本の民放テレビ局は、ニュース時間は一斉にニュース、ドラマ時間は一斉にドラマなどと、各局一斉に同じ時間帯に同じような番組を放映しているが、馬鹿じゃないかと思う。

 テレビ局も、ビール会社と同じように、日本人の「全員一緒に右向け右」の体質が、企業にまで蔓延しているいい例だ。

 さてこの句、意味が分りにくいが、敢えて無理に想像すると、作者が男性なので、チーズ派の妻とトーフ派の夫の間に、呑み助の二人に共通の黒ビールがある。

 そう言えば、チーズは動物性で、トーフは植物性ではあるが同じ蛋白質。女性が動物性を好み、男性が植物性を好むというのも、今風ではある。

ヒメシャラ(姫沙羅) ツバキ科ナツツバキ属の落葉 高木

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624  刻ほろびゆく螢火の点るたび   国夫

2012年06月25日 | 

(ときほろびゆく ほたるびの ともるたび)

 時間は、確かに今現在しかない。生まれてから死ぬまで、私達には今現在しか存在しない。過去は確かにあったのだが、現在の私達の脳味噌に記憶としてあるに過ぎない。いくら映像で保存しても、映っているのはフィルムの中にであり、映像は映像であって実体ではない。だからこの句を

刻生まれゆく螢火の点るたび

としても、全く同じ意味なのだ。何故なら「刻」には実体がなく、生まれも滅びもしないから。

 しかし、読者の印象はまるで違う。前者は否定的、退廃的、悲観的だし、後者は積極的、希望的、楽観的に感じるからだ。

ハギ(ダルマ萩) マメ科ハギ属

早、萩が咲き出しました

 

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623  布袋草金魚出入りの朱もさやに

2012年06月24日 | 

 (ほていそう きんぎょでいりの しゅもさやに)

布袋草は、一株100円程度で売っている。山の水を引いている知人の池では、栄養が豊富らしく、わずか数株がひと夏で3坪ほどの池の水が見えなくなるほど繁茂する。背丈も30センチは超えてしまう。

薄紫の可憐な花が咲く頃、一抱え貰ってくるが、残念ながら私のところでは、よく氷が張るので、冬越しが出来ない。

ホオノキ(朴の木) モクレン科の落葉 高木。

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622  夏至の昼夢見る犬の甘え声

2012年06月23日 | 

(げしのひる ゆめみるいぬの あまえごえ)

 そう言えば、一昨日は夏至だった。梅雨の真っ最中で、日永の感じもせず忘れていたが、これからは早、日が短くなってゆく。

 犬は、どうやら夜行性らしく、夜になると元気になる。家の回りにイノシシなどが出没すると、私には聞こえない音が分かるらしく、大騒ぎする。

 だから昼間は、よく寝ていて、時々夢を見ているらしい。我が家の14才のモモより、2才のデンの方がよく見るみたいだ。やはり、若いからかな。

 身体を震わせたりするし、吠えたり(キャンキャン)、甘え声(クーンクーン)だったり、一体どんな夢を見ているんだろうねえ。

ムラサキツユクサ(紫露草)  ツユクサ科

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621  産卵の目高触れ合う若葉影

2012年06月22日 | 

 目高を飼い始めて、20年にもなるだろうか。理由は単純で、庭に置いた鉢のボウフラ対策。効果てきめんで、大成功。

 水草を入れておくと、目高はそこに卵を産むが、悲しいことにそのまま放置すると、その卵を目高自身が食べてしまう。守るべき子供を親が食べてしまう、というのは、魚類としても珍しいのではないか。それは、自然界の目高と鉢の目高の違いかもしれない。

 それでも、運よく生き残った数匹が、次世代を作ってゆく。それは、数万年、もしかして数億年前から続いている、変わらぬ営みなのだろう。

ゲンペイボク(源平木) クマツヅラ科クレロデンドルム属

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620  万緑や舌が弄る抜歯跡    多可

2012年06月21日 | 

(ばんりょくや したがまさぐる ばっしあと)

 年齢の「齢」の字は、1字で「とし」とも読む。つまり、昔の人は、「歯の状態で人の年が分かる」ことを知っていた。歯医者のいない時代、皆さんどうしていたんだろう。結局、抜くしかなかったのかもしれない。

 虫歯も軽ければセメントを詰めるだけで済むが、深くなると神経を抜かねばならぬ。それから何年かすると、抜歯に至る。

 とにかく、若い皆さん、と言ってもこのブログを見ている中に若い人がどのくらいいるのか、全く分からないが、たぶんほとんどいないんじゃないかと思うが、それならば、見ているあなたのお子さんに、又はお孫さんに伝えて欲しい。「歯は大事だ」と。この句のように、弄るようになったら、それこそおしまいだよ、と。

 草田男に有名な「万緑の中や吾子の歯生え初むる」という誕生版があるが、この句はその晩年版、なれの果てとして作ったのかもしれない。

 

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619   父の日や酒好きをみな子が継げり    雄三

2012年06月20日 | 

 似て欲しい親の性格は似ず、似て欲しくない性格を継ぐのが子供たち。世の中そんなものだ。

 さてこの句、子沢山ならば、一人ぐらい下戸がいてもおかしくないのだが、父に似て子供たち全員が酒好きだという。

 父の日のどんなプレゼントよりも、子供たち一同が集っての酒宴ほど素晴らしいプレゼントはない。こんな幸せなお父さんは、数少ないだろう。羨ましい限りである。

コマツナギ(駒繋ぎ)  マメ科コマツナギ属,

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618  梅雨台風アヴェ・マリアの中にあり

2012年06月19日 | 

 カッチーニの「アヴェ・マリア」を、私がオルガン練習していることを知った友人が、カウンターテナー、スラヴァの「全12曲アヴェ・マリア」のCDを持って来た。

 順に、カッチーニ、ヴェルディ、サン・サーンス、バッハ&グノー、ブルックナー、トスティ、ストラビンスキー、シューベルト、リスト、ブルックナー、ビゼー、モーツァルト。

 そこで私の感想。バロックから今日まで時代と共に、音楽も科学と並行して進歩してきた。しかしその進歩とは、超速のテクニックだったり、行き過ぎた装飾音だったりして、次第に人々の心を離れて行ったような気がする。その究極が、通称「現代音楽」と言われている分野だ。

以下、宮本亜門氏のCDの解説より抜粋。

 「バロック音楽が、なぜ、いま再認識されているか。この混沌とした時代、情報があふれかえり、時が止まることなく滑り続け、空回りする時代に、バロックは、立ち止まることを教えてくれる。淡々とした、余分なものをはぎ取ったシンプルな音階、旋律に、我々は癒されるのだと思う。 このCDにも、いま、我々がもっとも大切にしなければならない、人間の本質のようなものが隠されている。」

 この解説をあえて訂正すれば、「余分なものをはぎ取ったシンプルな音階」ではなく、「余分なもののなかった時代のシンプルな音階」とすべきであろう。

 更に、もう一つ付け加えれば、バロック音楽が再認識されているのは、ほんの一部の人達にであって、忘れ去られつつある、というのが事実に近いだろう。生意気なことを言って、亜門さん、ごめんなさいね。

 

ムラサキシキブ(クマツヅラ科ムラサキシキブ属)

http://www.youtube.com/watch?v=4U4EUFCori8

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617  雷神が太平洋を渡りゆく  炎火

2012年06月18日 | 

 日金山(十国峠)から望む十国とは、西から遠江(とおとうみ)、駿河(するが)、伊豆(いず)、安房(あわ)、上総(かずさ)、下総(しもうさ)、相模(さがみ)、武蔵(むさし)、そして北の信濃(しなの)、甲斐(かい)、の10ケ国。

 この句の太平洋とは、駿河湾、伊豆沖、安房沖、相模湾を指すのであろう。それらの海上を雷雲が、稲光と雷鳴が西から東へ移動してゆく。たぶん私が見たのと同じ情景を、作者も見たのであろう。

 例えば「荒海や佐渡に横たう天の川」は、晴天ならば1年中見ることができるが、この句の情景は、たぶん一生に多くても数回しか見ることのできない貴重な体験なのだ。

 「地震、雷、火事、親父」というが、天変地異の代表は地震であり雷(神鳴り)だ。それを神のなせる技と恐れることこそ、原始宗教の根本とも言える。

その同じ太平洋上を、まもなく台風4号が渡りゆくらしい。

クロガネモチ(黒鉄黐) モチノキ科モチノキ属の常緑高木

雌雄異株の雌花

 

 

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616   荒梅雨やそんなに掛けてマヨネーズ

2012年06月17日 | 

(あらつゆや そんなにかけて マヨネーズ)

卵・酢・砂糖・塩・胡椒をミキサーにかけ、油を少しずつ入れていくと、簡単にマヨネーズができる。その時私は、主成分がほとんど油であることに気付いた。それ以来マヨネーズを見ると、なんだか気持ち悪くなるので、あまり食べないようにしている。ところが・・・・・

若者達に「調味料と言ったら何を思い付くか」と問うたところ、ベストスリーは「マヨネーズ、胡椒、ごま油」だったそうである。なんと砂糖、塩、酢、醤油、味噌などが入っていないのだ。

 マヨネーズの語源は、地中海に浮かぶスペインのマヨルカ島(マジョルカ島、マリョルカ島)だそうである。マヨルカ島と言えば、全仏オ-プン4連覇やツアー50勝の、テニスのラファエル・ナダルの出身地である。

ナンデショウ

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615  皐月晴木陰に移り薪を割る

2012年06月16日 | 

(さつきばれ こかげにうつり まきをわる) 

 旧暦5月を「皐月」(さつき)と書く。勿論「五月」でも良い。本来の皐月晴とは、梅雨の合間の晴天のことである。しかし、新暦になって「5月の晴天」にも使うようになり、意味が混乱している。その混乱を避けるために、梅雨の合間の晴天を指す場合、「皐月晴」と書いたらどうだろうか

 まだ6月とはいえ、晴れれば日差しは真夏並みで、屋外の薪割り作業は汗だくだくである。有難いことに、回りを木々に囲まれているので、わずかな木陰を求めて移動しながらの作業である。

 真夏の暑さでも、テニスならば気にならないのに、仕事となるととたんに嫌気がさすのはどういう訳だろう。

ビヨウヤナギ(美容柳) オトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉低木

 

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