１５5１ 遠き日の浜辺も呼んで心太 沙会

（とおきひの　はまべもよんで　ところてん）　

　プヨプヨした食感の食品、心太、羊羹、煮凝り、豆腐などには、ゲル化剤としてゼラチン、寒天、ペクチン、こんにゃく粉、にがり、卵などが必要である。

　ところてん（心太）は、寒天が原料で98-99％が水分、残りの成分のほとんどは多糖類（ガラクタン）であり、腸内で消化されないため栄養価はほとんどないが、食物繊維として整腸効果があるそうである。ガラクタンは我楽多とは無関係だろうが、栄養価がほとんどないというのが我楽多と似ていて面白い。

　さて、この句の面白いのは「浜辺を思い」ではなく、「浜辺を呼んで」としたところであろう。独りではなく、家族を呼んで一緒に食べていることが「も」で分かるし、昔行ったであろう海の家で食べた心太のことが話題になって、大いに話が弾んでいるに違いない。

ヒマワリ（向日葵）

１５５０ 第２２７回 ７月 岩戸句会

公園のジャングルジムに蜘蛛の糸　　炎火

琉金の二十五センチ弔えり　

祭終え男の透ける雨合羽　　　　　　　薪

夏休み人体透視図鑑視る

ヘッドフォンはずしてごらん蝉が鳴く　洋子

くちなしや少女は長き脚を組む

華氏という名の香水を求めけり　　　　一煌

梅干してきらきら煌めくベランダ　

笛太鼓神を寝かせぬ祭の夜　　　　　　歩智

幼児のピヨピヨゾウリ夏祭

麓より祭囃子や喘ぎ来る　　　　　　　豊春　

握手して別れしままや夏の宵

坂下り江ノ電渡れば夏の海　　　　　　余白

夏雲に姿隠して八月の機

仏壇の扉は閉じたまま大暑　　　　　　雲水

鳥のほか食べるべからず蝉時雨

　　　　　　　　　

１５４９ 溢れ来る異教の民や炎天下 久遠

  アフリカや中東で発生している地域紛争地帯からのがれ、ＥＣ諸国に逃れてくる数十万人の難民たち、増える一方らしい。例えば、シリアのパレスチナ人がギリシャ→マケドニア→セルビア→ハンガリー→ドイツまで、安住の地を求めてやって来るという。

私が思うには・・・・・

  その元凶は、武器を製造及び販売している武器商人たちであろう。戦車やミサイル、ロケット砲、自動小銃、地雷・・・・・貧しい国の人々に権力争いをさせ、多くの罪のない人々を殺傷させ、住宅を破壊させ,食糧を奪わせ、難民を生ませているのは、①アメリカ・②ロシア・③フランス・➃イギリス・➄ドイツ・⑥スペイン・⑦中国など、先進国の武器商人どもであろう。日本もそれに加担しようとしている。ああ、恐ろしや、恐ろしや。

アサガオ（朝顔）

１５４８ ヘッドフォン外してごらん蝉時雨 洋子

　私は未だかつて、ヘッドフォン型オーディオプレーヤーを買ったこともないし、音楽を聞いたこともないが・・・・・

　一応調べてみると、初代のテープ型から、ＣＤ型、ＭＤ型となり、現在のハードディスク内蔵のデジタル型へと進化している、という。最新型は、ヘッドフォンと本体がコードレスで、容量が大きく数千曲も保存でき、他機器に差し込めば自宅のプレーヤーで聞くこともできる、という。現在はスマホが普及して、スマホがプレーヤー機能を内蔵しているらしい。

　さて、自然界や社会と孤絶し、ヘッドフォンで音楽を聞いている若者の姿は、私には異様としか見えないが、音楽に限らず、ラジオや英会話、落語など聞くジャンルは様々だから、使いようによっては相当有効なのではないか。入院した時などは便利かもしれないから、今から準備しておこうかな。

ミソハギ（禊萩）

１５４７ 公園のジャングルジムに蜘蛛の糸 炎火

  ジャングルジム（Jungle gym）とは、「金属パイプの骨組みやロープなどでできた、子供が登ったり、ぶら下がったり、座ったりして遊ぶための、運動場に設けられる設備のことである」とある。様々な素材、様々な形、様々な大きさのジャングルジムがあり、それは立体的な蜘蛛の巣のようでもある。

  さてこの句、子供たちが遊ぶジャングルジムに、蜘蛛が巣を張っているという。炎天だから、公園は閑散として遊ぶ子供がいないからかもしれないし,子供たちが遊んでいたとしても、邪魔されない所に巣を張っているからかもしれない。

いづれにしても、人間の数よりはるかに多い蜘蛛は、地球上の至る所でしたたかに糸を出し、巣を作り続けている。

ヤブカンゾウ

 

１５４６ 大暑なりどっさり積まる松丸太

　今日は、二十四節気の大暑であるのに、梅雨が明けたというのに、天気予報が外れ雨が降り風が強く涼しい。原因は、予想進路を外れ、東シナ海から朝鮮半島に向かっている台風１２号の影響のようである。

お陰で、うんざりする真夏の薪割りとはならずに済んでいる。有り難や、有り難や。ついでに「守屋浩の有難や節」を思い出してしまった。皆さんもお暇でしたらこの能天気な「有難や節」歌をお聞きください。←クリックすると聞くことができます。

ヤマユリ（山百合）

 

 

１５４５ 歓声に嘆声もあり梅雨明ける

１１号が四国に上陸する前の数日、晴天が続いた時これは梅雨明けだ、もはや夏が来た、と私は勝手に確信した。何故なら、これからやって来る台風は、秋の季語だからである。そして、窯出しの昨日、気象庁が関東の梅雨明けを宣言した。

　この句の歓声、嘆声は、窯出しのことではあるが、省略して梅雨明けに対するそれでもある。台風による被害による嘆きもきっとあるに違いないから・・・・・

ヒメヒオウギズイセン（姫檜扇水仙 ）

１５４４ 鳥のほか食べるべからず蝉時雨

　蝉は、動物たちの大好物である。小鳥や中鳥、大鳥も食べる。リスやハクビシン、タヌキやキツネだって食べるだろう。カエルやカメも食べるそうである。

　羽化して交尾を終えた蝉は、枝の中に卵を産みつけ、地下で長く地上で短かった一生を終える。そんな蝉が、我が家のデンちゃんの大好物である。食べるなと制したり怒ったりはしないが、地面に転がり余命数時間の蝉を、デンちゃんがパクパク食べるのは嬉しくない。

オオバギボシ（大葉擬宝珠）

１５４３ 土砂降りを聞き流しいる二度寝かな

　台風の多い９月１０月は当然だが、７月も集中豪雨が多い。今年は梅雨時に９，１０，１１，１２号と４個の台風が発生した。

　そこで調べてみた。降水量の日本記録は、２０１１年７月２６日の新潟県室谷での５０ミリ/１０min。１時間では、１９９９年１０月２７日の千葉県香取と、１９８２年７月２３日の長崎県永浦岳の１５３ミリ/1h。

　唯今、猛烈な雨が降っている。正に「土砂降り」がピッタリ。土砂が降るというんだから、こんなすごい雨の言葉は他にない。それにしてもそんな中、安穏と寝ているられるのは有り難いが申し訳ない気もする。

スイレン（睡蓮）

１５４２ 梔子や窯の余熱は八百度

（くちなしや　かまのよねつは　はっぴゃくど）

　今回の窯焚きは梅雨の真っ最中だったので、薪が空気中の水分をしっかりと吸っていて、温度が上がりにくくかなり苦労した。多くの薪を使い、燠が驚くほど沢山溜まってしまった。

そういう作業上の欠点はあるが、薪の水分（H₂О）が、１３００度の高温でどう変化するのか、作品にどのような影響を及ぼすのか、８９回目にして久し振りの期待感。

１５４１ 梅雨寒やもはや手遅れの歯を磨く

　私の歯は、①ない②差し歯③神経を抜いて詰めた歯➃金属を被せた歯➄生まれたままの歯、がある。けれども、それぞれどれが何本あるのか、自分の歯なのに歯医者に聞かないと全く分からない。

　最近知ったことだが、歯磨きは最初に水だけで予備磨きが必要である。その後、うがいしてから歯磨き粉で磨くのが良い。歯磨き粉が少量で済み、１５分が適当だそうである。

ゲンペイボク（源平木）

別名、ゲンペイカズラ（源平葛）ゲンペイクサギ（源平臭木）とも

１５４０ 夏の窯最後の薪に有難う いし

  いよいよ火止めが近づいた。陶房で「いしさん」が、松の薪に字を書いていた。「窯の神様、無事終了致しました、有難う」

　最後に入れる薪に、火止めに参加する全員の名前を書き込むのだという。未だかつてやらなかった「火止めの行事」が出来上がった。３４年にして初めての火止め式。

　火止め後、句会をしました。私以外全員初心者である。以下、皆さんの俳句。 

火止め窯句会が始まったから帰る　　　美和子

蜩やめったに見ない空の碧　　　　　　知　美

先生のジミヘンイカす窯の朝　　　　　　〃

窯焚きやゆらぐ炎の美しき　　　　　　絢　子

窯焚きを終えたこころや五月晴　　　　正　人

ひぐらしの声に誘われ薪焼べる　　　　美知子

夏の庭火止めの窯に気も晴れる　　　　まゆみ

夏の窯最後の薪に有難う　　　　　　　い　し

窯を焚く初蜩の日暮かな　　　　　　　雲　水 

昨日７月１０日、初めて蜩が鳴いてくれましたが、期待通りなんと去年と同じ日でした。

２０１５、７、１０

２０１４、７、１０

２０１３、７、　７

２０１２、７，１４

２０１１、７，１３

１５３９ 焼き茄子やあなたと私の七不思議

　窯焚きの陣中見舞いに友人が、おにぎりとサラダ用の茄子を持って来てくれた。そこで日頃不思議に思っていること・・・・・「茄子の不思議」

　生の茄子は、スポンジのようにフワフワぱさぱさしていて、フライパンで焼くとしこたま油を吸う。ところが、オーブンで焼くとどこから現れたのか、しっかり水分が出てくるのだ。それが魔法のようで実に不思議。「あんた、どこにこんなに沢山の水分を隠しておいたの」

　焼き茄子をするたびに話しかける私の独り言・・・・・でした。

シアトルからやって来たジェーンと日本が長ーい大学教授ピーターさん

窯焚きを手伝ってくれました

 

１５３８ ８９回岩戸窯 穴窯の窯焚き

７月９日（木）Am９：００～１２日（日）PM９：００　３日間

 台風９号，１０号，１１号がトリプル発生し、本土接近を心配したが、なんとか大丈夫そうで一安心。

　ところで、去年薪がなくて困っていたが、今年になったら有り難いことに、真鶴半島の「お林」と呼ばれている、魚つき保安林の松が枯れ、入手できた。

　知人の話によると、町は松を中途半端に残すより、全て切ってしまった方が良いという判断に達したらしい。毎年少しづつ枯れて、少しづつ伐り、少しづつ運んでくれるのが理想なのだが、そうは問屋が卸さない。

　松を一度に大量に伐ってしまうと、大量にもらうことができたとしても、私には保管する広い場所がない。

シロバナコアジサイ（白花小紫陽花）

１５３７ 十二才圭の名言男梅雨

◎この命どう使う

◎いつでも誰でもラッキーは来る、そう思え

◎勿体ない、勿体なくない、どっち

◎来た、この感じだ

◎まだ行ける、そう思え 

これらは、プロテニス選手・錦織圭君が、なんと１２才の時に考えた言葉だそうである。これを読めば少なくとも、彼が並の人間でないことは、誰にでも分かはずだ。彼の天才的頭脳が、天才的テニスプレーヤー錦織圭を産んだに違いない。

　ところで彼は、グランドスラムで優勝することができるだろうか。実に微妙である。

ダルマアジサイ（達磨紫陽花）