一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1496   老兵の囲む盤面飛花落花   薪

2015年04月29日 | 

 老兵とは、第二次世界大戦、太平洋戦争で戦った兵士のことであろうか。そうであるならば、戦後70年であるから、少年兵士だったとしても85才以上である。 盤面とは、囲碁将棋やチェス、オセロなど。まさかレコードやスケート場ではあるまい。

 さてこの句、屋外であろうか。桜の舞い散る中での平和な光景ではあるが、老人たちには、戦争、殺戮、飢餓、懲罰、拷問、いじめ、密告など・・・・・様々な過酷な過去があり、それらを背負って今を生きているのだ。

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1495   夜桜やアルミニウムの投票箱   炎火

2015年04月26日 | 

  先々週の県議選に続いて、今日は市議選の投票日。町内の代表や市職員が重々しく居並ぶ公民館で、投票を済ませてきた。さて、作者は、その町内の代表として立会人になった、という。

  投票にやって来たその日の一番早い人に、役員は投票箱が空っぽであることを示してから、蓋を閉めて投票してもらうのだとか。そういった儀式が行われるのだ。 

  勿論投票箱は、木でもジュラルミンでも鉄でもなく、アルミニウム製である。このアルミニウムに、民主主義の根本であるはずの選挙に、空虚感を感じるのは私だけではないはずだ。何故ならそれは、投票率に如実に表れているからだ。

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1494   春昼の犬を眠らせ薪を割る

2015年04月24日 | 

 デンは、留守番が嫌いだから、家から薪置き場まで30メートル程だが、薪割りにはほとんど連れて行って、そばに繋いでおく。そうすると、土を掘って遊んだり、そこに寝転んだりして大人しくしている。

自由に放してやりたいのは山々だが、そういう訳にはいかない。中型犬の成犬のオスが吠えると、犬嫌いや怖がりには、かなり恐ろしく感じるはずだ。

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1493   春のホテル夜間飛行に唇離る       三鬼

2015年04月23日 | 

 薪割り機のエンジンを止めた途端に聞こえてきたヘリコプターの飛行音。ヘリコプターが去ったと思ったら、ジェット機の飛行音が続いた。

 そう言えば、西東三鬼に「飛行音」と「唇離る」の色っぽい句があったなあ、と思い浮かんだ。昼近かったので早速仕事は止めて、インターネットで検索してみることに。あったあった。「飛行音」ではなく「夜間飛行」だったが、さすがこの句、多くの俳人さんの目に留まっているようだ。

 時代が戦前か戦後の句か知らないが、いづれにしても、まだまだ飛行機が珍しい時代だったはずだ。現代なら飛行音くらいで唇が離れたりしない。

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1492   花の屑踏まねば行けぬ窯場道

2015年04月22日 | 

 山桜だらけの我が家の周囲は、流石にほとんどの花びらが散ってしまった。しかし、山桜は花の付き方の多少や咲く時期が、ソメイヨシノと違ってバラバラである。だから、まだ満開の山桜も残っているので、この2週間、毎日どこからか花びらが舞い落ちている。

 夜べに、道路が見えないほど降り積もった美しい花びらを踏むのは気が引ける。しかし、2,3日経てば変色し、将に花屑、花芥と化す。

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1491   薪割りは休みなさいと春の雨

2015年04月20日 | 

 刃渡り40センチのチェンソーで、70センチの木を上手く切るのは、できないわけではないが何故かとても難しい。40センチ以下ならサクサク切れるのに、以上になると途端に切れなくなる。30年以上薪を切り、チェンソーも3台目。しかし、木を切る専門家から見たら、間違いなく素人に近い。雨も本降りになって来たので止めることに。時計を見たら丁度5時だった。

 好物の厚揚げと友人からもらった新タマネギを一緒に焼いたのをつつきながら、一杯やりながら、雨音を聞きながら、このブログを打っている。火のないストーブの側の、室内の気温は、18.5度。寒くもなく、暑くもなく気分爽快。

 

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1490   生まれたての尺取指に迷いおり

2015年04月19日 | 

 薪割りも最後の佳境に入った。細木は全て処理が終わり、残りは大物ばかりである。大きいものは直径70センチ、長さ3メートルもあり、一人ではテコでも動かぬ。一本数百キロはあるだろう。

チェンソーの刃を研ぎながら、どうしたものかと思案している所へ、偶然昔の座禅仲間が二人やって来て、手伝ってくれるという。渡りに船とは将にこのこと。私のラッキーボーイは、今でも続いているようである。

 チェンソーでの薪切り作業を終えて仕事場に戻ると、作業着に小さな尺取が付いていた。迷ってうろうろと頭を振っている尺取に指を差し出すとすぐに乗って来た。暖かいから気持ちが良いのか、よく動く。しかし、指の先端に来た時、先がないので頭を上げていつまでもゆらゆら揺れていた。こいつは、植木の葉を食べてしまう害虫ではあるが、生まれたての1センチに満たない赤ちゃんであれば、生かしてやりたい。そこで、梅の新芽の上にそっと置いてやった。梅の葉が好きかどうか知らないが、「頑張って生きなさいよ」

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1489   磯遊び白ゆり荘に寄りました   黛まだか

2015年04月18日 | 

 ちょっとちょっと、いつきさん、「まだか」というのは、やり過ぎではありませんか。私は、黛まどかさんの句は知らないのですが、きっと似たような句があってそれを茶化したのかもしれない。白ゆり荘というのもどこにでもありそうで、特定の建物ではないようだ。他にも、作者が「寺山修辞」というのがある。とにかくこの方、おふざけが大好きのようである。めでたし、めでたし。

 磯遊びは、陰暦3月3日(桃の節句、雛祭)に、磯に出て遊ぶこと。今年は4月21日に当たる。

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1488   愛人のひとりに会ひぬ油南風   いつき

2015年04月16日 | 

 句会と共に俳句を止めてしまった友人が、夏井いつき著の「絶滅寸前季語辞典」(ちくま文庫)を持って来た。実に迷惑なのだが、「読め」ということらしい。最近、夏井女史はテレビによく出ていて、それが結構な人気らしいのである。

 私は例えば、芥川賞を受賞した小説は決して読まないし、人気と評判の番組も見ない主義のへそ曲りである。それを知ってか知らずか、わざわざ友人は持ってきたのである。置いて行かれたら、少しは読まざるを得ない。それほどの頑固でもないということか。

 さて、彼女の祖父は、二人も愛人のいる「放蕩ジジイ」だったそうで、掲句が載っている。「油南風・あぶらまじ」は、晩春の暖かい南風のこと。ご興味のある方は、是非買ってお読み下さい。

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1487   役立たぬ指抜き四つ桜餅

2015年04月15日 | 

 作業ズボンの裾がほつれ、穿くときに引っかかるので、50年振りに縫う羽目になった。しかし、生地が固いからか、針が悪いからか、どうしても針が通らない。指貫は金属製で、私の指には小さすぎる上、針が滑ってしまう。友人が100円ショップで3個セットの指貫を買ってきてくれたが、やはり小さすぎるし針を上手く固定できない。ギブアップである。

 しかし、Youtubeで調べてみると、原因は指貫ではなく、私の指が悪いからなのではないか、そう思えてきたのだ。再挑戦する必要がありそうだ。

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1486   囀りをしばし掻き消す鶯嬢

2015年04月14日 | 

 

ウグイス嬢と言えば、選挙カーでマイクを握る女性。唯今、県議選が終わり、これから市議選が始まる。住宅のほとんどない標高400mの山にも、県道があり時々選挙カーが通る。ウグイス嬢の良し悪しで票が増えたり減ったりするというが、本当かしらん。

顔も知らず、話したこともない候補の誰に投票するか、私は若い人に投票することにしている。老兵去るべし、若者よ立ち上がれ。新しい日本は、君たちが創るのだ。

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1485   春望や残りし時を雨の中

2015年04月13日 | 

「春望」とは、日本人なら誰でも知っている、かの有名な杜甫の詩

国破山河在(国破れて山河あり)

城春草木深(城春にして草木深し)

感時花濺涙(時に感じては花にも涙を注ぎ)

恨別鳥心驚(別れを恨んでは鳥にも心を驚かす)

烽火連三月(烽火三月に連なり)

家書抵萬金(家書万金に当たる)

白頭掻更短(白頭掻けば更に短く)

渾欲不勝簪(全て真にたえざらんと欲す)

それにしても、杜甫と同じ嘆きを嘆いている人々が、この現世界に何千万人もいるらしい。

 

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1484   山桜卑しからざる鵯の群

2015年04月12日 | 

今朝、2階から15羽ほどの鵯が、群れ成して一斉に山桜の蜜を吸う情景に出会った。嬉しくなってしばらく眺めていてから、動画を撮ってみようとカメラを採りに行って戻ったら、既に移動していて、撮ることはできなかった。

以前、それと全く同じ情景で「ひらひらと鵯はらはらと山桜」という句を作ったが、改めて句を作ってみた。

 この句から、卑しい鳥と言われている鵯の群が少しも卑しくなく、蜜を吸う鵯の可愛らしさを想像していただけたら幸いです。

スノードロップ

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1483   犬供養モモちゃん桃が咲きました

2015年04月11日 | 

  去年の今頃、桜と桃の小さな苗木を植えました。桜(染井吉野)は咲かなかったが、桃は小さいながらも咲いてくれました。これから毎年、桃が咲くたびにモモを思い出すことができる。なんか、嬉しくなってきました。死んでもあの世から私を喜ばせてくれる、実に感心な犬です。

 あの世などひとかけらも信じていない私ですが、信じたくなってきたのはモモのせい?それとも老化現象?

ところで今日は、4月11日です。旧暦では、2月23日。桃の節句まであと10日もあります。

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1482   癌の吾れに花見虱のよそよそし   勲

2015年04月09日 | 

 花虱(花じらみ)は、桜の花が咲く頃、這い出るシラミ。私は、シラミを見たことがない。日本ではとっくに絶滅したと思っていたら、こういう俳句があるのだから、そうでもないらしい。

 人間につくシラミは、3種あるという。アタマジラミは頭髪に、コロモジラミは衣服に、ケジラミは陰毛部にそれぞれ主な生息場所としており、それぞれそこで繁殖して数を増やすのだ。

 シラミの語源については、「白虫」の転訛であるという説が有力である。字体(虱)から「半風子(はんぷうし)」とも呼ばれる。さらにその形から千手観音という異称もあったことが横井也有の『百虫譜』などにも見え、第二次世界大戦後の大発生期には隠語風に「ホワイトチイチイ」と呼ばれたという。

 さて、シラミが親しげだったら大変だが、よそよそしいのは結構なことだと思うが・・・・・癌になると知人達は、いつもと態度が必ず変わるはずだ。それを作者は、よそよそしく感じるのだろう。更にシラミまで・・・何という深い孤独感。

 

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