一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

3011  猛暑日の真夜中に聞く蝉時雨    流水 

2023年09月19日 | 

 この句の作者は、昼の猛暑と熱帯夜によって気がおかしくなり、幻聴によって蝉時雨を聞いたのではないだろうか。真夜中に蝉が寝ぼけたようにジジッと鳴く声はよく聞くが、深夜の蝉時雨など聞いたことがない。

 ところが作者に聞くと、「気がふれたわけではなく、事実です。都会では深夜なお明かるく、蝉の合唱が続いていた」という。本当だろうか。

 作者が正気だったか狂気だったか、どちらを選ぶか。鑑賞者の私としては、狂気を選ぶ。何故ならその方が面白いからだ。作者にとっては実に失礼な話であり、私としては実に無責任な選択である。

 さて、蛇足ですが、昭和24年、旧漢字の「氣」は当用漢字ではなくなり、「気」が当用漢字になりました。「氣」は八方に広がる字であり、「気」は真逆の内向する字である。国語審議会が何故変えたのか、不思議でならない。

ウド(独活)の花

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3010  伊豆山の花火鎮魂の手を合わす   伊豆山人

2023年09月13日 | 

 2021年7月3日、伊豆山土石流が発生し、死者28名、被害建物136棟、被災地は未だに立ち入り禁止になっている。早、鎮魂の三回忌である。

 現在、原告被災者遺族は、熱海市と静岡県に対し、64億円の損害賠償を求めて裁判で争っている。暴力団がらみの業者に投棄を許可し、許可以上の不法投棄を知りながら強い行政指導を行わなかった熱海市と静岡県の責任は重い。はてさて、結審や和解に一体何年かかるのだろうか。

 原爆被害者、水俣病患者、福島原発事故被災者、地震や台風など、様々な被害者救済を渋り、国や県は責任をなかなか認めようとしない。

 情けないことに、最高裁の裁判までやると、十年以上かかり、国や県は被害者の高齢化や死亡を期待して、諦めさせることが国や県のねらいであり、そうなれば役人たちの思う壺なのだ。不法投棄業者を逮捕できず、被災者を救済しない国、県、市町村の議員や役人の存在、それこそ救いようのない状況が続いている。

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3009 岩戸句会 8月

2023年09月10日 | 

伊豆山の花火に鎮魂手を合わす   伊豆山人

盆の月初島照らす灯台か       〃

  

夕散歩追尾執拗アオマツムシ    豊狂

夏の夕破れ幟と仕舞屋と       〃

 

猛暑日の真夜中に聞く蝉時雨    流水 

寝苦しき闇を切り裂く救急車     〃 

 

かくれ湯へ長き廊下や虫の宿    吟

邯鄲や答え待つかに間を置いて   〃

 

雲散って空の青さや夏薊      黒薔薇       

小川路きらきら泡ふく沢蟹     〃

                         

静けさを奏でる小川赤とんぼ    信天翁

秋立ちてせせらぎの音風の音     〃

 

遠ざかる昭和夾竹桃の白      紅

連山の青き嶺々雲の峰       〃

 

小ヤモリが葉っぱの裏で雨宿り   ことり

夏休みこのひとときは陶芸家    〃

     

ボンベ引きずり共に夏生きる    余白

疎開先蝉の鳴く声父の森       〃

 

縁の糸ただ一心に墓洗う      心

今生を惜しみて鳴ける秋の蝉    〃

     

赤とんぼ廃墟に沈む夕富嶽     吠沖

こころのなかあちこち迷走夏颱風  〃

 

七夕や湯気立ちの釜銀河菓子    翠風

七夕や満天の星朝茶事       〃

 

休み窯空のこころにちちろ鳴く   釣船

原爆忌・敗戦日・盆・無為徒食    〃

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3008 暮の秋チーズが好きになりました  釣舟

2023年09月07日 | 

 60年前10歳の頃、生まれて初めてチーズを食べさせらた。多分、雪印のプロセスチーズ。第一印象は、臭くて不味いと思った。父は、太平洋戦争の軍隊帰りで非常に厳しかったし、私がチーズ嫌い、と分かれば、毎日食べさせられたのです。ところが2,3年後のある時、突然「あれ、このチーズ旨いな」と思ったのです。

 私はこの経験から導いた結論は「どんなに不味いものでも、食べ続ければ美味しく感じるようになる。何故ならば、必ず誰かが美味しいと思って食べているから、誰かによって生産されているのだ」

 子供は、香りの強いもの、例えばニンジン、ピーマン、ホーレンソウ、メロンなどが嫌いなようである。しかし継続的に我慢して食べることによって、クサヤ、鮒ずしなどどんなに臭くて不味いと思っていたものが、美味しいと思うようになり、好きになっていったのである。今では、父の様々な食以外の強要についても、大いに感謝している。

ムクゲ(木槿)、(宗旦木槿、底紅木槿とも)

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