一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

963  落石の10センチ横雨蛙  炎火

2013年06月30日 | 

 おっとと、崖の上から石が落ちてきた。ドスン、危ないなあ。よく見ると、すぐ傍に雨蛙が、何事もなく澄まし顔で佇んでいましたとさ。

 そういえば、熱海駅近くの国道135号線の信号で、止まっている時に、「落石注意」の標識に気付いた。車に乗っている時、一体どういう風に注意しろと言うんだ。確かにここは、大地震でもあったら、大崩落が起きる可能性のある、とても危険な個所に違いない。いづれにしても、不安を煽るだけの「落石注意」標識はないほうがいい。

  それよりも、高速道路のトンネルに、「天井落下注意」の標識が必要だろう。何故なら、天上落下は、明らかに人災なのだから。

ハンゲショウ(半夏生、半化粧)  ドクダミ科の多年性落葉草本

別名カタシログサ(片白草)


962  百合の香の重たき雨となりにけり  喜久

2013年06月29日 | 

 「重たき雨」とは、どんな雨だろうか。今は梅雨だから、昼なお暗い黒南風の感じか。大粒の雨かもしれないが、土砂降りではなかろう。

 それとも、山百合などの噎せるような強い香りを言っているのだろうか。それとも、作者の気分を象徴しているのだろうか。

 こう考察していくと、どうやら「作者の憂鬱な気分が、雨を重く感じさせた」と解するのが最も相応しい気がする。

 いづれにしても、雨に強弱はあっても軽重などないから、ややこしいのだ。

 

アスパラガスの実


961  羅をまとひ寸時も気を抜かず  多可

2013年06月28日 | 

961  羅をまとひ寸時も気を抜かず  多可

(うすものを まといすんじも きをぬかず)

もともと羅(ら、うすもの)とは、鳥や小動物などを捕獲するための網を意味する言葉だったが、絡み織を用いた目の粗い絹織物の一種で、網のような薄物を指す言葉にもなった。

 その年初めて、肌が透けて見える様な薄物を着て外出でもすると、その女性の性格にもよるだろうが、確かに他人の視線が気になり緊張感のある時間になるだろう。

山椒の実


960 熊ん蜂梅雨のガラス戸敲きけり  野里女

2013年06月27日 | 

 蜂は、世界で10万種あるそうだ。人を刺す蜂の中で、最も大きいのが私たちが言っている「クマンバチ」。どうやら正式名は、「オオスズメバチ」らしい。針は、産卵管が変化したもので、オスは刺さない。

 薪割りをしていると、カミキリムシの幼虫がよく出て来る。たぶん、これを探しているのだろう、餌集めの熊ん蜂が飛びまわるのだ。顔の回りを偵察飛行されると鳥肌が立つが、じっとしていればまず刺されない。

 テラスで話をしている時、友人にスズメバチが近づいているのを発見することがある。「みっちゃん、動かないで、今スズメバチがいるから。手で払ったら刺されるよ」

 友人は、体を硬直させて顔も引きつっている。スズメバチが去って、「OK,もう大丈夫」と言った時の友人の安堵感。こんなのも、幸福の一つだろう。

ニオイバンマツリ

 


959  年取らぬ老人ばかり海水着  沙会

2013年06月26日 | 

 フィットネスクラブやスポーツクラブには、毎日プールの中を歩いたり泳いだりする元気な老人が沢山おられる。60~80才くらいだろうか、勿論中には80を越えている方もおられる。

 ストレッチしてから自転車、マシーンでランニング、ヨガやエアロビクスなどもある。筋肉トレーニングさえする筋骨逞しい老人も、確かにいる。

 私も腰痛を治す為にしばらく通ったことがあるが、始めたテニスが面白いのできっぱり止めてしまった。


958  明易し傘寿二人のトークショー

2013年06月24日 | 

 既に明るくなっている朝4時から始まるNHKラジオの「明日への言葉」。毎月、その月の最後の日曜日(実質的には月曜日の朝)に、天野祐吉氏(80才)の司会で、御老人をお招きしてのトークショー「隠居大学」が放送されている。本日のお客様は、三輪明宏氏(78才)

今は、インターネットの時代。私がどうこう言うよりも、アーカイブで聞くなり見るなりしてみて下さい。

 「私なんか、足元にも及ばない。すごい人だなあ」と感動して嬉しくなるばかり。「私も頑張ろう」と元気が出てきました。文章で読みたい方は、以下をクリックして下さい。「隠居大学三輪明宏」

 

オカトラノオ

 


957  老犬を散歩に誘う梅雨の月

2013年06月23日 | 

 グアムに行く友人の老犬を預かった。18才だが、結構元気だ。一日3度ほど散歩に連れ出すが、2~300メートル行くと動かなくなる。元気な時は、どこまででも行きたがったのに、さっさと踵を返すのも年のせいか。昨日は、旧暦の五月十四日(皐月十四日)、ほぼ満月だ。

萩も咲いている。調べてみると、「五月雨萩」と言うそうである。これで一句作らねば気が休まらない。


956  五月雨やだんだん小さき藩主の碑   和葉

2013年06月22日 | 

 辞書によると、「碑」とは、記念にするため文字を刻んだ石。「ヒorイシブミ」碑文・碑銘・歌碑・句碑・建碑・詩碑・石碑・墓碑・記念碑。とあるから、この句の場合は、墓と考えるのが適当。作者が、5,7,5に収めるために「碑」を選んだ気持ちも分かるが、字余りでも「墓」としてくれた方が、読者にとっては分かりやすい。話は変わるが「碑」に、どうして「卑しい」という字が当てられたのだろうか。

 それは兎も角、関ヶ原の合戦に活躍した、初代藩主の大きな墓が、世代を追うごとに次第に小さくなってゆく。外様・譜代どちらにしても、家督を守るために墓が質素になるのは、藩にとって悲しいかな、当然の成り行きかもしれない。

ビヨウヤナギ(美容柳) オトギリソウ科の半落葉低木、 中国原産。


955  父も子もなき父の日は旅せむか   哲夫

2013年06月20日 | 

 結婚20年で子供のいない夫婦は、およそ5%らしいから、子供のいない父親は、全国に百万人ほどはいるらしい。

 彼らにとって、父の日などない方がよほど気が楽かもしれない。まして、父親が他界していれば尚更であろう。

 いづれにしても、子供の日、母の日、父の日など、いない人にとっては苦痛かもしれないし、忘れていたいかもしれない。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花) アジサイ科( ユキノシタ科)アジサイ属の落葉低木


954  父の日に背を向けいつか老いにけり  加津夫 

2013年06月19日 | 

 日本における父の日は、1980年代に始まったらしい。全国に普及したのは、たぶんもっと遅かったに違いない。

 誕生日にしても、父の日にしても、祝われる立場になると、結構照れくさいものだ。だから、娘から「プレゼント、何が欲しい」と言われて、「そんなもの、いらん」などと言ってしまう。そんな依怙地だった男も、年を取ると淋しさを感じるようになるらしい。しかし、後悔してももう遅い、誰も会いに来ないし、プレゼントも来ないのだ。

 私も同類だから、作者の気持ちが良く分かる。依怙地の付けがいつか必ずやって来る、ということを、私も覚悟せねばなるまい。

雄花

アカメガシワ(赤芽槲、赤芽柏)、トウダイグサ科アカメガシワ属 の落葉高木

雌花


953  薪屑に山ゴキブリが潜り行く

2013年06月17日 | 

 薪を割っていると、蚊や蠅以外にも様々な虫たちがやって来る。虫好きには格好の場所になるだろう。私は、仕事に専念しているから、ちらりと眺めるだけでおしまい。

 腐った木に暮らしているらしい真っ黒の山ゴキブリ、家ゴキブリと比べると動きがのろい。それでも、暗いところが好みらしく、木屑の中にのそのそ潜って行く。唯、それだけのことだけれど、やっぱり可笑しいのである。

だから、この句を見て笑ってくれたら本望なのだが・・・・そんな人、まずいないだろうねえ。

キンシバイ(金糸梅) オトギリソウ科オトギリソウ属の半 落葉小低木


952  銀蠅クンお久しぶりね元気だね

2013年06月16日 | 

 先日の葬式で、一匹の銀蠅が飛んでいた。「あっ、おじいちゃんが帰って来た」と少年が叫んだ。少年の声が聞こえたはずなのに男は、行き場を失った窓ガラスの銀蠅に殺虫剤を吹き掛けた。

 今日、薪を割っていると、銀蠅がやって来た。なんか申し訳なくなって、「こないだは、ごめんね」と、つい謝ってしまった。


951  人生も急ぐべからずかたつむり

2013年06月15日 | 

人の一生は、重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし、心に望み起らば困窮したるときを思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え、                       
勝つことばかり知りて、負けることを知らざれば、害その身に至る。
己を責めて人を責めるな、及ばざるは過ぎたるより勝れり(家康遺訓)

 

シロツメクサ(白詰草) マメ科の多年草

クローバー(シロクローバー)、オランダゲンゲ  ともいう。


950  ホトトギス君を想いて嘘をつく  善二郎

2013年06月14日 | 

  「ウソもホウベン」というから、いい嘘もあるだろうが、上五に「ホトトギス」があると、「君を想いて」が嘘に見えてしまう。何故なら、ホトトギスは、托卵するからだ。

 卵を産んであるウグイスの巣に、ホトトギスは卵を産む。そして、先に孵った目も見えないホトトギスの雛は、ウグイスの卵を巣から落してしまう。それが分からない親ウグイスは、せっせと雛ホトトギスに餌を運び続ける。托卵の大成功だ

ネジバナ(捩花)  ラン科ネジバナ属の 小型の多年草


949  梅雨の腰痛たまに喧嘩の伴侶いて

2013年06月13日 | 

(つゆのようつう たまにけんかの はんりょいて)

 昨日今日の西日本や日本海では、30度を越えて真夏日らしい。ところが、伊豆地方は、梅雨台風が熱帯低気圧に変わったが、近海をうろうろしていて、風雨が強い。

 それでも私は、薪置き場で薪を割っていたが、こう湿気が多くては腰に響く。勿論、屋外で19度あるのだから文句は言えない。なにせ冬のストーブの設定温度が20度もあったのだ。

とにかく、暑さに慣れた私の腰は、梅雨の寒さを敏感に感じるようだ。入院したのも6月で毎年6月は要注意。