一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

3053  チンドン屋ピアノ初戀富士登山  喜孝

2024年07月29日 | 

 この句の前書きに、「為し残せしこと」とある。そこで、この四つの「作者がもう絶対しないであろう、出来ないであろうやり残したこと」を考察してみる。

 チンドン屋とピアノには、楽器演奏という共通点がある。作者は、音楽を聞くのが大好きで、相当な音楽通なのだが、とうとうピアノ演奏には至らなかった。但し、後悔しているとは限らない。後悔しているとしても、ほんの少しだろう。

 初恋をせずこれからもすることがない、ということは、生涯恋をしたことがない、ということになる。しかし、それではつまらない。あくまで、少年時代の淡き純粋なプラトニックな初恋を指しているのである。「初戀」が、旧字体になっていることから、それが窺われる。作者は、恋多き男に決まっている。

 過去の日本人の、どのくらいが生涯に富士登山をしたか、全く分からないが、多く見積もっても2,3割程度ではないかと思う。作者も、いつかは登りたいと思いながら、年を取って登るチャンスを逃したのだ。

 いずれにしてもこの句、前書きをうまく使った句,と肯定することができるし、逆に、前書きがなければ分からないような句は良くない、と否定することもできる。

合歓の花


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