永久にひとり芝居や冬落暉 薪
塾帰りお下げの芯の冷えており
素蛾の森青女も舞いて熱き宴 鯨児
冬木立途切れ途切れに啜りなき
ホットミルクに抹茶落して今朝の冬 鞠
蜜柑の実ポトポトこぼし電車過ぐ
名草枯るただ一色の朝の道 イヨ
来た道は荒ぶ北風行く道も
木枯しやビュッフェのタッチ大銀杏 炎火
早朝の一番ホール青女かな
そば食へば一節流る年忘れ 沙会
聖夜待つ宅急便の箱二つ
白マスクパッチリ眼青女かな 豊春
冬枯や静もる団地竿売師
陽の差せば地に還りゆく青女かな 凛
触れし手の透きとおりゆく青女かな
冬薔薇人の名ありて棘ありて さくら
金継ぎの湯飲みで啜る卵酒
オンライン会話にあきて冬星座 洋子
手放すという決断や冬構
都会には都会の寒さありにけり 稱子
人ひとり通る裏路地柚子たわわ
軽井沢星降る森のクリスマス 貴美
コロナでも何時ものように師走来る
マスク好き横着できて暖かで パピ
冬晴や石工先祖の碑を訪ね
告知うけ胃ガンの身体冬始め 余白
枯れ葉たち人混みぬきて急ぎ旅
朝ぼらけ青女の吐息銀の峯 裕
柚子湯あとこの一年に酒を酌む
風と木々時に梟コンチェルト 雲水
大根の穴に堆肥とジムノペディ
ヤツデ(八つ手)