一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1187   春夕日まだ歩けますありがとう   遊石

2014年03月31日 | 

 我が家の犬、モモを見送って思い知らされた。私も必ず歩けなくなる、そして死ぬ。親を見送った時より、その思いが強いのは何故だろう。不思議でならない。だからこの句の「まだ」という言葉がずしりと重いのである。

 又、この句の「ありがとう」は、自分を支えてくれる家族や友人への感謝の言葉かもしれないし、神様への言葉かもしれない。この世に人間として生まれて、今こうして歩けることが「有ることが難い」奇跡なのだ、と思っているに違いない。

 春の美しい夕日が、作者の人生の落日と重なっている。

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1186   緊急の連絡先は春の空   洋子

2014年03月30日 | 

 人は誰でも緊急連絡先を持っているだろう。交通事故や心筋梗塞、脳溢血などで倒れた時の連絡先である。夫婦、親子など近親者が一般的であるが、近所の友人・知人、最近はワンタッチで病院や警備会社に直通の回線があったりする。

 さてこの句、連絡先が「春の空」だという。自宅ではなく屋外で倒れた時のことを想像して心配しているのかもしれない。

しかしそうではなく、誰にも連絡するつもりがないのではないか。つまり、緊急の連絡先なんか気にすることはない、なるようになるさ、ケセラセラと笑っているのではないのか。

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1185   真つ新なスーツ見送る朝櫻   やよい

2014年03月29日 | 

(まっさらな スーツみおくる あさざくら)

  社会人1年生の、それも出勤第一日目の息子を見送っているのであろう。爽やかで清々しい風景なのかもしれないが、昨今の若者たちのことを思うと、喜んでいられない。

 3年持たず辞めてしまう大卒新入社員が、この就職難の時代に30パーセントもいるんだから。私の知り合いの息子さんなんか、1日で辞めたという新記録を持っている。

 という私も、両手両足に余る様々な仕事をやって来たが、実は1年以上務めたことはなかった。陶芸という一人でできる自営業のお陰で30数年やってこれたのである。

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1184   車椅子ことしの花に逢ひにゆく   暢子

2014年03月28日 | 

 去年は鷽(うそ)にやられて、まばらにしか咲かず、本当にひどかった桜、今年はなんとか例年通りに咲きそうな気配である。早2,3分咲きである。

 さて掲句、全くその通りである。「花に逢いにゆく」などという擬人化表現はオーバー、と言う人がいるかもしれないが、桜だけには許していただきたい。この句は、日本人の花(桜のこと)に対する感情を素直に表現している、と思う。

 まして、車椅子で外出しなければならない身であれば、尚更であろう。

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1183   利休忌の風かたくなを通しけり   孝子

2014年03月27日 | 

 茶道の開祖である千利休(田中宗易)は、180センチの大男だったそうである。信長、秀吉の茶頭となり、蒲生氏郷、細川忠興、古田織部などの諸大名を弟子とした。

 但し、利休の人望を含めた権勢が秀吉の逆鱗に触れ、70才で切腹を命じられることになる。死後、利休の首は一条戻橋でさらし首にされたそうである。

 利休作と言われている国宝の茶室「待庵」、黄金の茶室、竹花入の「園城寺」「尺八」「夜長」、茶杓の「なみだ」「面影」などが現存している。

利休忌は、旧暦の2月28日で、現在の表千家は3月27日、裏千家は28日に忌を修している。

 さて、この句の「かたくな(頑な)」は、秀吉に許しを請わず、死を選んだ利休の心根を言ったものであろうが、潔白、豪傑などが相応しいように思うが如何。

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1182   今日一と日補陀落山の青き踏む   美那

2014年03月26日 | 

(きょうひとひ ふだらくさんの あおきふむ)

 

 補陀落は、インドのはるか南方の海上にあり、八角の形状をした山であるといわれ、熊野や日光が補陀落になぞらえられ、日光という地名は、補陀落→二荒(ふたら)→二荒(にこう)→日光となったそうである。

全国に「補陀落山」の山名を冠する寺院は数か所あるが、ここでは日光としておく。

青き踏む、踏青(とうせい)とは、春になって青々と生い出た草を踏みつつそぞろ歩くこと。

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1181   将来は蟇蛙なり池の蝌蚪

2014年03月25日 | 

(しょうらいは ヒキガエルなり いけのかと)

 近所の草むらから集まった、数十匹のヒキガエル(蟇蛙)のお祭りが終わり、池には沢山の卵が残された。そして今は、小さな黒い無数のオタマジャクシが蠢(うごめ)いている。蝌蚪とは、オタマジャクシのこと。

 この無数の1センチほどのオタマジャクシが、全てヒキガエルになると思うと、ぞっとする。しかし数からすると、実際に生き残って大人になるのは1パーセントにも満たないかもしれないのだ。

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1180   囀れる丘の上なる明智塚   きみこ

2014年03月24日 | 

 天正10(1582)年6月2日,明智光秀(1528~82)は,本能寺で織田信長を討ち取った(本能寺の変)。その後,中国地方から引き返してきた羽柴秀吉らと13日に山崎で戦ったが敗れた(山崎の戦い)。光秀は近江坂本に戻ろうとしたが,小栗栖で土民から襲撃され,明智藪で自刃したという。

 京都のあちこちに、光秀の首塚や胴体塚があり、どれが本物か判然としないが、三日天下として馬鹿にされそうな光秀が、意外にも人々に慕われ憐れまれていたらしい。

 この句の明智塚がどこなのか分からないが、信長・秀吉・家康という三角関係の脇で、光秀が重要な役割を果たし、歴史を動かしたことだけは確かである。

 余談であるが、岐阜県恵那郡の明智町と可児市が「こちらこそ光秀の町」と、未だに本家争いをしているそうである。結論は永遠に出ないでしょうから、永遠に争うことになるかもね。

 

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1179  巣作りに薪ストーブが選ばれし

2014年03月23日 | 

今朝9時頃、火を点けようと薪ストーブの蓋を開けたとたん、ヤマガラ(山雀)が一羽飛び出してきた。こんなことは初めてなので、驚いたのなんの。全ての窓を開け放って逃がす。

 ヤマガラは、煙突の屋根から真っ暗な狭い煤だらけの中を舞い降りてきたらしい。2階の屋根まで突き抜けた煙突は、直径15センチ、およそ7メートルある。煙突を下りたヤマガラの度胸に感心する。

「二度と入って来るんじゃないよ」

バイモ(貝母)orアミガサユリ(編笠百合)

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1178   かげろうになる順番の列につく   敏子

2014年03月22日 | 

①  虫のカゲロウ(蜉蝣)には、カゲロウ、ウスバカゲロウ、クサカゲロウがある。カゲロウは、水中で幼虫期を過ごし、成虫となって空中を飛翔するが、陽炎(かげろう)のように弱弱しく飛ぶので、名付けられたとか。羽化の時期は春から冬まであって、種や地域によって異なるが、初夏の頃が最も多く、時間も夕方頃が多いそうである。夏の季語

②  もう一つのかげろう(陽炎)は、よく晴れて日射が強く、かつ風があまり強くないような日に、道路のアスファルト、自動車の屋根の上などに立ち昇る、もやもやとしたゆらめきのこと。春の季語

 この句の作者は、二つのうちのどちらの「かげろう」か分からないように、わざとひらがなにしたに違いない。常識的には、「虫のカゲロウ」だろうが、句集では春の部に入っているから、「陽炎」の可能性がないわけではない。

 いづれにしても、作者に弄ばれているような気がしてならない、面白い句ではある。

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1177   永すぎる春分の日の昼も夜も   滋

2014年03月21日 | 

 今日、春分の日は、秋分と同様昼夜の長さがほぼ同じになる日。これからは、夜より昼の時間が長くなるわけだが、それを「日永」という。実際は夏至(6・23)が最も昼が長いのだが、冬(短日)が過ぎて暖かくなった春分の頃が「日永」の感が強いのである。

 さて、この句の作者は、春分の日の昼が長く感じられたが、夜も長く感じられた、と言っている。さて、何故であろう。

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1176   クレソンを摘むや満開過ぎし梅園   三知子

2014年03月20日 | 

 湯河原幕山の梅園は、この数年人気だそうである。聞いた話では、熱海梅園を凌いでいるかもしれない、という。駐車料500円、入園料200円はまあ我慢するとしても、車で行くと渋滞がひどくて大変らしい。

 梅祭は予定通り16日に終わったが、昨日(19日)の早朝に行ってみたら盛りを過ぎたとはいえ、まだまだ梅は咲いていた。

 まだ1週間くらいは十分見られると思われるが、駐車料入園料も無料になったし、売店などは閉鎖されている。

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1175   種屋にて咲く過ちを犯しけり   等外

2014年03月19日 | 

 さて、そろそろ種を蒔く時期が近付いた。八重桜が咲いたら、どんな種を蒔いても大丈夫と聞いたことがある。たぶん、気温が氷点下にならないからだろう。

 それにしても、この句、「咲く過ちを犯す」とは、ちょっとオーバーな気がする。理由は、部屋が暖かいので咲いてしまった、なかなか売れず咲いてしまった、とにかく売れ残って咲いてしまったのだ。

 作者は、咲いた責任を花に押し付け、犯罪にまでしているが、絶対に責任は花にはない。誰かに責任があるとすれば、責任は[咲かせてしまった」種屋か、客である作者にある。早く買ってあげれば良かったものを・・・

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1174   春霞黒海へ続く海静か

2014年03月18日 | 

  現在、ウクライナ情勢が緊迫している。アフガニスタン、イラク、シリアなど世界中で多くの血が流されている。人類の歴史は、略奪の戦争の歴史であり、残念ながら人間の性は好戦的であると、言わざるを得ない。

  日本もついこの間まで(69年前)戦争をして、日本だけでも300万人が死んでいる。現在の阿部政権は右傾化しており、戦争さえしかねない危険を孕んでいる。私たちも、ボーっとしていられない時が来るかもしれないのだ。

  さて、黒海は湖かと思っていたがようく調べてみたら、地中海につながる歴とした海でありました。なるほど、名前が黒海だし、だから空母などの軍艦を浮かべている。

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1173   オーロラの旅は大ボラ木の芽風

2014年03月17日 | 

A「ちょっと事情があって、しばらくテニスを休むよ」

私「えっ、どうして」

A「うん、ちょっとね」

とうとう教えてくれなかった、Aさん。

 ところが、別の女性には、「女房にせがまれてねえ、ノルウエーにオーロラを見に行くことになっったんだよ。行きたくないのにさあ」

 ところが昨日、本当は手術のための入院していたことが判明。どんな手術かは伏せておきますが、手術は無事成功して既に退院したとか。騙されたけれども「めでたし、めでたし」

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