漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「上ジョウ」 <うえ> と「下カ」 <した> 「雫しずく」「颪おろし」「梺ふもと」「峠とうげ」「桛かせ」「裃かみしも」

2023年12月31日 | 漢字の音符
 ジョウ・ショウ・うえ・かみ・あがる・あげる・のぼる  一部 shàng・shǎng・shang

解字 甲骨・金文は、境界を表わす横線の上に、位置を示す短い腺をつけて「うえ」を示す。篆文から横線と短い腺の間を結ぶタテ線がのびて、現在の字となった。上ジョウは物を移動する場合は「あげる」となり、移動するものが主体の時は「あがる」「のぼる」となる。
意味 (1)うえ(上)。かみ。うえのほう。あがる(上がる)。あげる(上げる)。のぼる(上る)。「上方ジョウホウ」「上段ジョウダン」 (2)よい。すぐれている。「上品ジョウヒン」 (3)たてまつる。「献上ケンジョウ

イメージ 
 「境界線のうえ」
(上)
 「境界線のした」(下・雫・颪・梺)
 「上と下」(峠・裃・桛)

音の変化  ジョウ:上  カ:下  おろし:颪  かせ:桛  かみしも:裃  しずく:雫  とうげ:峠  ふもと:梺  

境界線のした
 カ・ゲ・した・しも・もと・さげる・さがる・くだる・おろす  一部 xià

解字 境界を表わす横線の下に、位置を示す短い腺をつけて「した」を示す。すべて「上」の字と反対の作り方である。
意味 (1)した(下)。しも(下)。うしろ。「下流カリュウ」「下段ゲダン」 (2)もと(下)。ほとり。「城下ジョウカ」「階下カイカ」 (3)くだる(下る)。さがる(下がる)。おろす(下ろす)。「下車ゲシャ」「下降カコウ
<国字> しずく  雨部 nǎ
解字 「雨(あめ)+下(した)」の会意。雨が下へ落ちる形から、落ちた水がしたたる意となる。
意味 しずく(雫)。水のしたたり。「雫石しずくいし」(岩手県の地名)
<国字> おろし  風部 guā
解字 「風(かぜ)+下(おりる)」の会意。山からふきおろす風を表す国字。
意味 おろし(颪)。山からふきおろす風。「赤城颪あかぎおろし」(冬季に群馬県の赤城山方面から北へ吹き降ろす乾燥した冷たい強風をいう)「六甲颪ロッコウおろし」(①神戸市北西の六甲山系より吹き降ろす山颪(やまおろし)。②阪神タイガースの歌。「六甲おろし」とも)
<国字> ふもと  林部 xià
解字 「林(はやし)+下(した)」の会意。山の林が茂る下のところ。山のすそである「ふもと」の意。
意味 ふもと(梺)。山のすそ。麓ロクとも書く。「梺(ふもと)の村」

上と下
<国字>  とうげ  山部 qiǎ
解字 「山(やま)+上(あがる)+下(くだる)」の会意。山道の上りと下りの境になる所。
意味 (1)とうげ(峠)。「峠道とうげみち」 (2)物事の頂点。「峠を越す」
<国字> かみしも  衣部 kǎ

裃(かみしも)「滋賀県立文化産業交流会館・ぶんさん古典芸能用語集」より)
解字 「衣(ころも)+上(うえ)+下(した)」の会意。上下そろいの衣。
意味 かみしも(裃)。江戸時代の武士の礼服。同じ染め色の肩衣と袴(はかま)を小袖の上に着るので、上下そろいになる。「裃(かみしも)を脱ぐ」(堅苦しい態度を捨てて打ち解ける)
 かせ  木部
解字 「木(き)+上(うえ)+下(した)」の会意。上下に動かして糸を巻き取る道具。
意味 (1)かせ(桛)。紡錘(つむ)で紡いだ糸をかけて巻き取る工字形の道具。

①静岡県白岩遺跡の桛 ②時計桛(歯車桛)(文化遺産オンライン)
①は「大野晋「日本語の源流を求めて」P127

銅鐸に描かれた絹関連の道具に桛らしきものがある。「新しい日本の歴史No306」より

革足袋【釣狐】http://blog.shoe-scape.com/?eid=317 京都の革工房より
鞐<国字> こはぜ 革部 編集中です。
解字 「革(かわ)+上(うえ)+下(した)」の会意。足袋や脚絆などの合わせ目を上から下へ止める爪型の具。小鉤とも書く。
ウィキペディア「足袋」によると、足袋の起源は奈良時代には存在したとされるシタウズ(襪)と呼ばれるもので、富裕階級が用いた指の股の分かれていない鹿皮の一枚物から作られた外履きである単皮(タンピ)とも呼ばれた[2]。この単皮(タンピ)が足袋(たび)の語源とされている[2]。『倭名類聚抄』には多鼻(タビ)として記載がある[2]。
室町時代から安土桃山時代にかけて特に紫色の革足袋が流行し、今日の歌舞伎、舞踊、狂言の色足袋に名残がみられる[2]。
江戸時代になっても革製の足袋が多かった。革足袋の材料は正徳ごろまで外来ものが多かった。中国渡来の物を小人革と呼び、革うすく肌こまかに柔らかであった。他にシャムから来たシャム革があったが、小人革よりケバ立ちが早く厚いため、下品とされた。享保以降は国産の革が使われたが、ケバ立ちやすく質が悪かった。
それまで一般的だった革足袋は寛永16年(1639年)の鎖国令や明暦3年(1657年)の明暦の大火で次第に不足していき、それにかわって特有の臭いがなく履き心地の良い木綿足袋が男女ともに普及した。

<紫色は常用漢字>

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