且 ショ・ソ・かつ・まさに 一部
上は且ソ、下は宜ギ
解字 下の宜ギは供物台の上に犠牲の肉をのせた形、供物台の上下に月(肉)を描いており、(準備が)よろしい意。現代字はウ冠の宜に変化している。一方、上の且ソは宜ギから肉を除いた形であり、本来は肉をのせていない供物台の意。しかし、仮借カシャされて、「まさに」「かつ」「しばらく」の意になった。
意味 (1)かつ(且つ)。「且(か)つ引き且(か)つ戦い連闘八日」(引いたり戦ったりして戦闘が続いた八日間。(史記)(2)まさに(且に)~す。「城且(まさ)に抜(ぬ)けん(攻め落とされる)と矣(す)」(戦国策)(3)しばらく(且く)。いささか。「我酔うて眠らんと欲す。卿(きみ)且(しばら)く去れ。(李白)」(且く去れ⇒ちょっと帰ってくれ)
イメージ
「供物台」(且・祖・徂・俎・詛)
「つみ重なる」(阻・沮・岨・租・疽・蛆・助・鋤・組・畳)
かさねる意から「時間や回数を重ねる」(狙・姐・咀・齟)
「形声字」(粗)
「その他」(査・渣)
音の変化 ソ:且・祖・徂・俎・詛・阻・沮・岨・租・疽・組・狙・姐・咀・齟・粗 サ:査・渣 ショ:蛆 ジョ:助・鋤 ジョウ:畳
供物台
祖 ソ・おや ネ部
解字 甲骨文字は且で、祖先をまつる祭礼に肉をのせる供物台の意だが、祖先の意味で使われた。金文から示(祭壇)をつけた祖が作られた。祖は、「ネ(示;祭壇)+且(肉をのせる供物台)」の会意形声。肉をのせる供物台を祭壇に置き、先祖を祀ること。
意味 (1)せんぞ。血筋・家系のもと。おや(祖)。「祖先ソセン」「先祖センゾ」(2)父または母の親。「祖母ソボ」「祖父ソフ」(3)もと。はじめ。「教祖キョウソ」「祖師ソシ」(開祖。創始者)
徂 ソ・ゆく 彳部
解字 「彳(ゆく)+且(=祖。そせん)」の会意形声。祖先を祀る廟へゆくこと、また、祖先のもとへゆく(死ぬ)こと。
意味 (1)ゆく(徂く)。おもむく。「徂徠ソライ」(行き来する)(2)去る。死ぬ。「徂春ソシュン」(過ぎ行く春)「徂逝ソセイ」(①去ってゆく。②死ぬ)(3)人名。「荻生徂徠オギュウソライ」(江戸中期の儒学者)
俎 ソ・ショ・まないた 人部
解字 金文は、且(供物台)の横にTを横にした印を二つ描いている。これは供物台の脚を描いているとされ、脚のある供物台の意。肉を盛る供物台(机)を表す。現代字は人二つに変化した俎になった。現在の意味は料理の材料を切るときにのせる板である「まないた(俎板)」の意味になっている。
春秋時代の俎(供物台)(ネット検索画面から)
現在のまな板(ネットの広告から)
意味 (1)祭祀で犠牲の肉を載せる台。「俎豆ソトウ」(①祭りの供物台と豆(高杯)。②祭りに用いる道具)「俎豆之事ソトウのこと」(祭りの儀式の事柄)(2)まないた(俎)。料理の材料を切るときのせる板。真魚板とも書き本来は魚を料理するのに用いる板をいう。俎板とも書く。「俎上ソジョウ」(まないたの上)「俎板まないたの鯉」(相手のなすがままで逃げ場のないこと)「樽俎ソンソ」(①酒のたると俎板。転じて酒宴の席。②国際上の談判)「樽俎折衝ソンソセッショウ」(平和的な外交談判で交渉をすすめる)
詛 ソ・のろう 言部
解字 「言(ことば)+且(肉をのせた供物台)」の会意形声。肉をのせた供物台を祭壇に置き言葉で祈ること。ちかう意だが、神へでなく私的に祈る場合、のろう意となる。
意味 (1)ちかう。ちかう。「詛盟ソメイ」(ちかい) (2)のろう(詛う)。「呪詛ジュソ」(のろう。呪も詛も、のろう意)
つみ重なる
阻 ソ・はばむ 阝部
解字 「阝(おか)+且(つみ重なる)」の会意形声。肉がつみ重なったように見えるけわしい丘。また、けわしい丘にはばまれること。
意味 (1)けわしい(阻しい)。「険阻ケンソ」 (2)はばむ(阻む)。 「阻止ソシ」「阻害ソガイ」(じゃまをする)
沮 ソ・はばむ 氵部
解字 「氵(みず)+且(=阻。はばむ)」の会意形声。水にはばまれること。
意味 (1)はばまれる。くじける。ひるむ。「沮喪ソソウ」(くじける。落胆する)「意気沮喪イキソソウ」 (2)はばむ(沮む)。=阻む。「沮止ソシ」(くいとめる。=阻止)
岨 ソ・そば 山部
解字 「山(やま)+且(=阻。けわしい)」の会意形声。山のけわしい所をいう。
意味 そば(岨)。そわ(岨)。山の切り立った斜面。がけ。「岨道そばみち・そわみち」(けわしい山道=岨路)「岨清水そばしみず」(山の切り立った所から流れる清水)
租 ソ 禾部
解字 「禾(穀物)+且(つみ重なる)」 の会意形声。穀物をつみ重ねること。みつぎものとして納める意と、穀物をつみ重ねて(お金を払って)借用する意とある。
意味 (1)みつぎ。年貢。税。「租税ソゼイ」「地租チソ」 (2)金銭を払って借りる。賃借り。「租界ソカイ」(借り上げた他国の領土の一部)「租借ソシャク」(他国の領土の一部を借りること)
疽 ソ・かさ 疒部
解字 「疒(やまい)+且(つみかさなる)」の会意形声。皮膚につみかさなるようにふくらむ悪性のできものをいう。
意味 かさ(疽)。悪性のできもの。「炭疽症タンソショウ」(炭のように黒いかさぶたができる感染症)「炭疽菌タンソキン」(炭疽症の原因となる細菌。生物兵器として研究された)「壊疽エソ」(体の組織が局所的に死に<壊死エシ>色が変わってできもののようなること>
助 ジョ・ソ・たすける・たすかる・すけ 力部
解字 「力(ちから)+且(かさねる)」の会意形声。力をかさねて相手を助けること。
意味 (1)たすける(助ける)。救う。「助言ジョゲン」「助命ジョメイ」 (2)助ける働きを表わす。「助詞ジョシ」「助役ジョヤク」 (3)すけ(助)。昔の官位のひとつ。 (4)共同耕作する。「助法ジョホウ」(共同耕作地を設け、その収穫を租税に当てる殷・周の租税法)
鋤 ジョ・ショ・すき 金部
解字 「金(金属)+助(たすける)」の会意形声。耕作など田畑の仕事を助ける金属の道具。日本では足で踏みこむ農具のスキを指すが、現在の中国では日本のクワ(鍬)にあたる手前に引き寄せて土を起したり除草する農具を指している。
日本の各種の鋤(©西川勝也氏)
https://kotobank.jp/word/%E9%8B%A4-83493
意味 (1)すき(鋤)。幅のある刃にまっすぐな柄をつけた農具。足で押しこみ手の力で土を反転させて耕す。「耕鋤コウジョ」(たがやす) (2)除草する。「鋤除ジョジョ」(雑草をすき除く) (3)のぞく。根絶やしにする。「誅鋤チュウジョ」(ほろぼす)
蛆 ショ・うじ 虫部
解字 「虫(むし)+且(つみかさなる)」の会意形声。積み重なるように繁殖する虫。
意味 うじ(蛆)。ハエなどの幼虫。「蛆虫うじむし」(①うじむし。②つまらない人間)
組 ソ・くむ・くみ 糸部
解字 「糸(ひも)+且(上へ上へと重ねる)」の会意形声。太い糸をつぎつぎと重ねて編む組ひも。
意味 (1)くみひも。「組紐くみひも」 (3)くむ(組む)。くみたてる。くみあわせる。「組織ソシキ」「組閣ソカク」「組成ソセイ」 (3)くみ(組)。同じ部類に入るなかま。「組頭くみがしら」
畳[疊] ジョウ・たたむ・たたみ 田部
解字 旧字は疊で、「畾ライ(かさなる)+冖(かぶせる)+且(かさなる)」の会意。上(畾)と下(且)にかさなる形、真ん中にかぶせる形(冖)がつき、幾重にもかさなる意。また、転じて、折り重ねる・たたむ意となる。日本ではワラをかさね合わせた敷物のタタミの意ともなる。現代字は畾⇒田になった。
意味 (1)重ねる。重なる。「畳語ジョウゴ」(同じ単語を重ねて作った語。例:人々・くろぐろ・ひらひら)「重畳チョウジョウ」(幾重にも重なる。重も畳もかさなる意) (2)たたむ(畳む)。「畳紙たとうがみ」(横に二つ、縦に四つ折りにした紙。たたみがみの音便) (3)[国]たたみ(畳)。わら製の厚い敷物。「八畳間はちじょうま」「畳表たたみおもて」(畳の表につかうイグサのむしろ)
時間や回数を重ねる
狙 ソ・ねらう 犭部
解字 「犭(けもの)+且(時間を重ねる)」の会意形声。獣が獲物を求めじっと待つさまで、ねらう意。また、[説文解字]は「玃(さる)の属ゾク」とし「さる」の意味がある。
意味 (1)ねらう(狙う)。うかがう。「狙撃ソゲキ」「狙伺ソシ」(ひろかにうかがう。狙も伺も、うかがう意) (1)さる(狙)。てながざる。「狙公ソコウ」(さるを飼う者。猿回し)「狙侯ソコウ」(さるの別称)
姐 ソ・シャ・あね・あねご 女部
解字 「女(おんな)+且(年をつみかさねる)」の会意形声。歳をつみかさねた女。
意味 (1)あね(姐)。女きょうだいの年上の者。 (2)あねご(姐)。「姐御あねご」(①姉を親しんで呼ぶ称。②女親分。)
咀 ソ・かむ 口部
解字 「口(くち)+且(回数をかさねる)」の会意形声。口のなかで歯を何度も合わせる。
意味 かむ(咀む)。かみくだく。「咀嚼ソシャク」(咀も嚼も、かむ意)
齟 ソ・かむ 歯部
解字 「旧字の歯(は)+且(回数をかさねる)」の会意形声。歯を何度もかみあわせること。また、上下の歯がうまくかみあわないことをいう。
意味 (1)かむ(齟む)。かみくだく。 (2)くいちがう。「齟齬ソゴ」(物事がくいちがうこと)
形声字
粗 ソ・あらい 米部
解字 「米(こめ)+且(ソ)」の形声。ソは疎ソ(まばら)に通じ、まばらに稔った質の悪い米の意。そこから、すべて粗悪な(粗末で質の悪い)ものをいう。
意味 (1)あらい(粗い)。おおざっぱな。そまつな。「粗雑ソザツ」「粗暴ソボウ」「粗品ソシナ」「粗食ソショク」「粗相ソソウ」(①そそっかしい。②しそこない)(2)あら(粗)。欠点。「粗さがし」(3)あらまし。ほぼ(粗)。「粗方あらかた」
その他
査[查] サ・しらべる 木部
解字 篆文に見えず、新しい字である。当初、查と書かれ木のサンザシ(山査子)を表した。のち査に変化したが、調べる意に当てられるようになり、この意が主流となった。なお、繁体字・簡体字とも查で表示される。のち、
意味 (1)しらべる(査べる)。考える。明らかにする。「査察ササツ」「調査チョウサ」「査証サショウ」(調査し証明する。また、パスポートの裏書き。ビザ) (2)木の名。「山査子サンザシ」に使われる。バラ科の落葉低木。庭木。春に白い花をつけ秋に黄色の果実をむすぶ。
覚え方 「木(木簡)+且(つみかさねる)」で、木簡を積み重ねて、ひとつひとつ書かれている内容を検査する。
渣 サ・おり・かす 氵部
解字 「氵(みず)+査(サ)」の形声。液体(みず)の底に沈んだ残りかす(不要物)を渣サという。
意味 おり(渣)。かす(渣)。沈殿物。「渣滓サシ」(液体の底に沈んだかす。渣も滓も、かすの意)「残渣ザンサ」(残りかす。濾過などした際に残った不溶物)「沈渣チンサ」(沈んだかす)
<紫色は常用漢字>
<関連音符>
宜 ギ・よろしい・むべ 宀部
解字 「宀(建物)+且(肉をつみかさねる)」の会意。建物で肉を盛る祭礼を行なう形。
意味 よろしい(宜しい)。むべ(宜)。詳しくは、音符「宜ギ」を参照。
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
上は且ソ、下は宜ギ
解字 下の宜ギは供物台の上に犠牲の肉をのせた形、供物台の上下に月(肉)を描いており、(準備が)よろしい意。現代字はウ冠の宜に変化している。一方、上の且ソは宜ギから肉を除いた形であり、本来は肉をのせていない供物台の意。しかし、仮借カシャされて、「まさに」「かつ」「しばらく」の意になった。
意味 (1)かつ(且つ)。「且(か)つ引き且(か)つ戦い連闘八日」(引いたり戦ったりして戦闘が続いた八日間。(史記)(2)まさに(且に)~す。「城且(まさ)に抜(ぬ)けん(攻め落とされる)と矣(す)」(戦国策)(3)しばらく(且く)。いささか。「我酔うて眠らんと欲す。卿(きみ)且(しばら)く去れ。(李白)」(且く去れ⇒ちょっと帰ってくれ)
イメージ
「供物台」(且・祖・徂・俎・詛)
「つみ重なる」(阻・沮・岨・租・疽・蛆・助・鋤・組・畳)
かさねる意から「時間や回数を重ねる」(狙・姐・咀・齟)
「形声字」(粗)
「その他」(査・渣)
音の変化 ソ:且・祖・徂・俎・詛・阻・沮・岨・租・疽・組・狙・姐・咀・齟・粗 サ:査・渣 ショ:蛆 ジョ:助・鋤 ジョウ:畳
供物台
祖 ソ・おや ネ部
解字 甲骨文字は且で、祖先をまつる祭礼に肉をのせる供物台の意だが、祖先の意味で使われた。金文から示(祭壇)をつけた祖が作られた。祖は、「ネ(示;祭壇)+且(肉をのせる供物台)」の会意形声。肉をのせる供物台を祭壇に置き、先祖を祀ること。
意味 (1)せんぞ。血筋・家系のもと。おや(祖)。「祖先ソセン」「先祖センゾ」(2)父または母の親。「祖母ソボ」「祖父ソフ」(3)もと。はじめ。「教祖キョウソ」「祖師ソシ」(開祖。創始者)
徂 ソ・ゆく 彳部
解字 「彳(ゆく)+且(=祖。そせん)」の会意形声。祖先を祀る廟へゆくこと、また、祖先のもとへゆく(死ぬ)こと。
意味 (1)ゆく(徂く)。おもむく。「徂徠ソライ」(行き来する)(2)去る。死ぬ。「徂春ソシュン」(過ぎ行く春)「徂逝ソセイ」(①去ってゆく。②死ぬ)(3)人名。「荻生徂徠オギュウソライ」(江戸中期の儒学者)
俎 ソ・ショ・まないた 人部
解字 金文は、且(供物台)の横にTを横にした印を二つ描いている。これは供物台の脚を描いているとされ、脚のある供物台の意。肉を盛る供物台(机)を表す。現代字は人二つに変化した俎になった。現在の意味は料理の材料を切るときにのせる板である「まないた(俎板)」の意味になっている。
春秋時代の俎(供物台)(ネット検索画面から)
現在のまな板(ネットの広告から)
意味 (1)祭祀で犠牲の肉を載せる台。「俎豆ソトウ」(①祭りの供物台と豆(高杯)。②祭りに用いる道具)「俎豆之事ソトウのこと」(祭りの儀式の事柄)(2)まないた(俎)。料理の材料を切るときのせる板。真魚板とも書き本来は魚を料理するのに用いる板をいう。俎板とも書く。「俎上ソジョウ」(まないたの上)「俎板まないたの鯉」(相手のなすがままで逃げ場のないこと)「樽俎ソンソ」(①酒のたると俎板。転じて酒宴の席。②国際上の談判)「樽俎折衝ソンソセッショウ」(平和的な外交談判で交渉をすすめる)
詛 ソ・のろう 言部
解字 「言(ことば)+且(肉をのせた供物台)」の会意形声。肉をのせた供物台を祭壇に置き言葉で祈ること。ちかう意だが、神へでなく私的に祈る場合、のろう意となる。
意味 (1)ちかう。ちかう。「詛盟ソメイ」(ちかい) (2)のろう(詛う)。「呪詛ジュソ」(のろう。呪も詛も、のろう意)
つみ重なる
阻 ソ・はばむ 阝部
解字 「阝(おか)+且(つみ重なる)」の会意形声。肉がつみ重なったように見えるけわしい丘。また、けわしい丘にはばまれること。
意味 (1)けわしい(阻しい)。「険阻ケンソ」 (2)はばむ(阻む)。 「阻止ソシ」「阻害ソガイ」(じゃまをする)
沮 ソ・はばむ 氵部
解字 「氵(みず)+且(=阻。はばむ)」の会意形声。水にはばまれること。
意味 (1)はばまれる。くじける。ひるむ。「沮喪ソソウ」(くじける。落胆する)「意気沮喪イキソソウ」 (2)はばむ(沮む)。=阻む。「沮止ソシ」(くいとめる。=阻止)
岨 ソ・そば 山部
解字 「山(やま)+且(=阻。けわしい)」の会意形声。山のけわしい所をいう。
意味 そば(岨)。そわ(岨)。山の切り立った斜面。がけ。「岨道そばみち・そわみち」(けわしい山道=岨路)「岨清水そばしみず」(山の切り立った所から流れる清水)
租 ソ 禾部
解字 「禾(穀物)+且(つみ重なる)」 の会意形声。穀物をつみ重ねること。みつぎものとして納める意と、穀物をつみ重ねて(お金を払って)借用する意とある。
意味 (1)みつぎ。年貢。税。「租税ソゼイ」「地租チソ」 (2)金銭を払って借りる。賃借り。「租界ソカイ」(借り上げた他国の領土の一部)「租借ソシャク」(他国の領土の一部を借りること)
疽 ソ・かさ 疒部
解字 「疒(やまい)+且(つみかさなる)」の会意形声。皮膚につみかさなるようにふくらむ悪性のできものをいう。
意味 かさ(疽)。悪性のできもの。「炭疽症タンソショウ」(炭のように黒いかさぶたができる感染症)「炭疽菌タンソキン」(炭疽症の原因となる細菌。生物兵器として研究された)「壊疽エソ」(体の組織が局所的に死に<壊死エシ>色が変わってできもののようなること>
助 ジョ・ソ・たすける・たすかる・すけ 力部
解字 「力(ちから)+且(かさねる)」の会意形声。力をかさねて相手を助けること。
意味 (1)たすける(助ける)。救う。「助言ジョゲン」「助命ジョメイ」 (2)助ける働きを表わす。「助詞ジョシ」「助役ジョヤク」 (3)すけ(助)。昔の官位のひとつ。 (4)共同耕作する。「助法ジョホウ」(共同耕作地を設け、その収穫を租税に当てる殷・周の租税法)
鋤 ジョ・ショ・すき 金部
解字 「金(金属)+助(たすける)」の会意形声。耕作など田畑の仕事を助ける金属の道具。日本では足で踏みこむ農具のスキを指すが、現在の中国では日本のクワ(鍬)にあたる手前に引き寄せて土を起したり除草する農具を指している。
日本の各種の鋤(©西川勝也氏)
https://kotobank.jp/word/%E9%8B%A4-83493
意味 (1)すき(鋤)。幅のある刃にまっすぐな柄をつけた農具。足で押しこみ手の力で土を反転させて耕す。「耕鋤コウジョ」(たがやす) (2)除草する。「鋤除ジョジョ」(雑草をすき除く) (3)のぞく。根絶やしにする。「誅鋤チュウジョ」(ほろぼす)
蛆 ショ・うじ 虫部
解字 「虫(むし)+且(つみかさなる)」の会意形声。積み重なるように繁殖する虫。
意味 うじ(蛆)。ハエなどの幼虫。「蛆虫うじむし」(①うじむし。②つまらない人間)
組 ソ・くむ・くみ 糸部
解字 「糸(ひも)+且(上へ上へと重ねる)」の会意形声。太い糸をつぎつぎと重ねて編む組ひも。
意味 (1)くみひも。「組紐くみひも」 (3)くむ(組む)。くみたてる。くみあわせる。「組織ソシキ」「組閣ソカク」「組成ソセイ」 (3)くみ(組)。同じ部類に入るなかま。「組頭くみがしら」
畳[疊] ジョウ・たたむ・たたみ 田部
解字 旧字は疊で、「畾ライ(かさなる)+冖(かぶせる)+且(かさなる)」の会意。上(畾)と下(且)にかさなる形、真ん中にかぶせる形(冖)がつき、幾重にもかさなる意。また、転じて、折り重ねる・たたむ意となる。日本ではワラをかさね合わせた敷物のタタミの意ともなる。現代字は畾⇒田になった。
意味 (1)重ねる。重なる。「畳語ジョウゴ」(同じ単語を重ねて作った語。例:人々・くろぐろ・ひらひら)「重畳チョウジョウ」(幾重にも重なる。重も畳もかさなる意) (2)たたむ(畳む)。「畳紙たとうがみ」(横に二つ、縦に四つ折りにした紙。たたみがみの音便) (3)[国]たたみ(畳)。わら製の厚い敷物。「八畳間はちじょうま」「畳表たたみおもて」(畳の表につかうイグサのむしろ)
時間や回数を重ねる
狙 ソ・ねらう 犭部
解字 「犭(けもの)+且(時間を重ねる)」の会意形声。獣が獲物を求めじっと待つさまで、ねらう意。また、[説文解字]は「玃(さる)の属ゾク」とし「さる」の意味がある。
意味 (1)ねらう(狙う)。うかがう。「狙撃ソゲキ」「狙伺ソシ」(ひろかにうかがう。狙も伺も、うかがう意) (1)さる(狙)。てながざる。「狙公ソコウ」(さるを飼う者。猿回し)「狙侯ソコウ」(さるの別称)
姐 ソ・シャ・あね・あねご 女部
解字 「女(おんな)+且(年をつみかさねる)」の会意形声。歳をつみかさねた女。
意味 (1)あね(姐)。女きょうだいの年上の者。 (2)あねご(姐)。「姐御あねご」(①姉を親しんで呼ぶ称。②女親分。)
咀 ソ・かむ 口部
解字 「口(くち)+且(回数をかさねる)」の会意形声。口のなかで歯を何度も合わせる。
意味 かむ(咀む)。かみくだく。「咀嚼ソシャク」(咀も嚼も、かむ意)
齟 ソ・かむ 歯部
解字 「旧字の歯(は)+且(回数をかさねる)」の会意形声。歯を何度もかみあわせること。また、上下の歯がうまくかみあわないことをいう。
意味 (1)かむ(齟む)。かみくだく。 (2)くいちがう。「齟齬ソゴ」(物事がくいちがうこと)
形声字
粗 ソ・あらい 米部
解字 「米(こめ)+且(ソ)」の形声。ソは疎ソ(まばら)に通じ、まばらに稔った質の悪い米の意。そこから、すべて粗悪な(粗末で質の悪い)ものをいう。
意味 (1)あらい(粗い)。おおざっぱな。そまつな。「粗雑ソザツ」「粗暴ソボウ」「粗品ソシナ」「粗食ソショク」「粗相ソソウ」(①そそっかしい。②しそこない)(2)あら(粗)。欠点。「粗さがし」(3)あらまし。ほぼ(粗)。「粗方あらかた」
その他
査[查] サ・しらべる 木部
解字 篆文に見えず、新しい字である。当初、查と書かれ木のサンザシ(山査子)を表した。のち査に変化したが、調べる意に当てられるようになり、この意が主流となった。なお、繁体字・簡体字とも查で表示される。のち、
意味 (1)しらべる(査べる)。考える。明らかにする。「査察ササツ」「調査チョウサ」「査証サショウ」(調査し証明する。また、パスポートの裏書き。ビザ) (2)木の名。「山査子サンザシ」に使われる。バラ科の落葉低木。庭木。春に白い花をつけ秋に黄色の果実をむすぶ。
覚え方 「木(木簡)+且(つみかさねる)」で、木簡を積み重ねて、ひとつひとつ書かれている内容を検査する。
渣 サ・おり・かす 氵部
解字 「氵(みず)+査(サ)」の形声。液体(みず)の底に沈んだ残りかす(不要物)を渣サという。
意味 おり(渣)。かす(渣)。沈殿物。「渣滓サシ」(液体の底に沈んだかす。渣も滓も、かすの意)「残渣ザンサ」(残りかす。濾過などした際に残った不溶物)「沈渣チンサ」(沈んだかす)
<紫色は常用漢字>
<関連音符>
宜 ギ・よろしい・むべ 宀部
解字 「宀(建物)+且(肉をつみかさねる)」の会意。建物で肉を盛る祭礼を行なう形。
意味 よろしい(宜しい)。むべ(宜)。詳しくは、音符「宜ギ」を参照。
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。