漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「農ノウ」<田を石製農具でたがやす> と「濃ノウ」

2017年07月20日 | 漢字の音符
 ノウ  辰部

解字 甲骨文第一字は「草が2本生える形+辰(石製の農具)」で、草を石製農具で刈るかたち。第二字は「林+辰(石製の農具)」で、木々を石製農具で刈るかたち。甲骨文では地名や祭祀名の意で、たがやす意味はないという[甲骨文字辞典]。金文から「田(耕作地)+草二つ+辰(石製の農具)」で、耕作地の草を石製農具で刈りつつ、たがやす形となった。篆文で上部が、「草二つ⇒𦥑、田⇒囟」に誤った形になり、現代字では上部⇒曲に変化した農になった。意味は石製農具で耕作地をたがやすこと。 参考音符「辰シン」へ
意味 (1)たがやす。作物を作る。「農業ノウギョウ」「農耕ノウコウ」 (2)たがやす人。「農民ノウミン」「農奴ノウド

イメージ  
 「たがやす」
(農・儂・濃・膿)
音の変化  ノウ:儂・農・濃・膿

たがやす
 ノウ・ドウ・わし  イ部
解字 「イ(人)+農(たがやす)」の会意形声。たがやす人で農民の意だが、中国・中世の俗語で自分を指す言葉として使われた。また、相手をよぶ意でも使われた。
意味 (1)われ。あなた。 (2)[国]わし(儂)。おれ。自称のことば。年配の男性が使う。
 ノウ・こい  氵部
解字 「 氵(水)+農(たがやす)」の会意形声。水分を含んだ土をたがやして、ねっとりとさせること。転じて、ねっとりと濃い意となる。
意味 (1)こい(濃い)。色や味が濃い。「濃厚ノウコウ」「濃縮ノウシュク」 (2)こまやか。「濃密ノウミツ」(濃くてこまやか)
 ノウ・うみ・うむ  月部にく
解字 「月(からだ)+農(=濃。ねっとりした)」の会意形声。はれものや傷などにより、皮膚にできるねっとりしたうみ(膿)。
意味 うみ(膿)。はれもの。うむ(膿む)。ただれる。「化膿カノウ」「膿瘍ノウヨウ」(膿がたまる病気)「膿汁ノウジュウ」(化膿した傷口などから出る液)
<紫色は常用漢字>

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