イリスの色いろのお話

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おひとり様のオペラ「愛怨」

2006-02-18 23:45:06 | 観劇・アート
新国立劇場で開幕中のオペラ「愛怨」を観ました。

瀬戸内寂聴さんがオペラ台本を初めて書き下ろし、
作曲の三木稔氏は闘病しながらの、
さながら命がけの作品ということでも取り上げられていました。
その記事を見て、早速チケットを手配した次第です。

遣唐使と双子の生き別れの姉妹の生涯をからめた愛の物語ですが、
情が熱いというか、なんというか・・・。

「え?!(そんなに簡単に)死んじゃうの?」
と、びっくりしてしまいました。

今時の感覚では理解できない、
愛を全うする女の情と自己犠牲。
でも、赤ちゃんがいるのに、(夫が死んだと聞かされて)
湖に身を投げちゃうのはいかがなものか・・・
と、とまどいました。

クライマックスは、
琵琶の音色にのせて、この世で愛する人と出会えた喜びと、
そして、死んでもあの世では幸せな思い出で満たされる、
と歌い上げられます。

ときには、皇帝と皇后の痴話げんかもあり、
男と女の関係は身分に関係ないものだ、と思わせます。

このシーン、皇后が入浴しながら会話したりして、
おもしろい。茶目っ気があるのは、寂聴さんらしい気がしました。

さて、演目が終わり、
ロピーでコートを受け取って、帰ろうとした時のこと。

白髪の老夫婦のご主人様が、
奥様のコートを後ろから羽織らせてあげていらっしゃるのを見かけました。
会場には、私のように、「おひとり様」の女性は多かったし、
女性同士のグループも結構いらしていました。

でも、その老夫婦の様子を見て、
私もそんなパートナーがいたらよかった、と思いました。

エスコートとまではいかなくとも、
さりげなくコートを羽織らせてくれる男性の存在があると、
オペラ鑑賞として完成度が高いのは言うまでもありません。

以前、パリ帰りの友達から聞かされたたのですが、
彼女が素敵なマダムと食事した時、
そのマダムがコートを羽織ろうとしたら、
すっと、見知らぬ紳士が近づいて、
「私にさせてください」と、コートを着るのに手をかしたという話でした。

ま、もしかしたら、老夫婦の場合は、
おばあちゃんが肩があがらないから、見かねておじいちゃんが手伝っただけかも~と、
あとで想像してみたものの、
それでも二人でオペラに来るような、仲良しさんは、いいな~と、
「愛怨」からはほど遠い、和みで帰りました。


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