「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

ソラチコザクラ咲くピセナイ山 新緑に名残り雪

2008-05-10 22:35:15 | 日高の山々
日高のピセナイ山へ。静内キャンプ場から、まずは5キロの林道歩き。左手に雪解け水を集めたピセナイ沢、右手に崖が続く。その岩間の一面に赤紫の花々。ソラチコザクラだ。小さな花が谷間の岸壁に寄り添って、静かに空を見上げていた。

(写真:ソラチコザクラ)

山は春もみじから新緑へ。稜線の高みは、昨夜の真新しい雪を冠って白く輝いていた。新緑と季節はずれの名残り雪。山歩きで出会う予期せぬ自然の妙に心が躍る。

(写真:新緑の山に名残り雪)

林道では、時々、獣の臭い。よく見るとエゾシカの獣道があちこちに。念のためクマ避けの笛を鳴らしながら進む。

(写真:エゾシカ・・・お尻の白が目立った)

1時間半ほどで、林道から離れて登山路に。急登の斜面は淡い雪に覆われ、オオサクラソウも白い帽子を被っていた。木の枝から次々と落ちる雪で僕の帽子も濡れる。

(写真:雪を被ったオオサクラソウ

岩にはヒダカイワザクラの姿も。ソラチコザクラの葉は「へら」状で、ヒダカは「もみじ」風かな? 被った雪が解けた水滴が涙のよう。


(写真:ヒダカイワザクラかな?)

素敵な光景に見とれながら行くと、登山路にクマの糞。大きい、新しい。萌黄色なので、
新鮮な葉をいっぱい食べているのだろう。確かに周りはギョウジャニンニクが多い。
雪に足跡がないので、新しいといっても、半日以上はたっている。それでも、今度は本気で笛を鳴らしながら、スタスタと進む。1人先行者がいるので、距離を縮めたかった。


6合目から周りの展望が効くようになる。残念な事に、天気は下り坂で、雲がずいぶんと増えた。昨夜は冷たい風も強かったのだろう。木々は凍てつき、平地とは別世界の神秘に包まれていた。
8合目を過ぎたところで、先行者が下りて来た。天候が悪く、展望がないとのこと。
ピセナイ山(1027m)の頂きからは、日高山脈の大展望が得られるはずだった。残り15分くらいで頂上だが、クマの気配も気になり、ここで先行者の下山に合わせることにした。頂上からの大展望は僕の未来への贈り物、楽しみが増えた。

(写真:樹氷の山々)

7時50分:静内キャンプ場ゲートから入山
8時20分:ピセナイ林道ゲート(登山口まで4キロの表示)
9時20分:登山口
10時20分:六合目(静内と三石の境界)
10時40分:先行者と出合い、Uターン
12時35分:静内キャンプ場に戻る



キャンプ場に戻ってきたら、オオルリの雌雄が数羽、移動していた。これから繁殖するため、見合い中なのか。旅の終わりに、幸福の青い鳥。