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IDEHA雪崩事故防止講習会

2014年02月03日 20時21分27秒 | バックカントリーツアー


2月1日~2日と湯殿山スキー場サニタリーハウスにてIDEHA雪崩事故防止講習会(実習編)が開催されました。

初日の午前中は防災科学技術研究所雪氷防災センターの小杉所長から、基礎知識のおさらいを約30分。



その後スキー場近くの荒らされていない斜面に行き全員で雪の断面を掘り出す。

幅約15m、深さ約1.8m前日の雨で結構雪が重い。



青色のインクをつけて、一つ一つの層を分かりやすく説明して頂く。

ただ今回の雪の層で雪温を測ったのだが、雪面から地表に近づくにつれ雪温は緩やかに上がっていくのだが、今回測ったところ上部10Cmから下は全部同じ雪温だった。

小杉先生もこの時期にこんな事は初めてといくらい珍しいことだった。

理由としては前日の雨で、地表まで雨がしみ込んだことが原因らしい。

という事は全層雪崩の危険が高まるという事で、実際にサニタリーハウスから見える山の斜面でも全層雪崩が幾つか確認された。

雪崩を理解するうえで、雪を観察・理解することはとても重要なこと。

小杉先生ありがとうございました。



雪を観察・理解した後は弱層テストへ。

ここからは日本勤労者山岳連盟所属の鈴木氏に講師を務めていただく。

鈴木氏とは10年前に労山の雪崩講習会に参加した際面識があったのだが、その当時あまりの雪崩知識の深さに凄い人だなと印象に残っていた。

昨年石井スポーツのカスタムフェアで偶然お会いして今回の講師依頼という経緯があった。

こんな素晴らしいご縁もあるんですね。

画像は新雪層の安定性を評価するチルトテスト。

来週の月山で試してみます。



ザックを利用した雪洞作り。

圧倒的な時間短縮と強度のある雪洞を場所を選ばずに作ることが出来る。



14名が入れるスペースをわずか30分足らずで完成。

なんかAちゃんかっこよくない!



強度も十分です。(いくら強度があると言ってもこれだけ人が上がると危険です。マネしないでね。)



鈴木氏のビーコンの知識と研究には脱帽させられる。

全ての機種に精通し特徴を把握。

時には分解してその裏付けされたデータを元に説明してくれるので納得の度合いが違う。

ビーコンの中には、稀ではあるが周波数が大きくずれているものがある。

その周波数のずれたビーコンを置くとどういう受信状態になるのかをチェック。



同じビーコンであっても微妙に違う反応を見せるのが面白くもあり勉強になる。



雪面に立った状態でビーコンの表示が深さによってどう変わるか知っておくことも重要。



10メールサークルによる磁力線を理解する講習。



食事以外はほとんど休憩なしで、夕食後もプロジェクターでの講習は続き内容の濃い充実した1日目だった。



そして待ちに待った冷たいビールで乾杯!!!

いや~強烈な男祭りでした。

私も含め数人がやられておりました。

しっかしこの爽快な男達との飲み会は最高ですね!!



2日目の講習も朝6時起床。

食事を済ませ、室内でビーコンの裏ワザ等を伝授して頂いた後、屋外に出て実戦形式での捜索・掘出しの実習。

外は雨が降ってきてより実践的になってきた。



V字ベルトコンベア法で効率的に掘り出す。

しかしやられた体と雨で重くなった雪は、参加者の体力を奪っていく。

それでも2グループで計6回掘り出し、徹底的に体に覚えこませる。



人形を使うことでザックと全く違ったリアルさを体験できる。



性も根も尽きたような足取りでサニタリーハウスに向かうメンバー。

それでいいんです。



逞しい表情に変わった参加者の皆さん。

皆さん2日間の講習大変お疲れ様でした。

この会の目的は、参加された皆さんが山で安全に活動するためが一つ。

二つ目が、参加者の皆さんがIDEHAツアーに参加して頂くことによりツアーの質が上がり私もより安全にツアーを遂行できる事。

2日間の皆さんの講習に取り組む姿勢がとにかく素晴らしかった。

この講習会を開催出来て本当に良かったと心から思っています。

特に縁あって講師でお越し頂いた小杉先生と鈴木氏の講習内容は、教科書をただ読むような内容ではなく、実際に体験し自分で確かめデータに基づいた裏付けでの説明なので、今までの講習を受けて感じていた違和感・疑問というものが全く出てこない。

本当に素晴らしい講習会だったと思います。

参加者の皆さん、小杉先生、鈴木氏本当にありがとうございました。

また来年度湯殿山スキー場でお会いしましょう!








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