AKB48の旅

AKB48の旅

ミエリーノ柏木

2013年11月19日 | AKB
一気に全12話を見たけど、最初に書いとこう、凄く面白いじゃないか。

なんでリアルタイムの時、第1話見たところでやめちゃったんだろうか。当時の記憶はあやふやだけど、やはりどっか、柏木さんに対する苦手意識があったのかも知れない。本作が正にそうなんだけど、柏木さんて、何と言うか、リアル感が強い。生々しさがある。それが私的には、ちょいとばかりきつめに当たる風に感じてしまうんだろうと思う。

「ミエリーノ柏木」という作品は、ぶっちゃけ秋元氏お得意のと言うか、AKB特有という表現をしてしまうけど、見事にメタドラマな構造をしてる。主な登場人物は実名(含芸名)だし、当の本人のキャラを演じてる。舞台設定こそ虚構だけど、その中にリアルな部分が、何のためらいもなく挟み込まれる。

たぶん一回撮りだったんだろうけど、前半の数回にわたって、秋元氏本人が登場して、柏木さんに対して直接指導する。後半では、リリーフランキーさんが代役を引き受けてる。リアルのAKB柏木由紀としてのシーンも、シームレスで挿入される。様々な恋愛模様をぶつけることによって、柏木さんに対する恋愛指南のようでいて(実際にそういう説明がある)、柏木さんの実態に迫る、柏木さんの物語を描き出す、そんな内容になってる。

メタドラマとしては、「マジすか学園」よりも遥かに現実に近い、リアルに寄った位置取りになってる。構成としては「さばドル」に類似してると言えると思うけど、渡辺麻さんが纏う物語との違いからだろう、リアル感、敢えて言うけど「肉感」が身近に迫る感じ。

秋元氏の言う「恋愛における動物性」とは、まあストレートに言うと本能としての性欲のことなんだろうけど、そこが柏木さんの幼いところなんだという、こうして言葉で書いてしまうと気恥ずかしくなるけど、そういう演出は、何と言うか分かり易い。柏木さんの魅力は、リリーさんがいみじくも語ってたけど、女性としての素晴らしい肉体美と、それとはアンバランスな芋っぽさ、田舎っぽさ。そういう存在様式自体を見下すような賢さ。そういう柏木さんの魅力は、しっかり描かれてる。

その一方で、「ミエリーノ」という設定が、何とも興味深い。接触テレパスにして、1人だけ未来の恋愛模様が見えてしまう。これもまた、恋愛から一歩距離を置く、どこか冷めた視線の柏木さんの表現でもあるだろうし、リアリストだけどロマンチストの秋元氏らしい、柏木さんとの微妙な距離感にして愛情表現というか、一種賛辞なんだろう。あるいは、女性の向こう岸の母性を、暗に示唆してるのかも知れない。

意図的なのか無意識なのか、柏木さんの表情の作り方、気持ちうつむき加減になる、微妙に首を傾げて、あごを引いて上目遣いで見つめる、見通そうとする感じが、見ていて飽きないし楽しい。リアルの柏木さんと、AKB柏木由紀としての演技、ミエリーノ柏木としての演技の境界が分からなくなる感じだし、実際にそこには境界なんかないのかも知れない。そんな自然な演技が心地良い。

さすがに「にんにく」とまでは言ってないけど、自ら「鼻いじり」をするのには笑わせてもらったし、アヒル口「批判」も、なかなか秀逸。まあ、厳密には批判ではないけどね。日本語、英語、フランス語がシームレスな演出にも拍手。

あとは、話が進んで行くにつれて、登場人物の関係性が交錯しつつ、一点に収束して行く脚本が見事。よくできたハリウッド映画なんかにこういうタイプのがあるけど、こんなにうまく伏線回収してくれると、爽快感がハンパない。その一方で、冨永愛さんだけが、なぜ二役?なのか、ちゃんとした説明があったのかも知れないけど、私には気づけなかった。

各話の最後に、「このドラマはフィクションであり、登場する人物、団体名は架空です」と表記されるのには、ワロタ。