「ご利用階数をお知らせ下さい」エレベーターボーイが言った。
「本公演」私は行き先を告げた。
「お客様、申し訳ございません。KKP止まりでございます」
「弱ったなあ、どうしても行きたいのに・・」
「申し訳ございません」
「それじゃあ、ボクと処へおいでよ。本公演は無いけれど、過去モノならきちんと揃っているよ」
誘われるままに、背の高い男の後について行った。
「内装工事したばかりで、ちょっとまだ、クロスの接着剤のニオイが気になるけど・・」
「いいや、そんな事ないよ。素敵だ。ちょっしたクロニクル図書館だね」
彼の部屋は、まるで一生変わる事ない地平線の様な、K氏の完璧なシャツインウエストラインのようであった。
シンプルで、無駄が無く、属・目・科ごと、到着順に並んでいて、それ以外の事は、極力排除されている。
「この部屋にいると自分も、デューイ10進分類法に組み込まれたみたいな錯覚に陥るね」
「気に入ってもらえたかなあ?」
「素晴らしい!」
「それは、何より」
「物事はねえ、計算・設計・予測・発想を縦糸で、連結・統計・記憶・整理を横糸で組み合わせて行うものだよ」
「その中に、感情による迷いや不安は無いの?」
「今のボクには感情表現は不要だ・・としておこう。だけど、これだけは言える。一年先五年先、十年先の計画は充分検討し組み込む事が可能だ。しかし、感情は・・?喜怒哀楽の未来の事など、このボクでも到底予測は不可能だよ」
「このボクにでも・・かぁ」
私は、飼い猫の耳の後ろを丁寧になでる様に、彼の言葉を重複した。
「ねえ、あの扉の向こうは、何? ゴメン、とても気になって・・」
「ああ・・あの部屋か。まだ一年がかりの特注のモノが届いていないんだよ」
「一年?それは、凄い!!」
「8月には、入荷予定なんだ。是非、又、見にきてよ」
「是非、寄らせてもらうよ。但しこのビルに又、忍び込めたらね」
「セキュリティーが事のほか、厳しいからね。まあ、頑張って」
そう言いながら、彼は軽く手を上げた。
私は、運よく、また、このビルに侵入することが出来るだろうか・・?
一抹の不安を胸に、明日、第一関門スタートの合図が鳴る。
「本公演」私は行き先を告げた。
「お客様、申し訳ございません。KKP止まりでございます」
「弱ったなあ、どうしても行きたいのに・・」
「申し訳ございません」
「それじゃあ、ボクと処へおいでよ。本公演は無いけれど、過去モノならきちんと揃っているよ」
誘われるままに、背の高い男の後について行った。
「内装工事したばかりで、ちょっとまだ、クロスの接着剤のニオイが気になるけど・・」
「いいや、そんな事ないよ。素敵だ。ちょっしたクロニクル図書館だね」
彼の部屋は、まるで一生変わる事ない地平線の様な、K氏の完璧なシャツインウエストラインのようであった。
シンプルで、無駄が無く、属・目・科ごと、到着順に並んでいて、それ以外の事は、極力排除されている。
「この部屋にいると自分も、デューイ10進分類法に組み込まれたみたいな錯覚に陥るね」
「気に入ってもらえたかなあ?」
「素晴らしい!」
「それは、何より」
「物事はねえ、計算・設計・予測・発想を縦糸で、連結・統計・記憶・整理を横糸で組み合わせて行うものだよ」
「その中に、感情による迷いや不安は無いの?」
「今のボクには感情表現は不要だ・・としておこう。だけど、これだけは言える。一年先五年先、十年先の計画は充分検討し組み込む事が可能だ。しかし、感情は・・?喜怒哀楽の未来の事など、このボクでも到底予測は不可能だよ」
「このボクにでも・・かぁ」
私は、飼い猫の耳の後ろを丁寧になでる様に、彼の言葉を重複した。
「ねえ、あの扉の向こうは、何? ゴメン、とても気になって・・」
「ああ・・あの部屋か。まだ一年がかりの特注のモノが届いていないんだよ」
「一年?それは、凄い!!」
「8月には、入荷予定なんだ。是非、又、見にきてよ」
「是非、寄らせてもらうよ。但しこのビルに又、忍び込めたらね」
「セキュリティーが事のほか、厳しいからね。まあ、頑張って」
そう言いながら、彼は軽く手を上げた。
私は、運よく、また、このビルに侵入することが出来るだろうか・・?
一抹の不安を胸に、明日、第一関門スタートの合図が鳴る。
セキュリティーを突破するには、デューイ10進分類法の暗号を解読して、
井戸の底から進入しないとダメかなぁ。
彼は、私たちに救いの手を差し伸べてくれるだろうか?!
K氏の完璧なシャツインウエストラインのような
地平線の向こうからかっこよく現れて・・
壁と床と天井も人工芝で
屋上にラクダはいませんか?
私なら、帰る振りして・・帰らん!
ラクダの世話をしながら
たまに様子を見に来る
オーナーをひたすら待つか。