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まつかぜ日記

暮らしの中で思うこと

=スウェーデン児童文学フェア=

2007年04月15日 | 
ココを訪ねてくださる方々の中には
絵本の素晴らしさをブログに書かれている方が少なくありません。
そんなご縁で、これまで絵本とはほとんど無縁だった私も、
その魅力をそっと感じられるようになったのだと思います。

今日、図書館で一枚のポスターを見つけました。
『スウェーデン児童文学フェア』
アストリッド・リンドグレーンの生誕100年を記念してスウェーデン大使館にて開催されるそうです。

私、できれば、ちょっと覗いてみたい!のですが・・・
今の所、予定が立ちません。

「最新の展示やリンドグレーンの人生をまとめたドキュメンタリー映画の上映、
リンドグレーン記念文学賞を受賞した荒井良二氏によるワークショップ、
またスウェーデン児童文学作家の日本語の翻訳版を紹介する
といったことが児童文学フェアで計画されています。」
のだそうです!
この他、スウェーデンスタイルのカフェも設営されるとか。。。
なんとも魅力溢れるフェアなのであります。
4月28日から5月13日まで。

これは宣伝でもなんでもなくて、
こういうイベントに興味のある方で、もしまだご存知ない方がいらっしゃるなら
その方への勝手な「お知らせ」なのであります。(苦笑)

ハスカップという名の猫

2007年03月26日 | 
図書館の棚に鮮やかなピンク色の本を見つけました。
「ココにいますよ―♪」と唄いかけてくるような存在感に
すいよせられる様にして、本を手にしました。

『モンテロッソのピンクの壁』
=作:江國香織*荒井良二:絵=

主人公は
うす茶色の猫で、からだの大きさは中ぐらい、性格は楽天的で、
金茶色の目
をしたハスカップという名の猫です。

赤い屋根の洋館に住む年とったご婦人と暮らすハスカップは晴眠雨眠、いつも寝ています。
そして、いつもピンクの壁の夢を見るのでした。
夢の中のピンクの壁のある場所こそ、自分がどうしても行かなくてはいけない場所なのだ…思いに駆られるハスカップは、そこがモンテロッソであると知り、旅に出ます。

頁を繰るたびに現れる風景は、瑞々しく輝いていて
モンテロッソに向かう彼女の
期待に胸躍らせる、その鼓動が伝わってくるようです。

ハスカップは、世間に対する礼儀もわきまえていますし
猫としての誇りも持っています。
そして、かわいい嘘をつくのも上手な猫なのです。

かなり魅力的な猫ですね。

そんな彼女にも密かに抱えている心配ごとが一つありました。
それは・・・
もしもライオンに会ってしまったらどうしよう、ということでした。
ハスカップは昔から、自分はライオンむきだ、と考えていたのです。
ですから、もしも旅のとちゅうでライオンの群れにあったりしたら、
彼らの魅力に抵抗できず、どうしたって仲間になっちゃうにきまっています。
そうなればモンテロッソにはいかれません。
ああ、そうなったらどうしよう。


やるべき事も、大切なものも、ハッキリと解っているのに
それでも今ソレに出会ってしまったなら、どうにも心が揺さぶられてしまう。
その魅力には抵抗できそうも無い、もの。。。

自分をカタチつくっている遺伝子の根っ子の部分に、潜んでいる熱いものを
私たちは携えて生きているのだ、と思う事があります。
それを一つも認めずに暮らし続ける事も出来るのでしょうけれど、
それが何か、をちゃんと知っている者のほうが味わい深い(というのでしょうか)
面白い人生なのではないかと思うのです。

<出会ってしまったら、どうしたってライオンの仲間になちやうに決まっている…>
心配し続けているハスカップは何てチャーミングな女の子なのでしょう!
彼女の魅力にすっかりやられてしまいました。(笑)

そして物語は、夢と現実が一つに重なり合ったような不思議な終わりをむかえます。


*私が出会った『モンテロッソのピンクの壁』は1992年のクリスマスに発行されたものでA4版位の大きさのものです。残念ながら表紙の画像が見つけ出せませんでした。
文庫サイズも出ているようですが、表紙の絵が変わっています。中の絵も描きなおされているのか?今度調べてみようと思います。

スイート

2007年02月14日 | 
昨日の夜、小さな本を読みました。
この所、時々繰り返して手にする本です。

『モザイクの馬』-講談社-

馬に関わる18のお話。
rucaさんが紹介されていたのを読んだあと、すぐに図書館で見つけたのです。

*そして、ずっとお借りしています・・・

実は、夫の誕生日にどうかなぁ-と。
でも、やはりこれは「自己満足」なだけ?と考えているうちに時間が過ぎていってしまい。手配できないまま「その日」は終ってしまいました。(近くの本屋さんでは見つけられなかったのです)


本に納められた小さなお話には、ふわわっと心をくすぐられます。

きょうは St. Valentine's Day  
あ・ま・い お話を一つご紹介します。

スイート

 ぬいぐるみの馬、古くなって、食べこぼし
をつけられたりして、ずいぶんよごれました。
「きたないわねえ」と持ち主は、ある朝、ポ
イと捨てちゃいました。ポリバケツの上で泣
いている馬を、野良猫がみつけました。なめ
てみました。涙でしおからい馬でしたが、な
めているうちに甘くなり、そしてきれいにな
りました。「くすぐったいよ」と、馬が笑い
ました。猫は馬を、ねぐらに連れて帰り、ス
イートと名づけて、仲よく暮らしました。



 ね?(笑)

TRAVEL-旅-

2006年12月19日 | 
気忙しいばかりの毎日が過ぎて行く…この頃です。

このばかりというのがクセモノなのですね。。。気持ちだけ忙しく、ちっとも仕事は片付いていないのです(苦笑)

今一つ晴れ晴れとしない感覚を抱きつつ、ふらりと見つけたのがオアシスのようなこの本でした。

『TRAVEL-旅-』 -ほるぷ出版-
ロバート・ルイス・スティーヴンソン
訳・絵 和田誠
       
紹介文によりますと
ロバート・ルイス・スティーヴンソンさんは19世紀後半に生きたイギリスの作家。
「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」を書かれた方だそうです。
(恥ずかしながら、私は作品名しか知らないのでした。)
この「旅」はその二つの著書の間に出された子供の為の詩集
A Child's Garden of Verses の中の一篇です。

まず、目に飛び込んでくる和田誠さんの絵がとてもいいのです。
色使いも軽やかで、ぱらぱらとページをくり進めて眺めるだけでそこにリズムが生まれるような楽しさです。

そして、散りばめられた言葉にも面白くって、心地よいリズムが弾んでいます。

私が最初に気に入ったのはこんな部分---

Where the knotty crocodile
Lies and blinks in the Nile,
ワニはごつごつこぶの皮
のっそりしているナイル河


部屋の中で一人窓の月を見つめながら
いつしか心はまだ見ぬ国へ飛び立っていく。
エキゾッチックな太陽、乾いた空気。
リズムに乗って風と共に、国を巡り、そして新たな冒険の旅へ。

表紙の向うに、まぶしいオアシスが広がっているような
私にとってはそんな出会いの一冊でした。

*写真は『TRAVEL-旅-』を胸に、師走の町を歩いていたら出会ってしまった木彫りのラクダ。自分でも気付かぬうちに、心はラクダのキャラバンの中に飛んでいたのかも知れません(笑)

『そんなとき なんていう?』

2006年08月24日 | 
『そんなとき なんていう?』
=WHAT DO YOU SAY,DEAR?=
  岩波の子どもの本
 S.ジョスリン文 M.センダック絵
 たにかわ しゅんたろう訳

出会いは突然やってくるもの。。。ホントですね

なぜこの絵本を手にとっていたのか?
前後の状況は全く覚えていないのですが
ある日図書館の隅で、小さな表紙を開いていたのです。
ちょっと小さくて、なんとなくレトロな感じの絵と
これまた時代を感じさせるような黄色の背表紙と黒い文字の組み合わせ、
今思うとその全てが私の「子どもの時代の本」そのもの、という感じで
懐かしい気持ちに引き寄せられたのかも知れません。

はじまりのページに
『わかき しんし しゅくじょの ための れいぎさほうの ほん』とあり
この本は、毎日の生活の中で使われるごく基本的な挨拶を
小さな子どもに教える為の本のようです。
でも、その挨拶の場面はなかなかに日常とは言えない
ドラマチックな状況ばかりなのです!(笑)

ページを繰ると

まちの まんなかで ひとりの しんしが、
みんなに あかちゃんぞうを あげている。
いつも ほしいと おもっていたから、
きみも いっとう うちへ もってかえりたい。 …


とありました。そして背景には、この紳士からぞうを受け取ったと思われる子どもたちが嬉しそうに、でもどこか平然と帰っていく姿が見えます。
ここで、いきなり私はこの小さな本にノックアウト!です。
なぜなら私も子どもの頃、ぞうが大好きで、ぞうが家にいたらどんなに楽しいだろうなぁと考えていた一人なのですから。。。
頭の中は急にチカチカ・ドキドキ・グルグルしてきます。

そこへこんなとき なんていう?と聞かれても。。。

すぐには、いい言葉がでてきません。
なんて言えば、この紳士は私にもぞうを渡してくれるのだろうか?
そんなことばかり考えていましたら、答えはもっとシンプルで礼儀正しいものでした。

はじめまして。 です。
しかもちゃんと帽子を脱いで。
そ、そうですよね?まずは挨拶をしなくては失礼です。

この最初のお話で、すっかり心を奪われた訳ですが
正直に言うと、この後の「そんなとき なんていう?」の質問に私は一つとして正解を出せませんでした(汗)
ホントにこの本と出会って良かった、かも。。。

1958年に世に出たこの本。
後から気が付いたのですが、この魅力的な絵を描いたのはモーリス・センダックさんでした。
センダックさんの作品、私はかいじゅうたちのいるところくらいしか分らないのですが、
並べて見ても、二つの本は全く違う雰囲気でした。
でも、居合わせた友人とよ~くよく見てみると、どちらの本にも描かれている男の子の眼だけは同じなのを発見しました。
面白いですね。