三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「ちょっと今から仕事やめてくる」

2017年05月28日 | 映画・舞台・コンサート

 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」を観た。
 http://www.choi-yame.jp/

 工藤阿須加は去年の北川景子主演のテレビドラマで初めて見た俳優で、真面目でお人好しな青年を好演していた。この作品でも同じような青年サラリーマンを演じていたが、テレビドラマよりも深刻な職場で、その分だけ内心の葛藤や心の闇のようなものを演技で表現していた。去年より一皮剥けた印象だ。
 福士蒼汰は、キムタク主演の「無限の住人」での演技があまりにも冴えなかった反動なのか、この作品では見違えるように生き生きと演じているように見えた。この人の魅力はやはり弾けるような笑顔で、破顔という言葉がこの人ほど似合う男性俳優はいないだろう。
 黒木華は相変らず演技が上手だ。職場の力関係を意識しつつ、正気を保つために綱渡りのような生活を送るOLの複雑な内面が伝わってくる。
 小池栄子も役柄をそつなくこなしていた。この人は美人で頭もよく、演技も上手い。女の愁いや秘めた狂気みたいなものが備わってくれば一段上の女優になるだろう。

 吉田綱太郎がエキセントリックな上司を怪演するブラック企業は、現代の日本ではもはや当たり前に遍在する企業の典型だ。人格を平気で否定し、人前で罵詈讒謗を浴びせて心を砕く上司や社長はたくさん存在する。個人的にも何人も知っている。男もいれば女もいる。その連中は例外なく人格破綻者である。本人の人格が破綻していないと、他人に強く当たることはできないからだ。日本は謂わば、人格破綻者たちが上に立つ、人格破綻者のための国家であるとも言える。

 そういった人格破綻者は高圧的に人に命令し、人格を破壊することで上に立つようになる。良心をもった人間は人を傷つけることに躊躇するから、彼らに逆らえない。村八分という言葉に象徴されるように、日本は現代でもムラ社会で、個人の尊厳よりも組織の大義名分が重視される。プライベートの約束を破っても、仕事だからという理由なら許されることが多いのも、そのためだ。憲法は基本的人権の尊重を謳っているが、いまだに基本的人権を尊重しない人間たちばかりがいる国家が日本なのだ。

 ブラックな企業にしがみついていなければ生活できない社会は、勿論まともな社会ではないが、世の中にまともな社会というものがあるのかと世界を見渡したとき、先進国のどこにも希望を見出せないことに愕然とする。
 ホッブズが著書「リヴァイアサン」でいみじくも指摘したように、この世界が万人の万人に対するたたかいであるなら、善人はもはや生きていけない。それではいけないと民主主義がはじまったのではなかったか。善人が悪人に勝つための心の強さを獲得するのは至難の道だ。しかし悪人の社会から逃げるのは、すこしだけ心を解き放てばできる。
 どこまでも善人の二人の青年が、こだわりを捨てて心の自由を獲得することに、爽やかな感動がある。とてもいい作品だと思う。


レース結果~ダービー

2017年05月28日 | 競馬

ダービーの結果
1着レイデオロ     △
2着スワーヴリチャード 〇
3着アドミラブル    △

私の印
◎ダイワキャグニー  14着
〇スワーヴリチャード   2着
▲アルアイン       5着
△アドミラブル      3着
△レイデオロ       1着

 馬券は頭で買ったダイワキャグニースワーヴリチャードが負けたのでハズレ
 レースは1000m63秒台の超スローペース。向こう正面でレイデオロペルシアンナイトが動いて先団に取りついたときは、これはレイデオロは消えたかなと思ったが、3コーナー手前で息が入ったようで、直線ではスワーヴリチャードの追撃を寄せ付けず、ルメールは日本ダービージョッキーとなった。
 皐月賞馬アルアインも5着に来ており、順当な結果であると言えるだろうが、勝ちタイムが青葉賞よりも3秒6も遅いのはいただけない。レースの上がりが33秒8ではダービーらしい直線の攻防が見られなかったのも仕方のないところだ。ハイペースの消耗戦になればジャパンカップまで展望が開けたが、この勝ちタイムではどの馬がジャパンカップで通用するのかは不明だ。

 来週は安田記念。ルメールのイスラボニータが出走する。皐月賞を勝ちダービー2着、セントライト記念1着と3歳児は大活躍だったが4歳時、5歳時は1勝もできなかったが、前走マイラーズカップで久々の勝ち星。本番への最有力馬であることもさておき、ヴィクトリアマイル、オークス、ダービーとG1を3連勝のルメールが4連勝なるかということにも注目だ。


ダービー~ダイワキャグニー

2017年05月28日 | 競馬

◎ダイワキャグニー
〇スワーヴリチャード
▲アルアイン
△アドミラブル
△レイデオロ

 皐月賞組、別路線組にそれぞれ有力な馬がいて、かなり絞りづらいメンバーだ。青葉賞を好時計で勝ったアドミラブルが大外に入ったことと、青葉賞をステップにダービーを勝った馬がいないことで、1番人気でも4.1倍という微妙な倍率になっている。この馬は3月以降3戦しているローテーションもきつそうだ。
 本命は東京コース3戦3勝のダイワキャグニーとした。ローテーションに無理がなく、前走の時計も勝ちっぷりもいい。オープンレースのプリンシパルSから勝ち馬が出ていないのはやや気がかりだが、勝ち時計は2000mになってからのレースレコード。先行できるのも強みだ。
 強敵は東京コースの共同通信杯を楽勝しているスワーヴリチャード。皐月賞は展開的にチグハグなレースで、まったく力を出していないように見えた。それで0秒4差の6着なら、東京コースで逆転は十分。
 連下候補は沢山いるが、筆頭はやはり皐月賞馬のアルアイン。皐月賞はハイペースを好位からの競馬で、9番人気の勝利でもフロックではない。
 そして1番人気のアドミラブルと2番人気のレイデオロ。デムーロとルメールは常にG1で上位人気になり、それなりの結果も出している。
 他にも皐月賞2着のペルシアンナイト、青葉賞2着のベストアプローチ、毎日杯2着のサトノアーサー、弥生賞馬のカデナなどが気になるところだが、皐月賞以外で前走1着でない馬はどこか決め手に欠ける部分があると見た。ペルシアンナイトカデナは前走皐月賞だが、ペルシアンナイトは若干距離に不安があり、カデナはガサがないのと東京コースで勝っていないのがマイナス。

 馬券は◎〇-◎〇▲△△3連単フォーメーション(4、15-4、7、12、15、18)の24点勝負


映画「STOP」

2017年05月27日 | 映画・舞台・コンサート

 映画「STOP」を観た。
 https://www.stop-movie.com/

 世界的に有名な映画監督が韓国からひとりで日本に乗り込んできて、ひとりで映画のプロデュースからリクルートから撮影から演出から編集までをマルチでこなした作品が上映されるとあっては、観ない訳にはいかない。
 作品は粗っぽくというか、豪快に作られている。それはそうだろう、時間も予算も限られた状況での撮影だ。しかし役者の台詞の間違いや言い直しなどものともせず、ひたすらに本質に迫ろうとする姿勢がストレートに伝わってくる。東日本大震災による福島原発の被害は本当はどのようであったのか。だから我々も演技や撮影の粗探しをするよりも、作品のテーマの核心を観るようにした方がよい。

 原発から5キロ以内に住んでいて、当日被曝してしまった若い夫婦。避難の指示を受けて東京に避難するが、ある男の電話と訪問を受ける。政府関係者の男だ。政府関係者はこの男以外登場せず、この男が政府の姿勢を象徴する存在となっている。男は言う。原発は必要だ、胎児は堕胎しろ、黙って俺の言うことを聞け。
 妻はインターネットで見つけたチェルノブイリの奇形児の写真に怯え、堕胎しようとする。夫は自分たちは大丈夫、日本は大丈夫と、正常性バイアスだけを根拠に堕胎に反対する。そして妻を安心させるために福島の立入禁止区域に侵入して写真を撮る。
 およそ8か月間と推定される期間に夫は何度も福島に通う。そして夫が最後に見たものが、おそらくこの映画で一番印象に残る映像だ。映画を見終わっても、その映像が頭にこびりついて離れない。

 終映後に出演者のアイアレンさんが短い挨拶をし、そのあと質疑応答があった。ある年配の男性が、福島での出来事はこれほどまでひどいとは聞いておらず、作品には少なからず違和感があるというようなことを質問した。それに対しアイアレンさんは、キム・ギドク監督は賛否が分かれるであろう作品に葛藤もあったが、原発を扱った他の映画がソフトな表現に終始しているのに対して、自分は福島という実名を出し、ストレートに表現できることはストレートに表現する、それができるのは自分しかいないと思っていると言っていたと回答していた。

 福島を「アンダーコントロール」と言ってのけた暗愚の首相にとっては、いまだに対応に苦しんでいる福島原発の現場など存在しないも同然なのかもしれない。しかし放射能を漏出しつづける福島原発の現場は厳然と存在する。メルトダウンした原子炉には誰も近づけないし、だから本当のところどんな状態なのかは誰も知らない。
 もしどこかの病院で奇形児が生まれていたとしても、原子力ムラに取り込まれたマスコミはそれを報道できないだろう。被曝が遺伝子に与える影響は世代を下ると減るのか増えるのかもわからない。被爆した子供たちの次の世代が、奇形児とまでは言わないまでも、何らかの異常を持って生まれてくる可能性はゼロではない。夫が政府関係者の男に啖呵を切ったように、生れてくる自分たちの子供には自分たちが責任を持つと、果して言えるのか。

 本当は、原子力は人間が制御できるエネルギーでないと、誰もが感じているのではないか。チェルノブイリ事故を受けて、ドイツはすべての原子力発電所を停止することを決めている。イタリアでは福島事故の3か月後に行なわれた原発再開の国民投票で9割が反対して原発建設ができなくなった。

 日本は原発の稼働を再開した。アイアレンさんは最後にこう言っていた。福島からもう6年たったと言う人がいますが、まだ6年しかたっていません、決して過去の出来事ではないのです。


映画「追憶」

2017年05月24日 | 映画・舞台・コンサート

 映画「追憶」を観た。
 http://tsuioku.jp/

 映画のテーマは降旗監督らしく、人と人との結びつきだ。どんなことがあっても家族は家族、友達は友達だ。信頼し、許し、助ける。それが人の美しさじゃないかと語りかけられているようだ。不寛容で身勝手な人間にはなりたくないという矜持と、家族や友達を傷つけたり蔑ろにする人間を断じて許さない厳しさが窺われる。ただ、見たこともあったこともない人々に対しては、何の思いもなく、想像力もはたらかない。そういう人物ばかりの映画である。

 「ブッダの言葉 スッタニパータ」という本に、「名前を付けるから愛著が生じる。愛著とは即ち煩悩である」と書かれてある。
 イヌは名前を付けなければただのイヌだが、ポチと名前を付けた瞬間に、イヌではなくポチになる。ポチはたしかにイヌではあるが、家族でもある。大切な存在であり、どこまでもポチを愛し、信頼し、許し、助ける。ポチは生活に潤いを、人生に喜びを与えてくれるのだ。
 ブッダはそういう生き方を否定はしない。ただ、逆の人生も否定しない。悪魔がブッダに「ゴータマは子供がいないから子供のいる喜びがわからないだろう」と語りかけると、ブッダは「子供のいる人には子供のいる喜びがあり、子供のいない人には子供のいる憂いがない」と答える。その上で、涅槃に到るためにはあらゆる愛著を捨て去らねばならないと説く。

 本作品の登場人物たちは悟りを開いてニルヴァーナに到ろうとしている訳ではない。心に傷を抱えながらも、家族のため、友達のため、そして自分のために懸命に生きているだけである。そして映画はそういう生き方を力強く肯定する。
 が、この映画はそこまでの作品である。巷間の人々は誰だって懸命に生きている。映画にするには、それ以上のプラスアルファが必要だ。それは世界観であり、哲学である。

 降旗監督は高倉健主演の「あなたへ」では、妻を亡くした老齢の男が散骨の旅に出る中で、世間や自分の未来とどう折り合いをつけていくかを模索する、悲しみと切なさに満ちた心模様を素直に描いて観客を感情移入させていたが、この作品では、登場人物の誰にも感情移入させる魅力がない。それは「あなたへ」に見られた哲学と世界観がこの作品にはどこにも存在せず、登場人物の誰もが周囲の限られた人々への愛著と自分への同情だけで生きているからだ。悪い言い方をすれば、自分勝手な人間ばかりだ。感情移入は不可能である。もしかしたら「あなたへ」で主人公に感情移入できたのは、ほぼ高倉健の演技によるものであったのかもしれない。

 岡田准一の演じた刑事は真面目で一途だが、人間性の深みがない。他人に暴力を振るうのは底の浅い人間だけである。長澤まさみもいい演技をしていたのに、役柄が女としての優しさや覚悟に欠けているから、存在が軽くなってしまった。小栗旬の役も、もう少し心の葛藤があれば達者な演技が生きただろう。
 安藤サクラはとてもよかった。女のやさしさを柔らかく表現することのできる顔と体つきは天性のものだ。男なら誰でもこの人が演じた仁科凉子のあたたかな包容力に身を委ねたくなる。
 役者陣もいい、ストーリーやプロットもいい、結末もよくできている。しかしそれが逆に災いしたか、またはストーリーに頼り過ぎたのか、世界観も哲学も欠如しているうえに、登場人物それぞれの掘り下げが浅すぎて心に残らない出来上がりになってしまった。惜しい作品である。


レース結果~オークス

2017年05月21日 | 競馬

オークスの結果
1着ソウルスターリング ◎
2着モズカッチャン   無印
3着アドマイヤミヤビ  △

私の印
◎ソウルスターリング 1着
〇リスグラシュー   5着
▲フローレスマジック 6着
△アドマイヤミヤビ  3着
△ブラックスビーチ  9着
△カリビアンゴールド 11着

 馬券は2着のモズカッチャンが無印でハズレ
 レースは平均ペースを大名マークのソウルスターリングが直線坂を上がってから余裕の追い出し。2着に1馬身半をつける完勝だった。最近のG1レースの中ではキタサンブラックと同じくらい安定感のある1番人気のレースだったと言えるだろう。
 ハービンジャー産駒のモズカッチャンが2着で、この血統に対する信頼のなさが裏目に出た形だ。皐月賞でペルシアンナイトが2着した時点で、この種牡馬に対する考えを改めるべきではあった。
 強敵だと思っていたリスグラシューは5着、アドマイヤミヤビは3着だった。順当な結果と言えるだろう。今年はレベルが高いのではないかと思っていたスイートピーSの2頭は残念ながら9着と11着だった。このステップはかなり前からオークストライアルの位置づけなのだが、これほど本番に結びつかないようなら、距離や開催週を見直した方がいいのかもしれない。
 矢車賞を挟んだので印象が薄いが、桜花賞6着のディアドラが4着で、やはり桜花賞のレースレベルの高さを示した結果となった。

 さて来週はいよいよダービーだ。こちらは桜花賞馬と違って皐月賞を勝ったアルアインは新馬から特別を連勝、道悪のシンザン記念は6着に負けたものの、前哨戦の毎日杯を好時計勝ちしてからの皐月賞参戦で、9番人気は人気の盲点というしかない。順調ならこの馬がダービーも制するだろう。
 相手は久々の皐月賞を5着したレイデオロ。その前は新馬戦、特別戦、重賞を3連勝。休み明けでなければ皐月賞馬となっていても不思議ではない。ルメールがオークスに続いてダービーを連勝するかもしれない。
 そのほかの馬では、皐月賞2着のペルシアンナイトと青葉賞を勝ったアドミラブル、スプリングS馬のウインブライト、弥生賞馬のカデナあたりまで。


オークス~ソウルスターリング

2017年05月20日 | 競馬

◎ソウルスターリング
〇リスグラシュー
▲フローレスマジック
△アドマイヤミヤビ
△ブラックスビーチ
△カリビアンゴールド

 レース映像を何度見ても、トライアルレースより桜花賞の方が一枚も二枚もレベルが上だ。従って戦績だけから言えば、桜花賞馬のレーヌミノルが最上位の評価となる。しかし桜花賞から800mも距離が延びるのに加えて、今年の桜花賞と明日の東京コースでは馬場がかなり違う。スピードと瞬発力の絶対値がものをいうレースになりそうだ。
 ということで、血統と戦績から距離に不安があり過ぎる桜花賞馬のレーヌミノルは潔く消し。
 本命はフランケル産駒のソウルスターリング。良馬場のスピード争いではこの馬が一番だろう。
 強敵は桜花賞2着のリスグラシューで、ハーツクライ産駒ということから血統的に距離適性はこちらが上だ。長い距離で手腕を発揮する名人が鞍上というのも心強いところである。
 3番手は迷ったが、瞬発力に定評があってオークスでも好成績を残しているディープインパクト産駒を上位にとり、好タイム決着のフローラステークスを1番人気で負けたフローレスマジックとした。2走前のクイーンカップはレベルの高いレースで、4着のレーヌミノルが桜花賞を、2着のアロエリットがNHKマイルカップを制した。
 そのクイーンカップを勝ったアドマイヤミヤビだが、桜花賞の12着惨敗がどうにも引っかかるので、抑えまでとした。
 その他では、フローラステークスと同様の好タイム決着だったスイートピーステークスの1、2着馬のブラックスビーチカリビアンゴールド。スイートピーステークス出走馬がオークスで馬券に絡むことは少ないが、今年のレベルは例年よりも高いと思う。

 馬券は◎ソウルスターリングを頭の3連単(2-3、10、14、16、17)20点勝負


映画「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」

2017年05月20日 | 映画・舞台・コンサート

 映画「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」を観た。
https://twitter.com/yozoramovie?lang=ja

 小説の手法のひとつに、表現したいものを直接的な言葉で表現するのではなく、それを取り巻く周囲を描くことによって表現したいものを浮かび上がらせる、というのがある。小説の場合は表現手段が言葉だけに限られているから、映像や音、匂いや触感などは読者の想像力に委ねるしかない。逆に言えば、読者それぞれの自由な想像によって作品が様々な方向に広がっていく可能性があると言える。
 映画は総合芸術だから言葉と映像と音で複合的な表現ができる反面、観客の想像力を抑え込むことになる。映画という芸術の数少ない欠点のひとつだ。
 この作品はそんな映画の欠点をカバーするために説明的なシーンをなるたけ排除しているように思える。
 映されるのは登場人物たちの具体的で恣意的な行動ばかりだ。大した脈絡のなさそうなそれらのシーンがやがて朧気に繋がりながら、個々の人々が無意識に共有する鬱屈のような気分を浮かび上がらせる。それを時代と呼ぶのか、諸行無常と捉えるのかは観客の感性に委ねられる。
 主役の二人は、価値観の定まらない流動的で不安定な時代を綱渡りするように生きながら、世界や人類のありようを模索する。
 この難しい役柄を池松壮亮はさりげなく演じきった。なんとなく感じる不安や悪い予感を抱えて生きる若者の役は、もはやこの人の十八番と言っていい。相手役として池松に食らいついていった石橋静河のシリアスな演技もそれなりに評価できる。

 空気の汚れか、都会の明かりのせいか、東京の夜空に星はほとんど見えない。しかし同じ東京の夜空の下に若い孤独な魂たちが、悩みながら、苦しみながら生きていることに不思議な共生感を覚える。それは多分、喜ばしいことなのだ。


レース結果~ヴィクトリアマイル

2017年05月17日 | 競馬

ヴィクトリアマイルの結果
1着アドマイヤリード ▲
2着デンコウアンジュ 無印
3着ジュールポレール ◎

私の印
◎ジュールポレール 3着
〇ミッキークイーン 7着
▲アドマイヤリード 1着
△レッツゴードンキ 11着
△ルージュバック  10着

 馬券は、頭で買ったジュールポレールが3着敗退でハズレ。
 3着までを4歳馬が独占し、強いはずの5歳馬がこぞって圏外に消えてしまったのは意外だった。掲示板を外すことはないだろうと思っていたミッキークイーンの7着をはじめ、クイーンズリング6着、ルージュバック10着、レッツゴードンキ11着という惨憺たる有様だ。それぞれの敗因もよくわからない。
 レースは前半47秒9~後半46秒0という後傾ペース。上がり33秒8のレースで12着までが4馬身差にひしめき合っていたのだから、位置取り次第で着順がどうにでも入れ替わる展開だった。勝ったアドマイヤリードは流石にステイゴールド産駒で、こういう混戦には強い。期待したジュールポレールは幸騎手がうまく乗って直線で抜け出しかけたが、最後の切れ味で劣ってしまった。それなりの持ち味は出した格好だ。

 来週はオークスだ。桜花賞を1番人気で負けたソウルスターリングが中心になるだろう。広い東京に変わって能力を出し切れれば勝つ可能性が高い。やはり東京コースが向いているアドマイヤミヤビ、桜花賞2着のリスグラシューが相手になるだろう。桜花賞馬レーヌミノルは血統的にも戦績的にも距離がもつかどうかの不安がある。だったら東京コースでの前哨戦勝ちのモズカッチャンブラックスビーチ。穴馬はそれぞれの2着馬、カリビアンゴールドヤマカツグレースあたりか。


ヴィクトリアマイル~ジュールポレール

2017年05月13日 | 競馬

◎ジュールポレール
〇ミッキークイーン
▲アドマイヤリード
△レッツゴードンキ
△ルージュバック

 5歳のG1馬が強いのはわかっているが、ジュールポレールの勢いに賭けてみる。3歳の4月という遅いデビューで、いろいろと苦労もあったと想像できる。3戦目で未勝利を勝ち、ローカルを2戦したあと、京都と阪神で条件戦を3連勝。重賞初挑戦の前走は3着に敗退したが、先行したクイーンズリングが15着に大敗する展開で早めに仕掛けて勝ちに行った分足元をすくわれた形で、勝ったミッキークイーンと差はないように見えた。
 相手は前走で負けたミッキークイーンアドマイヤリード。このところ調子が上がってきたレッツゴードンキと府中コース得意のルージュバック

 馬券は◎ジュールポレールを頭の3連単(3-5、7、11、14)12点勝負