三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

野良猫に餌をやるな

2008年09月24日 | 政治・社会・会社

目黒通り沿いの小さな駐車場で、猫が7~8匹集まっているところがあります。駐車場から2軒隣がペット用品店なのですが、おそらくそれとは無関係に別の理由で集まっているようです。
夜になると、餌をやる人がいます。それが特定の人ではなくて、いろいろな人が餌をやっているのを目撃しました。ジャケットにタイトスカートのいかにも仕事帰りのOL風の女性や、近所に住んでいる感じのTシャツと半ズボンのラフなスタイルの男性、またはビニール袋から餌を出して撒いているおばちゃんなど、さすが世田谷区は80万人も住んでいるだけあって、いろんな人がいます。

先日の夜、猫が道路に近いところに前足を内側に折りたたむポーズで坐っていたのを見て、買ったばかりのオリンパス(私はキヤノンやニコンは絶対に買いません)のコンパクトデジタルカメラで撮影していたら、髪の長い髭の男が近づいてきて、
「ブログにアップしますか?」と質問してきました。
「別に。カメラを買ったばかりなのでいい被写体があったら撮っているだけだ」と答えると、
「場所が特定されると猫を殺しに来る人がいるので、ブログにアップするのであれば場所が特定されないようにしてください」と言われました。
・・・そんな人がいる筈がありません。

目黒通り。・・・環状八号線。

猫に餌をやる人は、みんな猫が可愛いか、または可哀想に思っているのでしょうが、野良猫に餌をやるのは賛否両論があります。荒川区は勝手に野良猫などに餌をやった人に罰金を科す条例案を発表しました。
私も猫好きで携帯の待受画面は猫のフラッシュ動画ですし、着信音も猫の鳴き声にしているくらいですが、自分が飼ってもいない猫に餌をやろうとは思いません。猫は自分の縄張りを持っていて、たまに他の猫とニアミスすることはあるものの、基本的には自力で凌いでいくものです。地球に人類が出現したおかげで、猫はだいぶ生き方を変えていかなければならなかったでしょうが、基本は変わりません。行きたいところに行って食べたい物を自力で奪って食べるのが野良猫です。
駐車場で餌をやり続けたら、猫の生活圏や行動範囲も当然変化して、駐車場を中心とした生活になるでしょう。鳴き声や糞などの被害を被るのは近所の住民です。発情期にたまに猫が声を出しているのは仕方がないとして、家の近所で年がら年中鳴かれたら、相当の苦痛に違いありません。

人間が守ってやらなければ猫は生きていけない、増えるのが困るなら不妊手術や去勢術を施せばよいという理屈があります。
一見もっともらしい理屈ですが、人間が守ってやらなければ猫は生きていけないというのは、何を証拠に言っているのか、理解できません。守られていない野良猫でも十分に生きているように見えます。カラスは人間に守られていないし、むしろ嫌われていますが、カラスネットや光り物や案山子や剣山をものともせずにしぶとく生きています。野良猫も同じように人間の生活の隙を突いて生きていきます。サザエさんの隙を突いて魚を奪うのです。見かけが可愛いからといって、人間が守ってやらねばならないとか、野良猫や野良犬を大事にしろとか言うのは人間のエゴでしかありません。
エゴといえば、去勢術も人間のエゴそのもので、たとえば競走馬で気性が荒くいつも暴れるからレースに出せない馬は去勢術を施します。競馬関係者は、あくまで人間の都合、勝手であり、馬にとってはいい迷惑であることもわかっていてやっています。競馬は血統を争うもので、良血馬は気性が荒くても何とかレースに出して能力を試してみたいものです。そういう人間の勝手でやっています。
去勢術については、自分でその猫の面倒をとことん見るつもりで飼っているなら、去勢術をしてもいいと思います。しかし野良猫や野良犬に去勢術を施せばいいというのはいったい何のためでしょう? それ以上増えて地域に迷惑をかけないためという理屈でしたら、それは欺瞞です。野良猫を自分に迷惑がかからない他人の土地で飼って、可愛がるだけかわいがって気が済んだら後の面倒は地域の人に押し付けるというエゴを正当化しているだけです。猫にとっては迷惑千万な話で、去勢術を受けたい猫がどこにいるでしょうか? 人間が増えて困っているからといって、自分の子供に去勢術を施す親がいますか? その子が片端であっても、その子の将来の可能性を摘み取る権利は誰にもありません。猫に去勢術を施せばいいと無責任に言う人は、実際に自分で野良猫を捕まえて去勢術を施してみればいいと思います。猫にとってどれほど重大なことなのか、わかるでしょう。その猫の面倒を一生見る人以外は、去勢術をすべきなどと軽々しく言うべきではないのです。

繰り返しますが私は猫好きですけれども野良猫に餌はやりませんし、撫でたら気持ちがいいだろうなと思っていても決して触りません。自分の家に連れて帰って糞尿の世話や病気になったときや死んだときのことまで面倒を見る覚悟がなければ、野良猫に餌をやったり触ったりするべきではないと思っています。