三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

ブレないこと~参院選を憂う

2010年07月10日 | 政治・社会・会社

飲食店のBGMに関する苦情メールがありました。

前はオリコンチャートみたいな曲がかかっていたのに、その日はバンド系の極端に歌が下手な曲が流れていて、食事が美味しくなかった。

メールの文面だけでは不明な点がいくつかありました。まず、オリコンチャートみたいな曲というのがどんな曲なのかわかりません。そしてバンド系というのがどんな音楽のことを言っているのかも、やはりわかりません。歌が極端に下手な歌手が本当に存在するのか、極端に下手な歌が有線放送で選ばれることがあるのか、極端に下手な歌を聞くと本当に食事が美味しくないのか、これらについては否定的な意味合いでかなり疑問です。
この人はおそらく、自分の感覚だけでしかも不正確な表現で苦情を言ってきて、自分の文章を読み返したり書き直したりすることもなく、相手に伝わらないかもしれないなどとは少しも思わない図々しい人間なのです。

この苦情の場合は実際に店の人に確認したら、開店以来有線放送のチャンネルを変えたことはないし、当日もいつもと同じチャンネルでした。たまたま変な歌が流れていたか、この人の勘違いか、または趣味嗜好の問題でしょうが、不特定多数を相手の有線放送なので極端に下手な歌が流れることは考えにくいでしょう。

しかしそれでも、この人の言うことも一理あると思いました。私も個人的には音楽に関して好き嫌いがありまして、ヘビーメタルやパンクなどのハードロックがあまり好きではありません。うるさいとしか感じられないし、そんなBGMの店には二度と行きません。最初から音楽のうるさい店は仕方ありませんが、静かな音楽が流れていて料理も美味しい店に、ある日突然にロックがガンガンかかっていたら驚きますし、場合によっては不快に感じるかもしれません。その店が気に入っている店ならひとこと言いたくもなるでしょう。音楽の好みは人それぞれであることは誰もがわかっているので実際に苦情を言う人は殆どいないでしょうが、大抵の人は二度とその店に行かないと思います。

飲食店にとってブレないことは非常に大事で、定番メニューがコロコロ変わったり、味付けやポーションなどのレシピがしょっちゅう変わったりすると、客の固定化が進みません。もちろん売れない店は、売れるまで様々な工夫をする必要がありますが、一度売れたら、しばらくは愚直にコンセプトを守り続けなければなりません。変わらないことが信頼に繋がり、評判を呼んで、固定客の獲得に至ります。

民主党は去年の総選挙で沢山の公約をしました。マスコミは殆ど報じませんが、それらの公約は鳩山内閣の間に多くの割合で着手されています。各省庁のホームページを見ていけばわかることです。菅さんになった途端に全部中止になった訳ではありません。マスコミは消費税を選挙の争点にしたいようですが、去年の公約でも、消費税をずっと上げないと言っていた訳ではありません。民主党はそれほどブレてはいないと思います。ブレているのは報道するマスコミのほうで、小泉が国会で、公約を破ることなど大したことではないと開き直ったときは、面白がって映像を何度もながしましたが、発言自体に批判的な報道は何もなかった。仮にも選挙での公約を総理大臣が破っても大したことないと発言したのですから、通常なら進退問題に発展する議論が巻き起こってもおかしくありません。それをマスコミはスルーしてしまいました。あの時マスコミが騒いでいたら、国民も小泉にノーと言ったかもしれません。しかし小泉と官僚にいいように操られたマスコミは、重大発言を重大にしなかった。

ところが今回の菅さんの消費税発言については、無理やりに選挙の争点にしようとしています。小泉の公約破り大したことない発言に比べれば、マスコミがスルーしてもちっともおかしくない発言です。なのにこれにこだわり、何度も何度も取り上げては菅さんを追い詰めようとしています。自由平等の言論関係者なら、少しは政権交代以来の、鳩山内閣や民主党が行なってきた取り組みについて、報じたらどうなんでしょうか。今のままの報道では、参院選で自民党が勝って、せっかくの政権交代が元の木阿弥になるような気がして仕方ありません。日本の有権者はマスコミやその後ろにいる官僚、財界、そして腐った自民党の政治家たちの思惑を見抜けるほど賢くはないのです。