映画「Denial」(邦題「否定と肯定」)を観た。
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当たり前のことのように思っていてもいざそれを証明しろとなると結構大変だ。地球は丸い、プレスリーは随分前に死んでいる、そんなことは証明するまでもなく誰もが知る事実だ。しかしそれを証明しろとなると、途端に難しくなる。ましてや法廷で証明するとなると、どんな展開になるのか見当もつかない。
ホロコーストがテーマの映画は2か月前に「ブルーム・オブ・イエスタデイ」を観たが、登場人物はそれぞれの価値観で過去としっかり向き合っていて、過去の事実をなかったものとする考え方は登場しなかった。しかし考えてみれば恐ろしい。過去の事実をなかったことにすれば戦争犯罪そのものを否定できることになる。
日本でも南京大虐殺や従軍慰安婦をなかったことにしようとする動きがある。極右団体の日本会議や暗愚の宰相アベシンゾウなどが明に暗にそう主張している。
アメリカが、広島や長崎の原爆投下などなかったと主張したらどうなるのか。原爆資料館にあるものはすべて捏造だと主張したら、資料のない我々は説得力のある反論ができないかもしれない。専門家の反論を期待するだけになる。
この作品では、ホロコーストをなかったことにしようとする仰天の説を堂々と大々的に喧伝する歴史学者とそれを否定する歴史学者の争いであるが、学術論争ではなく法廷闘争だから裁判の進め方や陪審員制にするしないなどで、テクニカルな駆け引きがある。観客は主人公と同じ立場で弁護団の戦術を固唾を飲んで見守るだけだ。
それにしても国家主義者たちのごり押しは世界的に猖獗を極めている。白を黒と言い張るのだ。金正恩、アベシンゾウ、トランプなどの頭の悪い指導者がいること自体、信じがたい話である。世襲の金正恩は別として、アベもトランプも選挙で選ばれたナショナリストだ。つまりアメリカ国民と日本国民がそれを望んだのである。アベはモリカケ問題を説明すると言いながら、結局国会でも選挙でも説明せず、総選挙で大勝した後は、すでに説明してきたと開き直った。こんなのが日本の総理大臣なのである。来年もお先真っ暗だ。