ばばちゃんのおっちゃんの日本語の先生への道

日本語の先生になろうと一念発起いたしました。

その152 日本人の知らない日本語3

2018-03-25 10:58:34 | 6.私の感想・考え

日本人の知らない日本語3

 もっと、初歩的なレベルの事例では、大雑把に捉えてみますと、学習者との行き違いは、「覚え違い」、「発音の未熟」、語彙の「引き出しの中身の少なさ」、「中身の取り出しの不適切」等々ではないでしょうか。

 「覚え違い」には、単純な覚え違いと、発音の間違いや発音が不十分なため、間違えて、相手に聞こえてしまう等もあるのではないかと考えます。日本語に於いては、「ん」一文字ですが、韓国に於いて、「n」「ng」「m」の三種類の発音が有り、これを間違えますと、別の意味になります。間違えても、会話の流れに合った言葉ならそのまま会話が継続して、進行していきます。私に取りましては、全く予期せぬ展開になりましたので、何かおかしいなと話を遮り、キーワードをしっかり示し直しますと、私の思い通りの展開になったという経験が有ります。

 また、彼らから、この場合の「ん」は、「n」ですか、「ng」ですか、「m」ですかという質問も飛び出して来ます。日本人にとりましては、どれも皆同じ「ん」に聞こえますので、どれでも良いのですが、彼らにとりましては、区別が出来ますので、どれかに決めないと、恐らく、落ち着かないと考えます。彼らはどうしているのか日本語ペラペラの韓国人に聞きましたが、納得いくような答えを得ることが出来ませんでした。どう教えればよいのでしょう。何か答えが欲しいですね。

 日本語ペラペラのノンネイティブの方に同じ言葉を何度も聞き直すことが有ります。どうも引き出しの整理の仕方が異なるようです。脳科学者の話によりますと、そもそも日本人の頭の中では、いちいち言葉の一語ずつ確認していないそうですし、また、数ある同音異義につきましては、話の流れからイメージし、その中から素早く適切なものを選び出すテクニックに長けているそうです。すなわち、音の少ない日本語の会話では、脳には、そういった能力が要求されるのです。その能力が備わらないうちは、頓珍漢な会話が発声してしまうようです。このシリーズの笑い話も、そういった例が多いように思います。間違ってはいないのですが、話の流れから、それにミートした言葉がイメージできないので、何回聞いても、分からないという現象が起こってしまいます。発想の違いからくるのでしょうか??

以前、長崎大学の先生の話として、日本で使用している教科書を、そのまま現地に、持って行っても、運用できない場合があるとおっしゃっています。来日した学習者は、何とか会話のシチュエーションが理解できますが、現地の学習者は、生活習慣が異なりますので、その場面をイメージできず、理解が進まないということでした。チューターとしてネパールからの就学生を担当したことが有りますが、地下鉄の切符の券売機の操作が分からないというので教えたことが有りますし、韓国では、同様の券売機でも、日本の機械とは、お金挿入と行先指定の順番が逆でした。

 会話に、助詞を使わずに、単語だけを並べる人間が現れ、ノンネイティブと思いきや、純然たる日本人だったという話が有ります。これは、「て、に、を、は」がなくても、単語さえ正しく、聞き取ってもらえれば、話が通じるということの証明でしょう。学習者は、学習者同士の共通語として、日本語を利用したりしますので、その場合は、日本語学校で習ったそのままでないと通じませんが、一般的に、想定されているのは、彼らとネイティブとの会話でしょう。それなら、特に、初歩の会話では、言葉を正しく聞き取ってさえもらえば、意思の疎通が出来ると考えていいのではないかと考えます。わたしには、最初の内は、この点が、何より大切と思えます。

 そこで、母語の言葉で表された50音表が必要になって来ると考えたわけです。これのメリットは、ご自分で、発音のキャリブレーションが出来るところです。アルファベットでローマ字表示された日本人が使う50音表ではそれが出来ません。我々の勘違いは、アルファベットの発音は、万国共通と考えている点です。実際には、言語によって、アルファベットの発音なかったり、表現が異なったりするからです。例えば、韓国語には「f」の発音が有りません。皆さん「p」の発音で代用します。日本人の唇を噛まない「f」も実際には、欧米人が使う「f」にはなっていないでしょう。そこで、母語の中から近い発音の言葉を選び出して、取敢えずそれを見本にして、目的の言葉の発音に近づけてはどうかと考えます。私の韓国語の勉強時には、「濃音」「激音」「平音」の区別に、そういう方法を取り入れました。

 日本語教育学者の方も、外国語の研究者の力をお借りして、それぞれの言語を使った50音表を作る努力をして欲しいと考えます。一般的なノンネイティブは、それを利用して、ボキャブラリーを増やせば、もっと早く日本語に馴染めると考えます。

 これは、単に私のアイデアだけでなく、私のブログへのアクセス数から見ても、最も必要なものと考えます。すなわち、英語話者及びベトナム語話者用50音表へのアクセスが、毎回、一位、二位になっています。

 「覚え違い」につきましても、しょっちゅう聞いて居れば、間違うこともないでしょうが、大体、学習者は、目で見て、それを自分流に発音する一方通行だけですので、フィードバックの機会がほとんど有りません。これにつきましては、「Quizlet」を、お奨め致します。合成された発音ですが、(多少イントネーションのおかしい所が有りますが、聞き苦しくは有っても聞き間違うことは有りません)十分聞き取ることが出来ますので、利用価値が大きいと考えます。真面目にトレーニングさえすれば、文字と音が結びつき、この手の間違いは、急激に減少するものと考えます。

 発音の善し悪しの検証には、音声入力使用の翻訳ソフト(e.g. VoiceTra)の利用を勧めます。通常の使用法とは逆方向に使い(母語⇒日本語ではなく、日本語⇒母語)学習者が日本語のつもりで発した単語や文章をソフトが日本語として認めてくれたかどうかを確認するのです。機械が認めてくれれば、もうしめたものです。ネイティブはもっと融通が利いて、もっと広範囲にずれていてもに聞き分けてくれるでしょう。

 

 

 

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