カトリヤンマ(Gynacantha japonica)は、北海道南部から九州まで広く分布し、平地や丘陵地の細い流れや池沼、
林縁の水田などに生息するヤンマである。
夏に羽化し、昼間は、薄暗い藪の中で木の枝にぶら下がって休んでいるが夕暮れや早朝に飛びまわり、文字通り蚊や小さな昆虫を捕食する。秋になり成熟すると産卵時期を迎え、メスは午後になると稲刈りが終わった水田の畔などの泥の中に産卵、オスは水田の上でホバリングする今が旬のヤンマである。
カトリヤンマは、かつて普通に見られた種だが、圃場整備による水田の乾燥化や山裾の水田の放棄荒廃により、近年減少傾向が著しい。環境省RDBカテゴリにはないが、20の都県でRDBに掲載しており、関東では東京都と千葉県で絶滅危惧Ⅰ類に、神奈川県では準絶滅危惧種に選定している。
これまで何度か撮影しているが、未だにメスの産卵の様子を綺麗に撮影できていない。そこで、今年も産卵シーンを狙うべく、神奈川県の生息地を訪れた。
13時過ぎに到着すると、すでにオスのカトリヤンマがホバリングを行っていた。14時になると1頭のメスが現れ、稲穂の中に消えて行った。圃場では、まだ1/3ほどの稲が刈られていない。メスは、そこを選んで稲の根本付近の土に産卵するのである。稲をかき分けて入って行くわけにもいかず、結局、今回も残念ながら産卵シーンを撮ることができなかった。
産卵行動は基本的には夕方に多く行われるが、気温とも関係があり、季節が進み、気温が低ければ14時頃から行われると言われている。この場所(水田)は、森の東側に位置しており、14時には、水田のほとんどが日陰になる。16時まで待機したが、その後、オスもメスもやってくることはなかった。この日の気温は、23℃。産卵行動は、産卵場所の日照とも関係があるかも知れない。
カトリヤンマ(オスのホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F9.0 1/400秒 ISO 2500(2015.10.12 13:15)
カトリヤンマ(オスのホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F9.0 1/400秒 ISO 1250(2015.10.12 13:19)
カトリヤンマ(オスのホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F9.0 1/500秒 ISO 800(2015.10.12 13:19)
参照:
カトリヤンマ(未熟)
カトリヤンマ(産卵)
カトリヤンマ
カトリヤンマ(飛翔)
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ブログの再開、おめでとうございます。
また、植物について勉強させていただきます。
私もgooブログに引っ越ししましたが、以前のようなカスタマイズができないので、
記事の分類や古い記事へのアクセス等の点で不便さを感じますが、
容量が大きいので、写真を気にせずアップできますので、昆虫や自然風景だけだはなく、花々なども載せていこうと思っております。
どうぞ、今後ともよろしくお願い致します。