ヘイケボタルの飛翔映像を撮影してきた。
ホタルの写真は、フィルム、デジタル、時間の連続性の有無はあっても、どちらも数分という時間を一枚の静止画にしたものであり、ある意味創作風景作品に近い。写真を見る方々の中には「そんなにホタルがとんでいるんですか!?」と勘違いする方もいらっしゃる。特にデジタルでは、品のない過度な表現が溢れ、これらは見栄えだけを狙ったいわゆるインスタ映え写真で、私のデジタル写真もその傾向はある。その良し悪しは別として、多くは生態学的には意味のない写真である。とは言え、正統派のフィルム写真も、実際とは違う。
「ホタルの舞う姿、光景をできるだけ見た目に近い記録として残し、またご覧いただきたい。」そんな気持ちから、昨今では「ホタルの飛翔映像」の撮影に力を入れている。4Kあるいは8K映像ならば、高精細なのは勿論の事、明暗の幅が格段に広がることで、暗いシーンもより鮮明に描写できるし、動きの速い映像であっても「ぼやけず」「なめらかに」表示することができる。夜間のホタルの飛翔映像には、その威力を発揮するであろうが、今の所、手持ちの機材で撮影するしかない。Canon EOS 5D Mark Ⅱでのフルハイビジョン動画である。
ヘイケボタルの飛翔映像の撮影場所は、昨年「ヘイケボタルの乱舞」として、今年は「ホタルの乱舞~里山で舞う東日本型ゲンジボタル~」として紹介している里山である。前記事では、ゲンジボタルとヘイケボタルが同時に舞う、たいへん貴重な東京都内の谷戸(東京都八王子市川町/大沢川源流部の谷戸)を紹介したが、今回の撮影場所でも両種が生息している。ただし、ヘイケボタルは、ゲンジボタルの発生が終盤になってくると発生が始まり、ヘイケボタルの最盛期にはゲンジボタルは姿を消してしまうため、ヘイケボタルのみの映像である。
当日は、気温22℃。霧雨という天気。19時27分から光り始め、20時半には、木の葉裏に止まって飛翔発光を終了。昨年よりも5日ほど遅い訪問であり、また今年は、梅雨寒が続いているためか、飛翔数は昨年の半分以下であった。それでも、ゲンジボタルとはまったく違う飛翔写真、そして映像を撮ることはできた。
写真と映像で分かるように、ヘイケボタルは、水田に棲むホタルであるが、水田全体を生息域としているのではない。畔近くを生息域にしているのである。幼虫は、畔近くの水田内で生活し、上陸して畔で蛹になる。成虫は、畔の草やコケに産卵する。飛翔範囲も畔を中心としている。ヘイケボタルの保全には、無農薬は勿論大切だが、物理的環境の保全として「畔」付近の環境保持が重要になる。
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ヘイケボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 320 4分相当の多重露光(撮影地:千葉県 2019.7.12)
ヘイケボタルの飛翔映像
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:千葉県 2019.7.12)
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大阪は、クマゼミの大合唱です。
他の種類のセミはほとんど鳴いていません。
大阪はクマゼミだらけ・・・煩そうですね。こちらは、天気がずっと悪く、思うように活動できません。
ヘイケの動画は、これまで撮っていませんでしたので、挑戦してみました。チマチマ忙しない感じが良く映ったのではないかと思います。
そういえば、昨年は、今頃岩手に行きましたね。
土曜日は、意を決して東京のヒメボタルに10年ぶりに会ってきましたよ。
日本の原風景とも言える光景、何とか映像で残せました。
今後も、写真よりも雰囲気が伝わる映像を撮っていきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。