山梨のヒメボタル生息地(一ヵ所)には、2008年からほぼ毎年訪れ、観察と撮影を続けている。当地は標高およそ1,000mで、赤松林とブナ林に挟まれた急斜面の尾根であり、下草は極めて少ない。尾根道は地肌が見えており、豪雨があれば全て流してしまうような環境である。幼虫の生息調査も行ったが、幼虫も餌となる陸生巻貝も発見できなかった。これまで日本各地のヒメボタル生息地を訪れてきたが、このような環境の生息地は他では見たことがない。狭い範囲で様々な環境とヒメボタルの飛翔光景を観察できる貴重な生息地である。
以下には、2009年から今年2024年の間に撮影した写真から9枚を選び、さらに動画1点を掲載した。1枚目は、ネガカラーフィルムでの撮影で、他はデジタルカメラで撮影したものである。成虫は、薄暮型で19時半頃にブナ林から発光を始め、しばらくすると飛翔するようになる。しばらくはブナ林の中を飛び交っているが、森全体が暗くなる20時頃になると尾根を越えて赤松林の急斜面を下るようにもなる。それは「光の川」といっても過言ではない光景である。そして21時には発光を止めてしまう。
掲載した写真は、尾根から前後左右にカメラを向けて撮影している。自分の周囲すべてに発光飛翔しており、ヒメボタルに取り囲まれている状況なのである。写真を見た方々の中には、数が少ないと思われる方もいるかもしれない。勿論、これらの写真も光あふれるものにできるが、ヒメボタルの発光飛翔ルートなどがわかるように、あえて多重のカット数を少なくしている。
年によっては、まったく飛翔がない年もあった。それは、発生しなかったのではなく、当地は毎年の発生時期にかなりの差があり、天候状況と休日が合致せずに発生が終わってしまった後に行ったことによる。ちなみに、今年は発生の終盤で発光飛翔する個体は少なかった。
山梨のヒメボタルは、今後も継続して観察を行い、当地における生態を明らかにするとともに、写真という記録を残していきたいと思う。
以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。また動画は 1920×1080ピクセルのフルハイビジョンで投稿しています。設定をクリックした後、画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

CANON EOS 3 / Canon EF 50mm F1.4 USM / FUJICOLOR NATURA 1600 / バルブ撮影 F1.8 60分露光(撮影地:山梨県 2009.07.18)

Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 400 4分相当の多重露光(撮影地:山梨県 2011.07.16)

Canon EOS 7D / SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM / バルブ撮影 F1.4 ISO 400 5分相当の多重露光(撮影地:山梨県 2011.07.16)

Canon EOS 7D / SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM / バルブ撮影 F1.4 ISO 1600 30秒露光(撮影地:山梨県 2011.07.23)

Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 1600 4分相当の多重露光(撮影地:山梨県 2016.07.16)

Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 1600 15分相当の多重露光(撮影地:山梨県 2017.07.22)

Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 1600 8分相当の多重露光(撮影地:山梨県 2019.07.19)

Canon EOS 7D / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル撮影 F2.8 ISO 1600 約10分相当の多重露光(撮影地:山梨県 2021.7.17)

Canon EOS 7D / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 ISO 1600 5分相当の多重露光(撮影地:山梨県 2024.07.20)
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