幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

書きたくないこと

2014-08-11 04:04:39 | Weblog

誰も読んでないだろうから
書きなたくないことを書くのもいいかもしれない
たとえば・・
”日常”について

ぼくの日常は
たぶんきみのとはちがう
なにがちがうって
きみはありふれてるからね
でもぼくはありふれていない

たとえば
サルバドール・ダリ
ジョン・レノンのように
ぼくはありふれていない

たとえば
地球にはえた
宇宙の塵のように
ぼくはありふれていない

たとえば
たとえようもないくらい
頭脳が明晰で
昨日たべたおかずすら覚えている

昨日食べたのは
そうだな
ナスの豆板醤炒めだ
ぼくがつくった
かなりうまかった

ブタこまを炒めるとき
唐辛子をすでに入れて辛くした
それにおろしたにんにく
そして豆板醤
黒コショウ

でも本当は
忘れていた
ナスを入れるのを
きみを忘れたように

だから最後に入れた
そして酒をたっぷりふりかけて
炒めた

まるで
昨日のネコように
道を通りすがった際
ぼくの目を見た
そのびくつきのように
辛い
ナス炒め

ところでぼくはよく屋上に出る
屋上からの眺めは
遠く山々が霞むから好きだ

その山に行きたいのだが
そこに辿り着けばそこにもまた
人間がいる
ひしめいてさえいる

だから
行かない

きみを捜さないように

ぼくは
金を使わない

そして思い出すように
眠る

昨日

食べた

今日

食べた

今日はそば屋のカレー
カツ丼のカツが乗っかっている

柔らかい肉は
ブタの肉
オスだかメスだかわからない
でもきっと
メスだったのだろうと思う
彼女はぼくに食べられてた
食べられるために生まれてきた
そして
死んだ

明日

食べる

酒も

飲む

いや

飲まない

酒を飲んで思い出すことは

なんだかうらわびれているから

明日

太陽を見る

光を

それが

たのしみ


今日

太陽が躰に入ってきた

そして

啓示を受けた!

受けたのだ!

最高の啓示を!

それは頭から入ってきて

ぼくを満たした

近い将来

ぼくはありふれていなくなる

ありふれていなくなる

とてつもなく

ありふれていなくなる





あと一週間たったら、昨日だったら

2014-08-11 03:54:09 | Weblog

今日ぼくは

時間切れ

薬を飲んで

歌を歌い

こんな歌

月を見ていたい

せめても今日だけは

月を見ていたい

そして、

気がふれてしまったのかもしれない

もしかしたらもう

気がふれているのかもしれない

それでもいいけど

お月様

連れて行ってよ

あの世の世界に

なんて

こんな歌

いいんじゃない?

って

だれもいない

だれもいない

だれもいない


テレビみてたら

いいこと言ってたけど

言ってるだけ

ありきたりの言葉

みんなに通じるから

ありきたりの言葉


土曜日に

ギターヒーローとジャムることになった

たぶん、

今世紀の初頭の10年で

最高の音が出てくると思うけど

それを聴いているのも

ぼくと彼だけ


ごめんね

美っていうものは

決してたどりつけないイデアだと言ったのは

ネオ・プラトニストのプロティノスだったけど

彼は生涯に

幾たびかその美に到達した

もちろん

言葉では表現できないから

つまり

言語とは

一般化することだから

特殊なものは

特殊なまま

一回限り

跡形もなく

時間の彼方に過ぎ去って行く

でも、

それを体験したという言説だけは残る

そして

それを聞き、

それを信じた夢想家が

神秘の扉を開く

真っ暗な深淵がポッカリ開いているカオスを

まるごと体験しようとして

自分を破壊していく

知性を破壊していく

そして

そして

無意味な言語を紡ぐ










しおかぜのにおい

2014-08-11 03:31:47 | Weblog

ずいぶんひさしぶりだね。

ぼくは、息ができない。

だから、もう3日くらい頭に血が上ってる。

それも、いい。

明日が来なければいいのに。

そればかり。

たしかに、死なんて怖くはない。

生のほうがよっぽど大変。

イージーじゃないんだよ。

夢見るようには、簡単には生きられない。

人生は短く、芸術は長い。なんて、

時間のある人の言う言葉。

僕の時間は、金で売ってる。

とっても安い金で。

時給にしたら1000円ってとこか。

随分安い命。

だから、

残りの余生を時給に直して、

だれか、

買ってくれよ。

10時間×1000円=1日 1万円
×300日 300万円
×10年=3000万円

随分高いな。

3000万円で

僕の余生を自由にしてくれよ。

だれか、

慈善事業の人。

そうしたら僕は、

寝ていられる。

ズーと10年間

息を潜めて

朦朧とした夢を見ながら

時々起きては、

少しの食事をし、

風呂には入る

清潔のまま

死体になりたいから

時々は

夢とあの世が交錯する。

また、ごく稀には、

あの世とこの世が交錯する。

倒錯した思考に混じるノイズ

そいつが唯一外部から入る情報だったりする。

だから、コンピュータ・ネットワーク上の

文字の羅列なんて

陳腐だね。

変化しないものは

幻想じゃない。

唯一

僕の脳みそが暴走する

放電のイマジネーションに

放心しているときのみ

僕は僕を忘れられる。

それを君にも味わってもらえたらって

どんなにか思う。

僕のペニスを剥き出しにして

君に清潔な皮膚を

愛撫してもらいたい。

そのとき僕は

目をつぶって

夢を見られる。

あなたの

やさしい欲望を感じながら

死臭の漂う

未知の土地を旅する

見たこともない民族

聞いたこともない言語

そこはロシアかもしれない。

そこで

ぼくは

雪の降る風景に出会う

一度も見たことがないのに

とてもなつかしい風景

そこで、一人の男が

彷徨っているのを見る

彼は、勘違いをしたまま

そこが西洋だと思い込んでいる

ジャーナリスト

しかし、僕は知っている。

世界は

ジャーナリストとは無関係に動いていることを

忘れられた村で

男と女が

愛し合っている。

僕は、見つけられる。

僕はついに

突き止められ

暴かれる

隠れていたベッドから

引き剥がされ

新しい寝室に誘われる

そこは、伝説の香気がする

でも、僕は詩人だ

だから、パフュームを好まない。

窓を開け

風を入れる。

潮風は陳腐だ。

しかし、

それを吸うと

僕は再び窒息する。

べとべとした

塩辛い浜辺に全裸で埋葬されることを好む

だれもいない月夜に

潮が満ちる前に