きみが宇宙人だったなんて知らなかったよ
現実は小説より奇なりだね
きみを独占できないことは知っている
きみはどこにすりぬけてしまうことも知っている
でも一度はきみに会いたい
そして確かめたい
人生は短く 時間は永遠じゃない
だからこの世にいる間に
たった一度でいいから逢ってみたい
そうしたらぼくがこの世のものでないこともわかるだろう
きみにはわかるだろう
だんだん現実が行き詰りつつあると
もう一つ別の現実が霧が晴れるように立ち現れる
そこでは思ったことが思ってももみない展開で実現する
まるで夢を見ているようなストーリー
でもひとつひとつのプロットが複雑に巧妙にからみ合っている
偶然なんてそこには当然ないけれど
なぜ理想を実現できないかもそこでははっきりしている
それは欲望のせいだ
欲望は快楽のみなもとだから
時間が理想を隔てている
そこで感情に自ら打ちのめされる前に
現実は架空の物語のように展開し始める
ぼくはそれを映画を観るように見ている
それなのに見えないきみ
でもシグナルだけは受信しているよ
きみがこの地球の人間でないことは
ぼくにはわかる
きみも知らないかもしれないけど
もしかしたら
これから
わかるかもしれない
そうしたら
いろいろと
試してみてもいいかい?
きみもぼくを使って試してみるといい
ぼくにできることはなんでもするよ
もしかしたら
いろいろなことがわかるかもしれない
ぼく自身のこと
きみ自身のこと
それこそが神秘だから
それがわかれば
ネオ・プラトニズムも
オリゲネスもプロティノスも必要ない
イデアと直接語り合うことができるのだから
それを試すため
ぼくは賭けをする