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町指定文化財「不動明王」

2022年10月30日 15時14分54秒 | 資料館紹介
 「不動明王」は、本町:法光寺の境内にある石碑の一つで、町指定文化財第4号(平成14年(2002年)3月20日)に指定されたものです。
 法光寺には、本町内各地から移設された石碑があり、この不動明王も、元来の設置場所から移設されたものと考えられます。
 不動明王の碑文は、裏に文化十年癸酉三月 施主 高田屋と刻まれています。
 文化九年(1812年)、のちの幌泉場所請負人 高田屋嘉兵衛は国後島においてロシアに捕らえられ、カムチャツカに移送されました。
 嘉兵衛がロシアに捕らわれたことを知った高田屋は、嘉兵衛の出身地である淡路島や兵庫で、嘉兵衛と水主(船を操る人)たちの無事帰還を祈願する奉納を行いっていました。
 高田屋嘉兵衛が蝦夷地(松前)に帰還したのは、文化十年(1813年)7月17日だと言われています。
 不動明王が奉納されたのは、文化十年であり、その時、嘉兵衛はロシアに拘束されていたことから、幌泉でも嘉兵衛らの帰国を祈願する法要が執り行われていた可能性があります。
 一般に、「不動明王」は、浄菩提心をもって行者の諸願を成就し、諸々の災害を除き、また財富を与える仏尊として、古来より多くの信仰を集めています。
 この「不動明王」は、江戸時代末の幕府、蝦夷地とロシアとの関係、場所請負人:高田屋嘉兵衛と高田屋の信仰と歴史を記録する貴重な文化財です。


※法光寺境内にある「不動明王」

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