本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

「 敵は自分の内にあり ! 」

2012-01-25 20:57:37 | 住職の活動日記
 「 今の自分には痛い言葉でした。」

というコメントをいただきました。

昨日の勉強会、

どのような言葉でも、「 自分にとって痛い言葉 」 と受けとめられた、

その感覚が大事だと思います。

 「 とてもためになる話でした  !? 」

という、ご感想は、   ま~どうでもいいような話なのです。

 本当の話は、切れば血が出るようなもの、なのです。



 なかなか、自分がかわいいものですから、

素直に人の話が聞けません。

どうしても自分の都合に合わせて、都合のいいように聞いてしまいます。


 「 無始よりこのかた、妄想に纏 ( まと ) われて衆罪をつくる 」


という一文が、 「 密厳院発露懺悔文 」 ( みつごんいんさんげほつろもん )

お経の中に書かれてあります。


 「 無始より … 」 私たちが生まれる前からということでしょう、

自分が一番かわいいという、「 妄想 」 に纏われているという、


 だから、ちょっとやそっと、「 痛い話し 」 を聞いたくらいでは

この妄想は破れないのです。

 私たちの心は上手にこの 「 妄想 」 によって撥水加工されています。

だから、大事な話を聞いても、自分に都合が悪かったなら、

弾き飛ばしてしまうのです。


 先日 テレビの番組で 「 受験の塾 」 の話しが出ておりました。

その先生方が頭に 「 克己 」  と書いたハチマキをして教えておられました。

やはり、己のわがままな心に打ち勝つ、ということでしょう。

 そして、自分の遊びたい、怠けたい心に打ち勝って

受験を勝ち取ろう、ということなのでしょう。


 物事がうまく運ばないと、

人のせいにしたり、回りの環境が悪かったり、条件がそろわない等と

自分が問題にならないのです。

しかし、 敵は自分の内にあり  です。

 自分がかわいいという考え方が欠点を外に見るのです。

この考え方を見抜かれたのがお釈迦さまです。

 悟りを開かれる前に 「 降魔 」 ( ごうま )という場面があります。

 ただじっと座って悟りを開かれたのではなく、

自分の敵と戦った、という歴史があります。

 悟りを開かれたとき、

   「 我は戦いに勝てり 」

 との言葉を発しておられます。


  「 汝の第一軍は楽欲ぞ、第二軍は不快なり、第三軍は飢渇ぞ、

    第四軍は渇愛ぞ、第五軍はこれ堕懶、第六軍は怖畏ぞかし。

    第七軍は疑なれや、第八軍は虚栄と剛情、第九軍は名利にて、

    第十軍は自讃毀他なり。」


自分に都合のいいこと、といいますが

ここまで細かく分析されたところに、おしゃかさんのすごさがあります。


 人間、自分の敵が見つかった、ということが大事なところです。





    ( 当たり前に何の苦もなく過ごしていたら、

      敵なんかいないですよね !! )







 
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