本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

『 お経は耳で読め ! 』

2013-05-25 21:54:02 | 住職の活動日記

 久しぶりにお見えになりました。

普段はご無沙汰のことが多いのですが、

切羽詰って、どうにもならなくなると、

ひょこっり顔を出されます。

      …    …   …

 

 黙ってお経を聞いておられました。

 

 「 久しぶりのお経でした。

   ついつい、習ったこともないのに

   お経が口から出てきました。 」

 

お母様がお元気な頃、お参りに寄せていただくと

いつも横に座っておられました。

若いし、恥ずかしさもあったのでしょう。

知らん振りして、お経なんか全く興味ない

という風でした。

 

 しかし、ちゃんと耳から沁みこんでいたのですね。

 

 子どもころに習ったお経は

心の奥におさまっていて、忘れないものです。

経本を持って習ったお経は

ややもすると忘れてしまいがちです。

 

「 お経は耳で読め 」

これは、人の声をよく聞きながら

その声に合わせて読みなさい、

ということです。

自分だけ飛びぬけてお経を読んではいけません。

何人で読んでも声がひとつになるように読みなさい。

 と、師匠からよく指導されました。

 

『 耳の力 』  というのでしょうか、

耳から入ってくるということは

本当は目で読むより確かなものがあります。

お経も本来は口伝えに伝わってきたものです。

中国に渡り漢訳されて、今のような経本になったのです。

インドでは暗誦のほうを大切にする、

中国では書いたものに重点を置く、

ということを聞いたことがあります。

でも、お経を見てみると 

特に今は 『 唯識三十頌 』 ですが、

単なる漢訳だけではなくそのリズムというか

意味も考えつつ無駄を省きリズムを整える、

玄奘三蔵が心血を注がれたことを

未熟ながら、少しだけ感じ取ることができます。

 

 試験問題がなかなか覚えられない !!

そこで、河内音頭を歌う方が、

そのリズム合わせて覚えたそうです。

すっかり覚えたのはいいけれど、

肝心な問題のところを思い出すのに、

最初から歌わないと思い出せなくて、

時間が足りなかったという、

面白い話しを聞いたことがあります。

 

 声を出して読み、その音が耳から入ってくる

耳から入ってくる響きは心の中に深く入り

忘れないものでしょう。

耳の力を信じて

耳を傾けるということは

本当に大切なことだとあらためて思い知らされました。

 

 

 

 

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