本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

久世神社と久世の鷺坂(さぎさか)

2021-04-20 20:32:22 | 住職の活動日記

自宅から10分ほど

南へ行ったところに

久世神社はあります。

 

 

神社自体が小高い丘になっていて

階段を上がると本殿です

 

 

小振りながら極彩色の美しい造り

 

 

狛犬も鎮座ましまし

睨みを利かしています。

 

久世という地名も

「ク」というのは陸地

「セ」は背、微高地

ということからきていて

古代より、万葉集にも

「久世の鷺坂」として

詠まれています。

 

「山背の 久世の鷺坂

  神代より

 春は萌ハりつつ

 秋は散りけり」

 

(山背の久世の鷺坂は、

神代の昔から春は木々が芽吹き、

秋は黄葉が散ることだ)

という意味です。

 

 

鷺坂はご覧のように緩やかな

上り坂です

この歌が詠まれた時代、

都は奈良の平城京です

平城京から北へ延びる

古山陰道がここを通ています

歩くと緩やかな坂道が続き

結構しんどくなるところ

丁度登り切ったこの場所で

振り返って、

この歌を詠まれたのでしょう

 

 

石碑も建っています。

昔はこの辺りはとても栄えた

ようです

円墳、前方後円墳の古墳も点在し

久世廃寺跡という

立派なお寺もあったようです

 

 

今はこの付近は住宅街で

昔の面影を留めるものは

この久世神社と周りの古墳群です

 

昔は(やましろ)を山背と書き

山を背にした都

京都も山背の国と書いたのが

後に山城というように

書き改められたようです。

山を背にするというのは

都を造る条件だったのでしょう。

 

そのような昔に想いを馳せながら

今は一人静かに咲いている

 

 

桜を独り占めにしていました。

いつもは何気なく通り過ぎている

この久世というところ

調べてみると意外なほど

歴史の重みを含んでいるという

場所ということを

あらためて思い知ります。

 

 

 

 

 

 

コメント
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