「ほとけ」とは
解ったような、あらためて
聞かれると分からなくなってくる
不思議な字でもあります。
「仏さん」と
軽く気安く呼ぶのですが、
どういう言葉なのでしょう。
「佛」ということは
お釈迦様の自称に始まるという
ことだそうです。
お釈迦様は太子として生れ
けれども
世の無常を感じて
国を捨て家を捨てて道を求め
求道の旅に出られたのです。
色々の修行をされて
35歳の時、悟りを開かれた。
その時にお釈迦様は、
私は佛陀になった、と
それが「佛」という言葉の
始めということです。
仏というのは
印度の言葉のブッダを音略した
ものということです。
正しくは仏陀と音写します。
この言葉も中国で色々と音写され
佛駄とも浮図(ふと)とも歩他など
時代によって当て字がたくさん
出てきたということです。
そこから、
浮図(ふと)という当て字から
「ほとけ」という言葉が生まれた
とも、
また、迷いの心がほどけてくる
煩悩に縛られた心の縄がほどける
その「ほどく」ということが
「ほとけ」という言葉の始まり
ということも言われています。
仏教のことを浮図氏の説といいます
浮図というのは仏陀ですから
氏の代わりに家をつけて
浮図家と言い直し
それがなまって「ほとけ」になった
ということもあるようです。
佛という字も
人偏に弗(ドル)のような
この字は弗(あらず)という意味
ですから、
佛は人にあらずというような字の
形です。
ブッダというのは言語的には
Buddhaは目覚めるという意味
朝起きた時、
「ブッダ」といって起きる
ということで日常語です
それを仏教用語として
目覚める、迷いから目覚める
というように「覚り」という
迷いに対する悟り(覚り)と
当てたのです。
ほとけということは
なかなか分かりにくいのでしょう
迷った人間がいくら考えても
解るはずはありません
そこで色々表現を考えて見るのです
仏には十号といって
その徳を讃えて十の呼び名が
あるのです。
1.応供(おうぐ)
供養を受けるに相応しい人
2.正遍知(しょうへんち)
ただしく真理を覚った者
3.明行足(みょうぎょうそく)
言語と行いが完全である
4.善逝(ぜんぜい)
迷いを越えて善く行ける者
5.世間解(せけんげ)
世間のことを知り尽くしている者
6.無上士(むじょうし)
最も尊い者、(上がない)
7.調御丈夫(じょうごじょうぶ)
衆生をよく調伏制御し導くもの
8.天人師(てんにんし)
天と人との師匠、すべてを導く人
9.佛・仏陀
目ざめたもの
10.世尊(せそん)
世間から尊ばれるもの
というよに
色々の名前を持っておられます
というのも
佛といっても
なかなか一言でいい表すことが
できないということです。
「ほとけ」ということも
分かったつもりで使っていますが
その背後には計り知れない
深い内容を持っておられるのです。