本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

『 箱に収める 』

2010-12-09 16:05:06 | 住職の活動日記
 先日、「 お寿司 」 をいただきました。

その時の 「 箱 」 が木製でした。木の香りも漂ってきます。


 子どもの頃、「 駅弁 」 が何よりも楽しみでした。

普通はにぎりめしを竹の皮に包んでもたされました。

特別なときだけが 「 駅弁 」 です。

木の香りとともに、蓋についたご飯粒から、一粒ずつ丁寧に食べました。





      



 久しぶりの木製の 「 折り箱 」 です。

留めてある釘も竹釘のようです。




      




 意外や意外 !!

『 折り箱 』  とは、本来仏具を収めるために作られたもののようです。


 そういえば   

東寺にいるとき、『 お三宝 』 は  確か ?

「 伊藤折り箱店 」 だったと思いますが  …  定かではありません  が

ここは今でこそ 「 折り箱店 」 で、お弁当の折り箱を作っておられましたが

本来は宮中にお供えするときの 「 三宝 」 「 折敷 」  

それから勅使の方がお見えになったときの 「 お膳 」 一式  などなど

すべて手がけておられました。


 だんだん、需要も減り、

折り箱もプラスチックに変わってくるし、  …  





      




 先日の 「 得度式 」   お出ししたお弁当は

京都の 「 美濃吉 」 さんでしたが、やはりプラスチックです。

分解してみると、一枚の細長い板です。





      




底板に紙の板を入れて、くるりと回すとできあがりです。



 そのような中なのですが、私は 「 箱に収める 」 ということにこだわっています。




     



 得度式の時に使った念珠ですが、使い終わったら、

黄色い布に包んで、桐の箱に収めるようにしています。


 東寺でも長いこと 「 宝物 」 の係をしていましたが、

国宝・重要文化財となると、入れてある 「 箱 」 が素晴らしいのです。

いいものはほとんど桐箱に入れて、さらに塗りの箱に入れて、と二重に入っています。

その箱の縛り方も難しいのですが、

一番難しかったのは 『 舎利塔 』 を収めた、円形の筒状の入れ物です。

これを一本のひもで、それも三ヶ所の穴に通して留めるというものです。


 そのように、 「 折り箱 」 というのは仏具等々を収めたものが

本来の働きのようです  よ !


 食べたら、バリバリと壊して捨ててしまいます、

たかが  折り箱  ですが   

便利で簡単ということは、大事な技術も捨ててしまっているようです。





コメント
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