うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

カメレオン座...(C4)

2007年03月03日 22時51分05秒 | 新・星座物語
新星座物語に、“きりん座(2/24(c2))”と“カメレオン座(3/3コメント)”が加わりました。
“きりん座”は、5年生の杉山はるかさん、“カメレオン座”は4年生の楠本夏菜さん。
なかなかのできばえに強い手応えを感じます。

“きりん座”は、ポーランドの天文学者ヘベリウスが、彼の死後発行された(1690年)星図に書き記した、おなじみのアフリカの“きりん”です。
同時期に若くして亡くなったバルチウスが先に考えたともいわれていますが、
きちんと星図に設定したのはヘベリウスで、彼を設定者とするのが定説です。
“きりん座”にはおもしろいエピソードがあって、一時、ラテン語のスペルの間違いで「らくだ」とされたことがあるらしい。
が、最初の星図の絵はちゃんと首の長い動物になっているので「きりん」でまちがいはないようです。
そんなエピソードを知ってしまうと、『動物の星座オーディションで、神様に呼び出されたとき、
きりんとらくだが同時に返事したが、首の差できりんが勝った』なんてつまんないストーリーを考えてしまうから、やはり、
何も知らずに、タイトル(星座名)だけをたよりに展開した方がいいと思います。
実際の星座は、北極星の近くにあって一年中みえますが、強いて言えば今が見頃。
しかしすべて4等以下のかすかな星で構成されているので、夜空でもプラネタリウムでも、ほとんどイメージがわかず、位置もよくわかりません。

オランダの地理学者プランキウスは、航海士ケイザーとその助手ホウトマンに依頼して、
南半球の星空調査をさせました。
調査結果を1603年に発表し、直後それを、ドイツの天文学者ヨハン・バイヤーが
美しい南天星図に仕上げました。
その中に“カメレオン座”や“はえ座”があり、ほかにもいくつか「へんなの」があります。
だから、それらは4人の合作とも言えますが、一応設定者としてはバイヤーの名が残っています。
宇部からは全く見えません。物語もありません。
南方に冒険的な航海をしたケイザーやホウトマンは、初めてカメレオンを見て、
あまりのへんちくりんさに『あれを絶対星座してやろうぜ』と酒飲み話で笑い合ったのではないでしょうか。
あるいは数匹捕まえてペットにでもしたかな、そのえさは蝿だったりして。

添付画は、ふじい旭さんの「新星座絵図(1976)」より。