うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

夏休みの自由研究(2)...(157)

2007年08月31日 20時13分14秒 | うべプラネタリアン
☆sae☆さんやカナンが、夏休みの自由研究に「月食の観察」を引き当てにしていたのに、
あんな具合だったから、なんとかしてほしいと、工作にチャレンジするつもりで、
プラネタリウムに午後から詰めていた。
だから、スパンコールで星座を作る工作を、いっしょにすすめたのだが、
実はそんなことは必要なかったのではないか。
考えてみると、夏休みの初めから、この子達はべったり私にくっついて、
FM放送にも出演し、星空かんさつ会にも、流星公開観測会にも、月食観察会にも参加したではないか。
そこで その不思議さも、星を見る楽しさも、怖さもすべて知ったではないか。
濃密な、この上なく濃密な 星空観察の自由研究を“体感”したではないか。
いま、実際の生の星空の下で、星座をたどり、物語を語らせたら、そんじょそこらの先生より
はるかに物知りのはずだ。どんな友達より秀でているはずだ。
誇っていい。胸を張って、星の自由研究を体感したと語るがいい。よくやりました。
私は、君たちに、宇宙一大きい丸をつけよう。
これは、天文クラブ員こぞっての賛成意見だ。
何よりも、君たちは、私たちに夢をくれたのだよ。

画像は、オーストラリアで見た8/28の月食。
考えてみると日本とオーストラリアは季節は逆だが時差はない。
同じ時に同じ月を見てたんだ。(NASA)

ふふ、おひさしぶり....(156)

2007年08月30日 20時38分20秒 | うべプラネタリアン
しばらく更新をサボっていた。
理由は2つ。
①甥が来ていて、帰宅すれば、即飲酒。飲めばなぁんにもやる気なし。
②暑い。
その理由の①が解除された。②は若干緩和された。
というわけで、ボチボチ再開。
8月28日の月食観測会は、まぁ、何という人出。
会館の狭い屋上からよくあふれ落ちなかったものだと思う。
立錐の余地すらないとはこういうことか。
150人という人数が、むんむんする人いきれと汗くささの中で、一時間の間、
何も見えない空をながめてうだうだしている様は、尋常じゃない。
反乱も自爆テロもない国でよかった。
月食は、腹が立つほど見えなかった。
暗赤色の満月の、幻想的な様子はあんなもんじゃないのに。

というわけで、仲間の宮崎さんの撮った月食を拝借して紹介。

アルテミス....(155)

2007年08月23日 21時50分33秒 | うべプラネタリアン
星座神話の中では、月の女神アルテミスはなにかとお騒がせなお人だ。
手に負えないじゃじゃ馬かと思うと、しっとり女心を漂わせる。
アルテミスはやはり女の具現者なのだろう。
月は、地球をまわっていないと言うと、けげんな顔をされるが、月が地球をまわっているというのは
地球から見た場合であって、地球が太陽を公転する視点から見ると、確かにまわっていない。
円形の地球軌道に13面体の方形を重ねたようなものを想像したらわかるかな。
こうした視点は、テストの回答にしてはならない。
密かな楽しみと、人を驚かせるネタとして大切にキープしておこう。

自由研究テーマ...(154)

2007年08月20日 19時37分25秒 | うべプラネタリアン
第3案として、先日の「星空かんさつ会」でもやったが、当地の正しい正午を測るという研究。
正午とは太陽の南中時。南中とはその星(この場合太陽)が真南に来たとき。
その時を正確に取るには、影の長さを測ればよい。
この計測は一年中いつやっても同じ結果を得るが、いつでもピシリ見事に実測できるので、
記録紙とともに提出すれば、いかにも夏休みっぽくていい。
日本は、明石(東経135度)を基準にしていて、国内時差を設けていない。
しかし、例えば宇部は、東経131度だから4度西よりで、4度の差は、何分に相当するか計算して数値を出し、
その通りに影が一番短くなる(=太陽が一番高くなる=南中)ことを実測するといい。
東京だと12時時報前になるだろうし、宇部だと12時を十数分まわるはずだ。
それが積み重なってヨーロッパとの時差ができるのだと、そこまで考えが及べば、すばらしい研究レポートになるだろう。

夏休みも終盤....(153)

2007年08月19日 21時17分57秒 | うべプラネタリアン
星好きの子ども達は、やはり、自由研究のテーマに「天文」をとりあげたいらしいのだが、どこをどう切りこみ、
どう切り取ったらいいのか迷っているようだ。
ええい、仕方がない、今度の月食をテーマにしよう、と居直ったのは、☆SAE☆さんだが、
その日曇って見えなかったらどうしようと不安がつのるようだ。
はっは、そんなこたぁわしゃ知らんぞとうそぶいてはみたが、からかってばかりではかわいそうだ。
ここは、二の矢、三の矢くらいは用意しておかねばなるまい。
そこで、今日、「百均」で☆ビーズとアクリル板を買ってきた。
なんやかやで500円未満だ。これで夏の星座を作ろう。
☆ビーズは、色とりどり、大きさとりどりだから、実際の星座の形に星の等級と色を合わせて、アクリル板に貼り付ける。
すばらしいマイ星座ができる。
うまくいくと、よく観察したとほめられるだろう。

たて座....(C29)

2007年08月18日 13時30分04秒 | 新・星座物語
星空かんさつ会で、古谷竜一くん(岬小6年)の寄せてくれた作品。

たて座
昔あるところで、戦争に備えて、盾が作られました。
どんな槍や刀も防ぐようにがんじょうで立派な盾でした。
...そして、やはり、戦争が起こりました。
盾はその戦で使われ、何度も何度も攻撃を受け、何とか守りきりましたか、ついに壊れてしまいました。
大神ゼウスは、その壊れた盾を直して、天の川のほとりに置きました。
「たて」はそのまま星座になりました。

星座物語は、ギリシャ神話がベースになっているが、たて座は新設星座で、具体的な史実に基づいていて、
キリスト教国家を守り抜いたオーストリア王を記念した星座とされている。
古谷くんは、戦の準備に、矛ではなく盾を作ることで、守りの象徴としてとらえている。
こんな姿勢にも、現代の少年のナイーブな優しさを見てしまうのだが、うがちすぎか。

なつのおはり....(152)

2007年08月17日 17時07分06秒 | うべプラネタリアン
悠飛くんはカブトムシを飼っている。
パパは、カブトムシの命は夏の間だけだと教えたらしい。
繊細な5歳の悠飛くんは、夏の終わりがいつなのか、それが今の最大の関心事なのだ。
なつのおはり。
星座の世界では、もうとっくに夏は終わっている。
1時にはすばるが高く昇るし、3時になるとオリオン全体の姿を見る。
2~3日前から蝉は“つくつくほうし”に替わった。
さあ、夏休みもあと2週。
しかし、なんだ。この暑さは。痛いではないか。
星の世界に逃げたくとも、その時間になっても、くそ暑いではないか。
なつのおはりなんてとんでもない。ロマンチックなこと言ってる季じゃない。
まだまだ、肩で息する暑さは続く。
明夜は、野鳥公園で(夜蝶公園ではない)星空観望会。
くそ暑い宵にもう一つもふたつも踏ん張るか。

ほうおう座....(C28)

2007年08月16日 10時36分58秒 | 新・星座物語
バルスという少年がいました。
バルスの父親は大地主で、村の有力者でしたから、バルスはとても楽な生活をしていました。
ある朝起きてみると父と母はいませんでした。しかし、バルスには思い当たるふしがありました。
夕べ、父たちは、まぼろしの鳥“ほうほう”を捕まえようと相談しているのを聞いていたからです。
“ほうほう”の血を飲むと永遠の命が得られるとのうわさもありました。
バルスは父を追いかけて山に入りました。しかし、いつの間にか山で迷子になったのです。
幸か不幸か、そのころには父も母も家に戻り、バルスがいなくなっているのに気付き、また山に探しに行きました。
バルスは、日がかげり始めた山道を泣きながらさまよっていました。
と、目の前があかるくなりました。「あ、ほうおうだ」
バルスは夢中で「ほうおうめ、お父さん達はどこだ」と叫びました。
ほうおうはその言葉を聞いたとたん、炎をあびせました。
しかし、バルスはひるまず、とがった石を投げつけました。
「ウッ」
「アッ、当ててしまった」
石が当たったほうおうは怒り狂い、山全体が炎につつまれました。バルスは倒れました。
その時「ほうおうを捕まえるのにいきなり石を投げちゃいかん。怒り狂うだけだ」
と父さんの声が聞こえました。助けに来てくれたのです。
ほうおうの方は、人間の一人二人関係なしです。炎を広がらせて、襲いかかってきました。
あわやその時、山火事に気づいた大神ゼウスは、ほうおうを空にあげました。
バルスと父は何とか脱出し、ようやく山を下りることができました。
そして、みんなは二度とほうおうを捕りに行かないと神に誓いました。
その夜、火のおさまった山の向こうの夜空を見たバルスは「あっ!ほうおうだ」と指さしました。
空にあがったほうおうは、機嫌を少しなおしたようでした。

恩村友太 新川小6年

恩村くんの物語、2編。
彼の物語は、最後のフレーズに特徴があって、微苦笑を感じる。

コンパス座....(C27)

2007年08月15日 18時12分16秒 | 新・星座物語
このたび、星空かんさつ会で寄せられたいくつかの物語を紹介する。

「コンパス座」   恩村友太 新川小6年

昔の話です。
ある国のある山おくの村。小さい学校がありました。
あまり小さな学校なので、文房具さえ用意できません。鉛筆一本学校にもって行き、
かんたんな勉強をして帰ってゆきます。
ある日、先生が言いました「西洋にはたやすくまん丸が描ける道具があるようだ」
それを聞いた子ども達は、それを見てみたい、円を描きたいと口々に言いました。
先生は「そこで、今日は、円をうまく描く道具を知ってもらいたくて、大地主様のお力で借りてきたのだ。これがそうだ」
と言って、コンパスを取り出しました。
その瞬間、いっせいに取り合いになりました。
背の高い子がコンパスをつかんだとたん、太った子が体当たり、倒れたひょうしにコンパスを上に投げてしまいました。
コンパスはそのまま窓の外に飛んでゆきました。
すべてを見ていた大神ゼウスは、このままではみんなのコンパスが壊れると感じ、それならいっそ星にしてやろうと、空に取り上げました。
子ども達は、少し反省しているようです。

最後のフレーズが効いている、なかなかの作品。
コンパス座は、おおかみ座の南に位置し、日本からは見えない。
1750年フランスのラカイユが新設した星座。物語の通り、文具の円を描くコンパス。

ペルセウス流星群....(151-2)

2007年08月14日 12時11分47秒 | うべプラネタリアン
流れ星は、23時ころより数が増え、0時をまわるとペルセ群が目立ってきた。
そのころになると、200人近くにのぼった参加者も三々五々帰り始めたが、
一人あたり最低30個は確認したに違いない。
夏の銀河と星座をばっちり全て見ることができたし、案内も数回に及び、大騒ぎで、こちらはまさしく狂喜乱舞である。
いいおみやげができた。
0時を超えてなお粘る人はよほど星好き。
天の川は、いて座からゴブゴブ光のこぶを連ねつつ、はくちょう座にいたり、二本の筋に割れてカシオペアになだれ落ちてゆく。
その不思議な光の帯は太古からいまだに人々を魅了してやまない。
やがて、すばるがのぼり、火星が追いかけ、カペラが輝く。
そこへ、ざくっと切り裂くような流れ星。
うわっ!ただ、絶句。
星好き病になってよかったぁとしみじみ夏菜さんはつぶやいていたが、のぼるすばるを双眼鏡でとらえて、
ああもぅだめとうっとりためいきをついていた。
つきあわされたお母さん方も、夏の真っ盛りに冬の星座に会えるなんてふしぎ...と異経験にはまりこんで...

01時にさっと曇ってきたと感じたその間に小雨まで降ってきた。
さぁ撤収。
大急ぎで30人くらいの残っていた人々もいっせいに手伝ってあっという間に蜘蛛の子を散らすように解散。
家まで帰って来るとまた再びクリアな星空の復活。
ガレージから玄関までの2㍍の間にも、2個の流れ星、未練は残ったが、
先ほどの雲は程なく宇部の方にも広がったらしく、まあそこで収めたのは可としよう。
ペルセ群の観測会は、3年連続となり、三回とも参加したという中井さん親子は、今回が一番と喜んでくれた。
なによりなにより。
金曜朝から、星漬けのおおさわぎ、あげく法事を含む2夜連続の半徹夜は、ぐちゃぐちゃに疲れ、歯が浮いて、
何も食えない最悪コンディションをもたらした。
その中で、かみさんのいたわりが妙に気味悪ぃが、いい星空だったから、精神は実に健康である。またやろう。

画像はNASAよりペルセ流星群の2年分の合成。輻射点がよくわかる。